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こんな豪華な老人ホームに安く入れるなら私も考えてもいい。しかし、ここは音楽家の引退場所のようだ。ダスティ・ホフマンがはじめて監督した作品。
かつてはオペラ界で一世を風靡したレジー(トム・コートネイ)とともに脚光を浴びた元妻ジーン(マギー・スミス)との復縁をメイン・テーマとして老境の喜びと不安が描かれる。
イギリスの南部に「ビーチャム・ハウス」という老人ホームがある。ここはクラシックの音楽家が引退して余生を楽しむところ。レジーとウィルフ(ビリー・コノリー)の男たちはノーネクタイでジャケットを羽織りカジュアル。女性のシシー(ポーリーン・コリンズ)はカーディガンにスカートというコーディネートでエレガント。
BGMは、ヴェルディ、バッハ、シューベルトなどの名曲オペラ。まさにイギリス的。間違ってもジーンズはありえない。朝食に顔を合わせたこの三人。とりわけ口達者で所構わずという口説き魔のウィルフは典型的な好色老人。このウィルフがアクセントになっているから目障りな存在ではない。
やがてかつて人気を独り占めしたジーンがこの館にやってくる。レジーの心に忘れようとしていた怒りが沸々と湧き上がった。
この「ビーチャム・ハウス」もご多分に漏れず財政難で、音楽家が協力してイベントを開催してなんとか立て直そうと努力の最中だった。それらの一環としてレジー、ウィルフ、シシーにジーンを加えたカルテット編成のプランが浮上。ジーンの説得にかかった。ジーンは歌えないと一蹴するが……
それにしてもこのクラシック音楽は、イギリスを始めヨーロッパではよく似合う。ただ、この4人が劇中で歌わないのが不満といえば不満かな。
そしてジーンの部屋の前でシシーとジーンの会話が漏れ聞こえてきた。「結婚式直後の会食でシャンパンを飲んでレジーに浮気したと言った……正直でいたかった。でも彼は激怒して出ていった。私だって悲しかった。悲しみに暮れたわ。人生最大の過ちよ」
フィナーレの舞台でレジーがジーンに「結婚しよう」
「本気なの」レジーが頷く「いいわ」とジーン。皺の多い手が結ばれヴェルディのリゴレット四重唱「美しい恋の乙女よ」が重なるラスト・シーンが印象的だった。
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監督
ダスティ・ホフマン1937年8月ロサンジェルス生まれ。
キャスト
マギー・スミス1934年12月イギリス生まれ。1969年アカデミー賞主演女優賞受賞。1978年アカデミー賞助演女優賞受賞。
トム・コートネイ1937年2月イギリス生まれ。1983年アカデミー賞主演男優賞ノミネート。1965年アカデミー賞助演男優賞ノミネート。
ビリー・コノリー1942年11月スッコットランド、グラスゴー生まれ。1997年英国アカデミー賞主演男優賞ノミネート。
ポーリーン・コリンズ1940年9月イギリス生まれ。1989年アカデミー賞主演女優賞ノミネート。
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