フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

9月26日(土) 晴れ

2009-09-27 09:53:00 | Weblog

  9時から大学院の入試の二次試験。一次試験(筆記)を通過した7名に対して面接を実施。1人10分から15分くらいのペースで10時半には終了。引き続き教室会議。合格者の指導教員を決める。合格者は誰が自分の指導教員であるかを入学するまで知らないのであるが、一方、教員の方も、果たしてその受験生が(併願しているであろう他の大学院ではなく)うちの大学院に来るかどうかは4月になってみないとわからないのである。
  昼食は「すず金」の鰻重にする。久しぶりである。上(1600円)と肝焼き(200円)と肝吸い(100円)を付けて1900円は昼食としては贅沢である。景気をつけないと来週からの秋学期のスタートを切れない。目を閉じて、再び目を開けたら、8月1日に戻っていたというSFのような展開を期待して、試してみたが、無駄だった。今日が9月26日で、来週から授業開始というのは疑いようのない現実なのだ。やれやれ。食事を終え、研究室に戻り、ゼミ費の領収書の整理をする。あと一回、冬の合宿をするだけの予算は残っている。セミナーハウスの予約状況を調べ、候補の日程をゼミ生にメールで連絡する。
  上野の東京文化会館で東京バレエ団の公演「ラ・バヤデール」を観る。古代インドを舞台にした、男女の愛と嫉妬の物語である。愛は定番のテーマだから、嫉妬が前面に出ているのが「ラ・バヤデール」の特徴だろう。嫉妬とは自分に向けられべき(そう本人は期待している)相手の愛情が第三者に向っていることを認知したときにその第三者に対して生じる攻撃的な感情である。その第三者がいなくなれば相手の愛情は自分に向うだろうと考えるとき、嫉妬は殺意を帯びるのである。「ラ・バヤデール」では、最初にハイ・ブラーミン(大僧正)が神殿の舞姫ニキヤに一目ぼれして(大僧正なのに!これがそもそもの間違い)、彼女の恋人である戦士ソロルに嫉妬をして、ソロルを消そうとする。次に、ソロルがラジャ(国王)の娘ガムザッティと婚約し(ニキヤという恋人がいるのに!これが致命的な間違い)、ハイ・ブラーミンからニキヤの存在を知らされたラジャとガムサッディがニキヤを消そうとする。結果、ニキヤは死に、ソロルは後悔の念に打ちひしがれ、神は人間たちの振る舞いに怒り、神殿を崩壊させる。・・・そういうストーリー。吉岡美佳はエキゾチックな雰囲気がニキヤにぴったり。8月に観た東京バレエ団の公演「オマージュ・ベジャール」で、吉岡が「バクチⅢ」のシバ神の妻シャクティを踊ったのを観て、(看板スターの上野水香ではなく)吉岡がニキヤを踊る回の「ラ・バヤデール」のチケットを購入したのだ。ガムザッティ役の田中結子は鍛え上げた身体で切れのいい踊りを披露していた。影の王国のヴァリエーション役の3人の中では、岸本夏未のエレガントな身体所作が印象に残った。二階席の最前列だったのだが、この角度で観ると、舞台の後方までしっかりと観ることができるので、群舞の場面は美しかったが、個々のダンサーをしっかりと観るためには、双眼鏡が必要で、私は会場でレンタルしたのだが(500円+保証金5000円)、周囲には双眼鏡を使っている人がほとんどいなかった。1階の前方の席以外では必需品だと思うのだが、どうしてだろう。自分だけ双眼鏡を使っていると、なんだか覗き見をしているようで、居心地が悪いのである。