みみずのしゃっくり

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常に無常

2021-07-22 | おきにいり

最近、水木しげる版「方丈記」を読みました。







もう何年も前に岩波文庫の解説付き原文を読んだことがありますが、水木版がどんなものか興味があったのです

最初に原文を読んだときは、短い文章にもかかわらず、大作のような重厚さを感じ、大変疲れました。
鴨長明が生きたのは平安時代から鎌倉時代への激動期で、数々の社会的動乱に天災の続く時代でした。淡々と書かれているのですが、出来事と時代の重みが、読者にも重圧となるのだと思います。

水木版では、「水木さん」が鴨長明を訪問して語り合っています。
九死に一生を得て戦地から生還した「水木さん」が支えてくれているためか、また飄々とした画風もあってか、疲れずに読めました。

方丈記と平家物語は同じ時代を扱っていて、最初の文章が文学的に大変美しく格調高く印象的です。

「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。」

「祇園精舎の鐘の聲、諸行無常の響あり、沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。驕れる者久しからず、ただ春の夜の夢の如し。猛きひともつひには滅びぬ、ひとへに風の前の塵に同じ。」


格調高い文体から、「平家物語」の著者も鴨長明ではないかという説もあるようですが、長明が大の平家嫌いなのに対し、「平家物語」は平家に同情的・好意的です。義経のことは「平家の公達の滓にも劣れり」と酷評しています

「水木さん」も仰っている通り、21世紀になっても大災害は繰り返し起こり、「無常」であることだけが「常態」です。




「平家物語」に言及した以前のみみずボログ記事

明快な現実
純粋人
3分と2分
ただのり





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4 コメント

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水木判 方丈記 (kitcat)
2021-07-22 10:27:22
 身体へのご心配ありがとうございます。
視力が落ちるしたがって、PCのモニター画面やスマホを凝視するので、勢い疲れが溜まって作業ができなっています。
 幸い、早朝起きて作業すると、そこそこ行けるので、朝方に切り替えました。
 一方、ipadは、指で好きな大きさにして文書や画像を見るのが簡単なので、これには助かっています。
 水木しげるさんの方丈記、読んでみたくなりました。
 戦下をくぐり、その体験からものの実相を見、その視点で作品を描き・書かれているので、方丈記も水木さんの伝えたいことが詰まっている気がします。
     <ののちゃんより>
hを頭に付けます。
⇒ ttps://sea.ap.teacup.com/nono/
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Unknown (めんまねえちゃん)
2021-07-22 21:59:16
響きも美しく、世界の真理が凝縮されているような文章ですよね。
読みたいなと思う一方で、ついつい
ライトで読みやすい小説ばっかり読んでる気がします。あとマンガとか。
ちゃんと読んだことがないけど超有名なもの、
たとえば方丈記もそうですし、あと最近読んだ
小説の中の人物が読んでいたマキャベリとか、
読みたい、でもまた今度、って...
今度っていつだと自分で突っ込んでおきます。
読みたいと思うときが読み時かも。(しんどくても)
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Kitcatののちゃんさん (ななみみず)
2021-07-23 21:09:48
随分前に聞いたか読んだところによれば、生まれてから成長するに従って、色々な能力が増大・強化され、その後衰退するのですが、視力だけは生まれた時が最大で、後は減退するだけだとか
私も随分視力は落ちているのですが、まだ何とか暮らしていけます。お互い、目を労わりつつ、できるだけ楽しく過ごしましょう

水木さんは本当に立派な漫画家で、特に変な美男(現代語でイケメン?)が出てこないところが好きです。戦争の恐ろしい体験を見事に視覚化されているのも凄いと思います。
マンガ古典文学シリーズで色々な漫画家が色々な古典を「料理」していますが、やっぱり水木さんがいいです
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めんまねえちゃんさん (ななみみず)
2021-07-23 21:41:05
方丈記も平家物語も文章が美しいです。
「峯の嵐か松風か、尋ぬる人の琴の音か」とか、色々印象的な文章があります。
「橋の行桁をさらさらと走りける」の「さらさら」は、ちょっと奇想天外
マキャベリはドイツ語で読みましたが、読みながら織田信長なんか「君主論」の理想の君主に近いなと思ったものです。
この3冊、どれも面白いから読めます!但し、「のってくる」というか「はまり込む」というか、気持ちがその中に「陥没?」しないと、つっかえるかも。
私は吉村昭の歴史小説が美化がなくて好きなのですが、目下「零式戦闘機」と「海の祭礼」で滞っています
そうそう「ふぉん・しいほるとの娘」は、大分停滞しましたが、「はまり込んで」からは一気に読めました。
まあ、誰でも「マイペース」で良いのだと思います
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