上の肖像はフランスの作曲家
ルイーズ・ファランクです。
ちょっと前になりますが、3月にラジオで女性作曲家特集があり、多彩な女性作曲家の作品が紹介されました。
クララ・シューマンは有名ですが、他にも中世の
ヒルデガルト・フォン・ビンゲンに始まり、
ナンネル・モーツァルト、
ファニー・メンデルスゾーン、
エルフリーダ・アンドレーなどの作品が紹介されました。
いずれも素晴らしい作品でした。
現代では漸く女性作曲家が当然のこととなりつつありますが、古くは「女性が作曲するなどけしからん」という発想が蔓延していたようです(例外はありました)。
モーツァルトの姉ナンネルは明らかに作曲家としての才能がありましたが、父
レオポルトはヴォルフガングの天才教育にのみ集中し、娘には結婚して良い妻になることだけを望んでいました。
アルマ・マーラーも作曲を志していましたが、
作曲家マーラーと結婚したとき「私の作品を君の作品と考えることはできませんか?」として、作曲を止めるよう求められました。
エルフリーダ・アンドレーは色々な大作を生み出していますが、彼女の作品を聞いた批評家が「全然女らしいところがないじゃないか」と驚いています。創作する主体は女性だったり男性だったりしますが、作品は言わばニュートラルです。有名な建築家
ザハ・ハディッドの建築を見て「女性的だ」などと思う人はいないでしょう。
ルイーズ・ファランクの場合は例外のひとつで、彼女の夫は、妻が優れた作曲家であることを誇りとしていました。彼はフルート奏者で楽譜出版者でもあり、妻とともに包括的なピアノ曲集を出版しました。彼の没後はルイーズが単独でピアノ曲集を完成させました。
こういう例外的男性は、いつの時代にも存在しますね。ファニー・メンデルスゾーンも親からは反対されたものの、夫の励ましで作曲を続けました。
ちょっと脱線しますが、
イエントルの父も、世間の目をしのんで娘に
タルムードを講義しています。娘と二人きりになっとところで父親がカーテンを閉め、タルムードの講義を始める様子がコミカルです。