都市と楽しみ

都市計画と経済学を京都で考えています。楽しみは食べ歩き、テニス、庭園、絵画作成・鑑賞、オーディオと自転車

小売りの未来(ダグ・スティーブンス):ポスト・コロナの商業を提案

2021-11-13 01:23:56 | マクロ経済

 原題は Resurrecting Retail: The Future of Business in a Post-Pandemic World

 70年代のモール全盛時代での人と会い、会話と食事、映画やゲームを楽しみ、買物をした体験と、50年後のオンライン販売とSNSでのつながりの差を元に生き残る商業のあり方の提案。楽しめる、知見は:

・アーネスト・ベッカー:不可避の死という現実から目をそらし壁を築く。コロナで「死の顕現化」が起こり安心感と気休め、自尊心、帰属意識、名を遺す欲求が高くなる

・イノヴェーションは2005年以来90%がアメリカの5都市圏に集中

・日本は職場(オフィス)至上主義で中央集権体制、対面を重んじる

・在宅勤務は有効、オフィスは効率的ではなく削減の意向も→職種や職能によるはず

・ハイテク1人の雇用で5人のサービス業雇用が発生、しかし4分の一位は在宅になると都心が寂れる見込み

・Zoomは展開の共有や雰囲気をつかめない欠点、今後改良か、対面会議でもだらだらはある

・アマゾンはデータ・技術・イノヴェーションの企業、データのためにホール・フーズを買収

・ニュー・リテールは生活域(買物、エンターテイメント、SNS、決済などを包み込んだ安全圏)で企業と顧客の対話、オムニ・チャンネルとは違う

・ウォルマートのEC事業転換は変革

・オンライン販売もグリッド型(羅列)からVR型のショールームに:オプセス

・教育も一流大学の対面と基礎教育のネットの2極化に向かう

・今後の商業

1「ストーリーテラー」型→自分を奮い立たせてくれるブランド、ナイキなど

2「活動家」型→自分の価値観と一致するブランド、パタゴニアなど

3「流行仕掛け人」型→新しくてクールなものは、どこに行けば手に入る、ネイバーフッドグッズなどセレクト・ショップ

4「アーティスト」型→一番充実した体験が味わえるのはどこ、キャンプ(おもちゃ NY)

5「透視能力者」型→自分のことを一番理解してくれているのは誰、データを企業と顧客で共有SFIX

6「コンシェルジュ」型→最高水準のサービスはどこで受けられるの、ノードストロムとコストコの販売員

7「賢者」型→一番いい助言がもらえるのはどこ、B&Hフォトビデオ(プロ写真家が店員)

8「エンジニア」型→最高に作り込まれた商品はどこで手に入るの、ダイソン

9「門番」型→必要な商品はどこで手に入るの、巨大で検眼ができるエシロールルックスオプティカ

10「背教者」型→この商品が欲しいけれど、もっと買いやすくしてくれるのは誰、中古車7日間試乗のカーバナのタワー型中古車販売方法、

 

・カルチャー、エンターテイメント、ノウハウ、商品が価値を生みだす→これは当たり前だが

・体験を売る:サプライズ、独自性、個別対応、親密度→これも前から言われている

・インターフェイスとしての店舗、家賃は顧客獲得のコスト、旗艦店主義は普通の店舗との差が出て逆効果、すべての店をコンセプト・ストアにしメディアとして活用、体験がある

・有料会員制度の活用→日本ならモンベル・クラブが有名

・郊外SCの衰退は富裕層の都心回帰・居住も一因

・複合用途の都市に組み込まれた商業開発:ロンドン、キングズ・クロス地区「コールドロップス・ヤード」( https://casabrutus.com/travel/92279 https://www.google.com/maps/place/%E3%82%A4%E3%82%AE%E3%83%AA%E3%82%B9+%E3%80%92N1C+4PQ+%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%B3+%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%89%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%97%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%A4%E3%83%BC%E3%83%89/@51.5352742,-0.1355298,1838m/data=!3m1!1e3!4m5!3m4!1s0x48761b3d8319b5c7:0x76bca50b62d910a3!8m2!3d51.5355296!4d-0.1260883 )

・ブランド・コンテンツは双方向の会話→客がブランドを育て、その逆も

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