7時、起床。
コンビニで買っておいたスープパスタと牛乳、そして部屋に用意されていたドリップコーヒーの朝食。
8時半過ぎにホテルを出て、札幌駅北口のバス乗り場から用意したマイクロバスに乗って結婚式場であるローズ・ガーデン・クライスト教会へ向かう。ケンゾー君とゼミ同期のエミさん、アヤさん、ユウキ君もいる。もう一人、ホナミさんもいるはずだが、美容院で何かトラブルがあったらしい。
ローズ・ガーデン・クライスト教会は高台の眺めのよい場所にある。
10時から挙式。礼拝堂内は写真撮影はNG。挙式を終え、参列者のフラワーシャワーを浴びる新郎新婦(ケンゾー君とリエさん)。
ここで挙式の様子を式場のスタッフが撮った映像(披露宴のときにスクリーンに映された)で振り返っておこう。
控室での新婦。
聖堂に入る前にお母様にベールを顔にかけえもらう。
向かい合う新郎新婦。
誓いの口づけ。
出口に向かう新郎新婦。
私がとくに印象に残っているのは、誓いの言葉を述べるときのリエさんのはっきりとした口調と声の大きさであった。そして、出口へ向かって歩く時、ケンゾー君がまっすに前方を見ていたのに対し、リエさんが参列者たちに微笑みながら会釈をしていたこと。ケンゾー君より2つ下と聞いていたが、しっかりした女性だなと思った。」
ここからは私のカメラで撮った写真。ケンゾー君は現在、北海道庁の職員をしているが、以前は北海道銀行に勤めていた。リエさんとはそのとき知り合った。
広間で記念撮影。
新郎新婦とそれぞれのご両親。
ゼミ同期の4人と私と並んで。
こうやってひとわたり参列者との記念撮影も行われた。これはユニークなやり方である。私がいままで出たほとんどの結婚式では、結婚披露宴のときに客たちはグループ単位で新郎新婦のテーブルに行って、記念撮影をした。今回の方式は披露宴の時間をもっと別のことに使うための工夫であることを後から知ることになった。
教会から披露宴会場であるレストランまではマイクロバスで移動する。バスが出るまでの時間を使ってゼミ生たちの写真を撮っおこう。
エミさん。昨日から旦那さんとお子さん連れでやってきた。
2期のゼミ長だったアヤさん。卒業以来7年間務めたいまの会社を12月いっぱいで退職するそうである。しばらく遊んで暮らすそうだ。
ホナミさん。今朝、予約しておいた美容院に行ったら、閉まっていて、店の人に電話をしたら、なんと寝坊したという。あわてて系列の別の美容院に行って、事なきをえたそうだ。店から式場までのタクシーの手配と支払いは美容院がしたそうである。
ユウキ君。高学歴、高身長、高収入(かどうかは不明だが、安定した収入ではあるはずだ)。恋人募集中?
2か月前に出産したばかりのミサさんも来られたらよかったのにね。
突然、雪合戦を始める4人(実は私が促した)。
そんなことをしていたら、バスに乗り遅れ、別のバスを出してもらうはめになる。やれやれ。
高台をちょっと下ったところにあるウェディング・レストラン「ピエトラ・セリーナ」。
前撮りの新郎新婦の写真がわれわれを出迎えた。
今日は式場のテラスは雪が積もっていた。これはいつごろ撮ったのかしら。
下の階のホールへ移動。
ドリンクを勧められる。
オードブルもふんだんに用意されている。テーブルに着いての披露宴はこれからだが、すでにパーティー気分である。
クリスマス・ツリーの下のプレゼントの箱はディスプレーだろうか、それとも後でいただけるのだろうか。
こんなものも置かれている。結婚とは一種のギャンブルであるという比喩だろうか。
窓の外には雪化粧した街並みが見える。みんなもう3杯くらい飲んでいるみたいだ。私はソフトドリンクを2杯ほど。
そろそろパーティーの始まりだ。
司会役の女性を先頭にスタッフのみなさんが勢ぞろい。すでにケンゾー君はクリスマスツリーのところでスタンバイ。
新婦の登場だ。
ケンゾー君が迎えに行く。
紙吹雪が舞う中を下りてくる2人。
見つめ合う2人。
ケンゾー君のウェリカム・スピーチ。続いて、彼の職場の上司の方の音頭で改めて乾杯。(おそらく型通りのスピーチも用意されてきたのであろうが、通常の結婚披露宴とは一味違った今日の進行に合わせて、それは端折られたようである。柔軟な対応ですね)
