フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

12月16日(日) 曇り(アフタヌーンティー篇)

2018-12-18 16:19:28 | Weblog

(承前)

句会の会場を一足先に失礼して、戸山キャンパスの正門へ。卒業生のホナミさん(論系ゼミ3期生)と待ち合わせ。彼女は30分ほど前に来て、新しくなったキャンパスを見物していた。入口のところは「別の大学みたいですね」と彼女は言った。彼女の在学中はまだスロープの横にプレハブ校舎が建っていたのだ(そうだよね?)。

さて、ランチはどこで食べましょう。その前に聞いておきたいのだけれど、今日は何かよい報告があるのかな? 「はい、あります」と彼女は答えた。そうですか。では、よい報告を聞くのにふさわしい場所に行きましょう。

大隈庭園に隣接するリーガロイヤルホテル東京のガーデンラウンジ。

ここはときどきTVドラマのロケにも使われるから、見たことのある人もいるのではなかろうか。

天井まで届く明るい吹き抜けの空間である。

彼女は卒業式のときの着付けの場所がこのホテルだったそうだが、このガーデンラウンジは初めてとのこと。

 気品のある彼女はこの空間がお似合いです。

ちょうど2時からアフタヌーンティータイムだったので、 それを注文する。

紅茶(ポット)は私はアールグレー、彼女はダージリン。お替りは自由で、コーヒーもありとのこと(ただし2時間という時間制限がある←十分だけど)。

最初にスコーン2種とジャムとクロテッドクリームが運ばれてきた。

続いて二段重ねのお皿が2セット。「まやんち」だとテーブルが狭いこともあって、二人盛りで運ばれてくるが、ここでは別々だ。

下段の皿はフード系。(説明を受けたけど忘れちゃいました)

上段の皿はスイーツ系。手前からアップルパイ、チョコレートケーキ(オペラ)、クリームブリュレ、ビスタチオのムース、苺のプリン。これは見ればわかる。

さて、アフタヌーンティーをいただきながら、「よい報告」というのを聞きましょう。 

10月の末の彼女の誕生日に3年お付き合いしている彼からプロポーズをされ、「はい」と答えたそうです。

そして先日、彼女の実家を彼が訪れ、彼女の両親に「ホナミさんと結婚させて下さい」の挨拶も無事済ませたそうである。

かくして彼女の薬指には婚約指輪が。おめでとう!(そういう話であろうことはわかっていましたが)

結局、われわれは紅茶のお替りをし、さらにコーヒーもいただいた。

ホテルを出る前にロビーのソファーで別のアングルからのポートレイトも撮っておく。

ついでにわれわれのツーショットもセルフタイマーで撮っておく。 

これから新宿で彼女のきょうだいと婚約者で食事だという彼女とは地下鉄の改札で別れる。

今日はずっとインドアでしたが、本来の彼女はアウトドア派。春になったらカフェめぐりの散歩をしましょう。

6時、帰宅。

夕食はポトフ。 

食後にホナミさんからいただいたクッキーを食べる。 

2時、就寝。 


12月16日(日) 曇り(句会篇)

2018-12-18 00:10:36 | Weblog

9時、起床。

トマトスープパスタ(インスタント)の朝食。

11時に家を出て早稲田へ。ただし大学へではなく、「カフェゴト―」へ。今日は句会の日。これまで奇数月に開催していたのだが、今回は11月に吟行パスツアーが入ったため、11月の例会が1つずれて年末の句会となった。兼題は「年の暮」。

参加者は5人と少なめ。紀本さん、渺(びょう)さん、月白さん、こかよさん、私(たかじ)。

ここに投句のみの参加の蚕豆さん、花さん、理衣さんが加わって、作品は8人×3句の24作品となった。紀本さんの提案で、今回は各自、天(5点)1句、地(3点)2句、人(1点)2句を選ぶことになった。

ケーキとお茶を味わいながらの選句。兼題が「年の暮」ということもあって、年末の句会らしい作品がそろった。 

私は次の5句を選んだ。

 天 一枚の写真で止まる大掃除

説明は不要の句だろう。「あるある」である。作者は女性と思うが、どんな写真なのだろう。昔の恋人かしら。いや、女性はそういう写真は捨てるものだと聞いている(旧い恋は新しい恋によって上書きされると)。とすると学生時代の自分と友人の写真だろうか。

 地 シリウスはいずこ街は迷子だらけ

シリウスは全天で一番明るい星である。それがわからないのだから曇天なのだろう。雪もちらつきはじめているのかもしれない。「迷子」は本当の迷子ではなく、街に繰り出して、少し浮かれた人たちのことだろうか。ブリューゲルの絵のような情景。

