フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

11月3日(月) 晴れ

2014-11-06 09:37:42 | Weblog

7時半、起床。

振りかけご飯とサラダ(炒り卵、トマト、レタス)の朝食。

11時半に妻と劇団獣の仕業の公演を観に出かける。

場所は王子。

開演は1時なので、その前に、劇場(pit北/区域)の側のカフェで軽く食事をする。

この劇場は、劇団獣の仕業が2008年11月に旗揚げ公演「群集と怪獣と選ばれなかった人生の為の歌」を行った場所である。

この劇場の特徴は舞台を見下ろす二階席があること。

主役のシャイロックが開演前から舞台上にいる。

今回(第九回公演)は「ヴェニスの商人」。「オセロ」(第六回公演)、「空騒ぎ」(第八回公演)に続く、三本目のシェークスピア原作への取り組みである。

「オセロ」のときは、それまで基本的にオリジナル作品でやってきた彼らが古典、それも古典中の古典(シェークスピアの四大悲劇の一つ)に取り組むという意味が強かった。

「空騒ぎ」のときは、悲劇的な色彩の強い作品中心でやってきた彼らが、初めて喜劇らしい喜劇に取り組むという意味が強かった。

では、今回の「ヴェニスの商人」への取り組みの意味は何か。それは、「ヴェニスの商人」という誰もが(演劇に関心のある人なら)知っている作品を自分たちの視点から再構築するということだろう。具体的には、(1)多くの場面から構成される原作をいったん分解し、いくつかの場面を選び、そこにオリジナルな台詞を加味して物語を再編成する。(2)敗者であるシャイロックに焦点を当てて(一番人間としての深みをそなえた登場人物として描く)物語の意味を再解釈する。(3)そのシャイロックに物語のナビゲーター役(観客に語りかける)をさせることで「劇中劇」的な構造にする(それはちょうど二階の客席から舞台を俯瞰するような効果をもたらす)。

一つ一つの工夫は必ずしも独創的なものではないが、あれこれの工夫を総動員して取り組むことで、「劇団獣の仕業のシェイクスピア」というジャンルを完成の域に近づけたということがいえるだろう。

主演後、出演者たちと言葉を交わす。

シャイロックを演じた小林龍二。真面目な変態です。

シャイロックの娘ジェシカを演じた凛子。その名の通り凛とした美しさ。

シャイロックの召使いランスロットを演じたきえる。狂気と純真の間。

さまざまな役を演じた藤長由佳(左)と雑賀玲衣(右)。百戦錬磨の女たちです。

構成・演出の立夏。

(写真はありませんが)音響は阿部健司、照明は寺田香織。

次回(第十回)公演はオリジナル新作が予告された。楽しみだ。

劇場の外に出る。

蒲田に戻り、どこかで遅い昼食をとることにする。

その前に東急プラザの屋上に登ってみる。

存続された都内で唯一の屋上観覧車。

乗ってみることにする。 

妻も一緒に。

観覧車本体は小さいが、屋上にあるので、地上からの高さはある。

駅ビル西館7階の韓国家庭料理の店「草の花」に入る。

プルコギ定食を注文。(妻は参鶏湯定食)

甘辛味の鉄板焼肉である。ご飯が進む。

デザートに韓国風のホットケーキ(のようなもの)を注文。もっちりとした食感で、甘い。

信州旅行から翌日だが、芝居を観るというのは非日常的な世界に遊ぶことなので、まだ旅が続いているような気のする一日だった。