都市と楽しみ

都市計画と経済学を京都で考えています。楽しみは食べ歩き、テニス、庭園、絵画作成・鑑賞、オーディオと自転車

かくれた次元(エドワード・ホール)

2015-06-09 04:46:19 | マクロ経済

The Hidden Dimention Edward T. Hall

 今頃になって読んだ。必読の書だ。

1966年の本、人間の知覚距離、文化とその反映の都市・建物・芸術で相違が出るというものでproxemicsプロセミックス ( http://en.wikipedia.org/wiki/Proxemics )という人体の近さと境界( Intimate, Personal, Social, Public :4分類)に分けられている。恩師吉阪と似ているのは、コルビュジェのモデュロールとの関連もあるが、Critical DistanceにおいてFlight Distance、Attack Distanceの話はこれから引用と気づいた。

知見は

・密度はストレスになり、副腎重量に比例する→恩師戸沼先生の指摘だ

・オスはドミナントを志向する

・人間は「遠距離感覚器」の視覚と聴覚が発達→絵画、音楽に

・嗅覚を重要視する文化もある

・歩き回れる広場はストレスがなく、ぶつかる台所はその反対

・ヨーロッパとアメリカでは車(路面間隔とふわふわ)、ドア(遮音、開けるのが普通)、都市のパターン(放射状、格子状)と大違い

・アメリカは出身地で区分し自分の部屋を持ち、ドアでプライバシーを表現、イギリスは社会システムで区分し自分の部屋を持たず、黙ると自分の世界

・日本は「間」でない部分に意味がある、建物の壁の共有を嫌う、視点が多く、移動変化を楽しむ

・50年代からニュータウン計画の破綻を指摘、低所得者向け高層アパートが「土地」から離れる問題を指摘、階級的差異と隔離、コミュニティの分断「都市村落」形成には3代必要。

・一人当たり10~13㎡が住宅の最適密度(有効面積らしいが、4人なら50㎡で当初の公団住宅並み)

・生活様式は建物、道路、人間の複合性の関係

・文化は人間とその環境として相互に作用

面白いのは「感覚世界はそれぞれ違う」、そのため「受け取られた体験は文化のスクリーンを通す」とあるのが差異の分析として貴重だ。

ふしぎなキリスト教にペストでカトリックの神父も亡くなり、同じ人間と分かり権威失墜、新しい産業や宗教が出現 とあったが、都市も文化を継承し、変革があると良く分かった。

 重ねて言うが、必読の書だ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする