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認知症の父を持つということは……「ネブラスカ~ふたつの心をつなぐ旅~’13」劇場公開2014年2月

2014-09-17 18:17:48 | 映画

              
 高速道路をトボトボと歩くウディ・グラント(ブルース・ダーン)は、パトカーに保護され警察に迎えに来た次男のデイビッド(ウィル・フォーテ)に100万ドル当たったから取りに行く途中だと言う。デイビッドは驚く。

 住んでいるのはモンタナで怪しげな手紙をよこしたのはネブラスカだ。距離にして1,500から1,600キロはあるだろう。足の悪い父ウディには到底無理だし賞金もインチキに決まっていると言っても父は聞く耳を持たない。認知症の父には理解できないらしい。が、デイビッドが根負けして父と同行し、故郷の町ネブラスカのホーソーンに立ち寄る。

 ウディが言わなくてもいいのに、賞金100万ドルが当たったと言う。うわさが町中に広まる。それからは人間の醜さが噴出してくる。貸した金を返せとか、今まで世話したんだから幾らかくれてもいいだろうという類だった。これをぴしゃりと抑えたのが、ウディが文句の多い妻だというケイト(ジューン・スキップ)だった。肝心なときには、ちゃんと仕事をする妻だ。

 モノクロの世界は、新鮮さと物寂しさに包まれるが物語のテーマにはぴったりだった。大げさなお涙頂戴映画にならなかったのは良かったし、長いラストシーンはこれからの苦難を暗示しているようだった。

 なお、ホーソーンという町は実在していないとのこと。それについてはパラマウントのHPに詳しい。引用すると 『旅の途中に立ち寄る、父ウディの生家のあるホーソーンは、実在しない町。「誰もがウディの出身地だと納得する町が必要だった」と振り返るプロダクション・デザイナーのデニス・ワシントンは、ホーソーンのイメージをこう語る。「あまり愛らし過ぎず、高級住宅地化していない場所。古いものと新しいものが入り混じっているが、それほど変化していないという印象を受ける、長い年月を生き残ってきた町だ」。
 ペイン監督とワシントンによる綿密なロケーション探索の結果、ネブラスカ州ノーフォークのプレインビューが、ホーソーンの代役を務めた。“飾り気のない景色”という意味の名前のとおり、プレインビューは小さな町だ。「必ずしも脚本どおりの町ではないけれど、独自の時間が流れている場所だ。この町に僕たちが手を加えたのはごく僅かだった」と、ワシントンは語っている』

 映画から受ける町の印象は、何もないだだっ広い土地にポツンポツンと家を置いて木々のない街路は寂しさに満ちている。日本の景色に慣れていると、いくら安くても住みたいとは思わない。それにこういう町では、侘びとか寂びという情感の生まれる余地がない。人間も木と同じでその風土が育てるものだとつくづく思う。
          
          
         
     

監督
アレクサンダー・ペイン1961年2月ネブラスカ州オマハ生まれ。実力のある監督で’04「サイドウェイ」は、ワイナリーを巡る話でワインのテイスティングの勉強になった作品。ハワイが舞台でジョージ・クルーニー主演の’11「ファミリー・ツリー」など味のあるものが多い。

キャスト
ブルース・ダーン1936年6月イリノイ州シカゴ生まれ。
ウィル・フォーテ1970年6月カリフォルニア州アラメダ生まれ。
ジューン・スキップ1929年11月イリノイ州ヴァンダリア生まれ。
ステイシー・キーチ1941年6月ジョージア州サバンナ生まれ。
ボブ・オデンカーク1962年10月イリノイ州生まれ。

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