ここでテーブル席の用意された隣の披露宴会場へ移動。
テーブルに着くと名札の裏にケンゾー君からのメッセージが書かれていた。
われわれのテーブルはゼミ同期と私。一人分の空席が設定されていて(私とアヤさんの間)、なんだろうと思ったが、あとでその理由は明らかになる。
さっそく料理が運ばれてきた。
隣室でオードルは食べたから省略されるのではと思ったが、ちゃんと前菜から始まるコース料理である。メニューの説明によると、
フランス産自然放牧豚(どんぐりを食べて育った)バスク豚のパテ ピスタチオ風味
北海道産かぼちゃ・ゆり根 赤ピーツのソース
さて、いただこうかなと箸をもったところで、司会の方が私の名前を呼んでいる。新郎側を代表しての祝辞である。
私は卒業生の結婚式では9割方、新婦側の来賓として祝辞を述べているが、今日は新郎側だ。通常、一番手の祝辞というのは、まだ場が温まっていないので、やりにくいのだが、今回はすでに隣室でドリンクとオードブルでプレ・パーティーをやってきているので、みなさんリラックスしている。前菜を口に運びながら私の祝辞を聞いている(聞いてるよね?)。
祝辞の主たる内容はケンゾー君の書いたゼミ論(卒論)のこと。彼は在学中から結婚情報誌『ゼクシー』の編集部でアルバイトするなど、結婚に関心をもっていたが、ゼミ論も「3.11と結婚観―戦後からポスト3.11へ」と題するものであった。彼が大学を卒業したのは2012年3月でその1年前に東日本大震災を経験しているわけで、その経験を踏まえてのテーマだった。内容の一部を紹介し(拍手が起こったが)、「でも、これは彼が学生時代に書いたもの。理屈で書いたものです。これからそれが実践的に試されるわけですが、自分の結婚観・家族観を絶対のものと考えないで、二人で相談しながらやっていってください」と助言する。結婚とは一種の異文化衝突であり、大きなことから小さなことまで、彼我の家庭文化の違いにカルチャー・ショックを受けることの連続である。
私の祝辞に続いて新婦の職場の上司の方が祝辞を述べた。さきほどの結婚式で素晴らしい歌声を披露されていた方である。
さて、食事だ。
本日市場からの鮮魚。魚介類と春菊のスープ仕立て。
手前の、ちょっとピンボケになってしまったが、牡蠣が美味しかった。
ここでケンゾー君がわれわれのテーブルにやってきて、ゼミ論の置いてある席に座った。
われわれと一緒に食事をするためである。リエさんもご友人のテーブルに行っているのだろう。これは素敵なやり方だ。新郎新婦の席にいて、次から次にやってくる人たちと写真を撮っていたのでは、食事はできない。しかし、今回はすでに写真は撮ってあるから、新郎新婦にもちゃんと食事を楽しんでもらおうということである。
また司会の方からは、新郎新婦のご両親がテーブルを回ってお酌をするという慣習もやめにして、食事を楽しんでいただきましょうと提案した。それがよいと私も思ったが(すでに挨拶はすんでいる)、やっぱり改めて挨拶に回ってしまうのが、親心というものである(笑)。
一皿、ちゃんといただきました。
デミグラスソースに温泉卵が入ったものが運ばれてきた。メニューを確認しないまま私はスプーンでそれを口に運んだ。濃厚なスープである。
しかし、それはローストビーフをくぐらせて(すき焼きの卵みたいに)食べるためのものだった。ああ、お恥ずかしい。
フランス人シェフが各テーブルに来て、切り分けてくれるのである。
一人前の量を示して、「1.5人前くらいいかがですか」と聞かれたので、「はい」と答えたら・・・
写真ではわかりずらいかもしれないが、200グラムくらいはある。結婚披露宴でこんなにたくさん肉料理を食べたのは初めてである。
5種の薬味と、塩コショウと、さきほどのデミグラス+温泉卵のソースでいただく。大満足。
「祗園よねむら」の特製カレーと「楽京」のほうじ番茶
この後にデザートビュッフェへの橋渡しらしい。辛いものの後に甘いもの。
テーブルにはジャズのBGMのリストが立っていて、リクエストできるようになっている。
この方の弾き語りである。いいですね、やっぱり生演奏は。
自称「ビッグママ」の司会の女性はエンターテナ―でパーティーを盛り上げる。われわれのテーブルからアヤさんを連れ出して、一緒に曲に合わせて(「スタンド・バイ・ミー」だったかしら)、スイングを始めた。
私も引っ張り出された。こういうときは照れてはいけないと心得ている。
ケンゾー君が指揮をとる。
バーテンダーの方も見事なパフォーマンスを見せてくれた。スタッフさん、全員、芸達者である。
2人の出会いのストーリーがスライドで語られる。これはひまわり畑での自撮り写真だろうが、『カメラを止めるな』のワンシーンのようにみえなくもない。
入籍は今年の6月16日(付き合って5年の記念日)だった。そうか銀行に勤めて2年目の6月に付き合い始めたのね。
それにしても「付き合い始めた日」ってみんな覚えているの?私はいつから妻と付き合い始めたのか定かではないけど。
さて、新婦からご両親への手紙の朗読だ。
花束の贈呈。
みんな見入ってしまっています。
新郎のご両親へも挨拶。
私も母をハグしてやればよかったかなと思いました。
「感動したね」
両家を代表して新郎のお父様の挨拶。落ち着いて話をされているなと思ったが、後から聞いたところでは、学校の先生をされているそうである。私と同業者だったのね。
新郎新婦が部屋を出た後に、サンタクロースに扮したスタッフの方が、この後のサプライズについて説明をする。「サンタから2人へプレゼントの箱を渡すのだが、開けると中は空っぽ。2人があれっとした顔をした瞬間、みなさん一人一人が2人のそばに行ってメッセージを書いたカードをその中に入れるのです」と。なるほどね。カードと筆記用具が配られ、メッセージを書く。
さて、デザートは隣の部屋に用意してあります。みなさん、移動して下さい。
どうも私は今日はよくいじられる。スタッフの方から帽子をかぶせられる。「私の名はカルロス」。
隣室にはスイーツとフルーツとドリンクがふんだんに用意されていた。パーティー三段重ねだ。
新郎新婦が二階から降りてくる。
お色直しをすませている。
作り立てのウェディングケーキが2人を待っている。
ケーキ入刀。
ファースト・バイト(新郎→新婦)。一生、食べることには困らせないからね、と。
新婦から新郎へのファースト・バイトは大きなスプーンで、というのがお約束であるが、サンタクロースが持ってきたスプーンは想定外の大きさだった。「大匙、半端ない」(座布団一枚!)。
喰らえ! (私は一生美味しい料理をあなたに食べさせてあげる)
ウググ・・・(ごっさんです!)
アトラクションはまだ続く。30名ほどの客が新郎新婦のもつポールに巻き付いたテープを持って、反時計回りに回る。
その中にはリエさんのお友達もいて、何も言わなくてもポーズを取ってくださった。
みんなが回っているときにリエさんがテープをランダムにカットしていく。最後の一人まで残ると2人からのプレゼントがもらえるのだ。
最後まで残ったのはこの男性。2人からのプレゼントはグーグル・ホーム。
楽しかったパーティーもお開きの時間が近づいてきた。ケンゾー君からの挨拶。
続いてリエさんからの挨拶。
さあ、さきほど打ち合わせたサプライズの時間だ。サンタクロースから2人にクリスマスプレゼントが渡された。しかし、中は空っぽ・・・
そのときみんなが二人のところにやってきて、メッセージの書かれたカードを箱の中に次々に投入する。
サプライズ大成功!
私の傍らにリエさんのおじさんがやってこられ、私の手を強く握った。大きな手だ。
いい結婚式でしたね。
会場を出るとき、2人の写真をもう一枚撮る。私から2人へのメッセ―は、「2人で見上げる空はいつもいい天気」である。
雲
ジョン・ラスキン
世の人々は今日はよい天気だ
また、悪い天気だ、などというが、
天気によいも悪いもありはしない
みなよい天気ばかりである
種類が違うだけなのだ
晴れた よい天気
雨の降る よい天気
風の吹く よい天気
という違いがあるだけ
ラスキンのこの詩に、私はもう一行(最後の行の前に)付け加えたい。
雪の降る よい天気