 地 独り居のケトルつんざく年の暮れ

水商売の独り身の女性が一年で一番嫌いな季節が年末年始だと聞いたことがある。客の男たちがみんな「家庭」に帰ってしまうからである。沸騰したケトルの音が「キーン」と部屋に響き、耳を塞ぎたくなる。ムンクの絵の人物のように。

 人 見上げれば月のうさぎの冴え冴えと

冬の夜の冷たく澄んだ空気が感じられる。童話の挿絵のような素直な作品。

 人 時の謎解きあぐねては年の暮

「時の謎」とは「時間とは何か」といった哲学的な問いではあるまい。誰もが抱いている「なぜ時間がだんだん速く過ぎて行くように感じるのか」という問いのことであろう。実は私はこの問いの解を知っているのであるが、ここはそれを語る場所ではない。

全員の選を集計した結果、次のようになった。

12点 一枚の写真で止まる大掃除 月白

 今回の特選句。私が「天」、紀本さんとこかよさんが「地」、渺さんが「人」を付けた。作者以外の出席者全員が選んだわけだ。みな「あるある」感にやられたようである。冷静に鑑賞すると標語風な感じもする(笑)。私が月白さんに「写真に写っているのは元彼とかですか?」と聞いたら(隣りで夫の渺さんがニヤニヤしてる)、月白さんは笑いながら「子どもたちが小さかったころの家族写真です」と答えた。波風を立てまいとしているようだった(笑)。

10点 ほら独り行こうじゃないか雪迎え 蚕豆

 旭川から投句した蚕豆さんの作品。紀本さんとこかよさんが「天」を付けた。「雪迎え」とは「蜘蛛が糸を出して空中を飛んでいる様子」のこと。不思議な魅力のある句であるが、「ほら」が調子がよすぎて作者の立ち位置をわかりずらくしている(「ほら」というと雪迎えを指差している感じがするが、意味的には「さあ」ではなかろうか)と感じて、私は採らなかったが、後から作者が送ってきたラインの説明では、加藤登紀子の「ララ行こうじゃないの」という歌に触発されて「ララ」にしようかと最初は考えたが、似過ぎているので、「ほら」にしたとか。本当だろうか。ホラじゃないの?(笑)

9点 独り居のケトルつんざく年の暮れ 渺

 男性の作品でしたか。紀本さん、こかよさん、私がそろって「地」を入れた。渺さんと月白さんはご夫婦だが、普段は東京と京都で別々に暮らしている。出席者の中で月白さんだけがこの句を採らなかったというのが面白いところである。夫の気配を察知したのかもしれない(笑)。なお、紀本さんから「年の暮れ」を下五に使うときは「年の暮」とするのが普通という指摘があった。「夕焼」とかと同じですね。

7点 シリウスはいずこ街は迷子だらけ 月白

 月白さんの作品。渺さんと私が「地」、こかよさんが「人」を付けた。ハロウィンの夜の渋谷のハチ公前のスクランブル交差点の様子を詠んだという作者の説明があった。シリウスが見えないのは、街の明かりのためである。迷子は、仮装してはしゃぐ若者たちで、「この子たち、行く場所がないのじゃないかしら」という作者の批判的まなざしが彼らを迷子に見立てているのである。

7点 時の謎解きあぐねては年の暮 蚕豆

 蚕豆さんの作品。今回もファンタジックで来てますね。渺さんが「天」、月白さんと私が「人」を付けた。渺さんがラインで作者に「時の謎」って何?と尋ねたら、「深く考えなくていいですよ。それぞれのイメージでとらえてください」と俳人ぽい答えが返ってきた。「なぜ時間がだんだん速く過ぎて行くように感じるのか」じゃないの?

5点 銀杏舞う催眠術師の黄の振り子 渺

 月白さんが「天」を付けた。ここまで月白さん、蚕豆さん、渺さんの3人で上位を占めている。夫婦と昔からの友人だ。インサイダー疑惑あり(笑)。「銀杏舞う」と来れば「黄の」はあえていわなくてもわかるので、この二音は何か別のことに使えると夏井先生ならいうところ。たとえば?それはわかりませんけどね(梅沢名人流)。

4点 降る雪やまだ見ぬ街を思いけり たかじ

 私の句。月白さんから「地」、紀本さんから「人」をいただいた。「降る雪や」とくれば「明治は遠くなりにけり」(草田男)という名句があるが、こっちは過ぎ去った時間ではなく、これから向かおうとしている空間に思いをはせている句。私自身の心境を詠んだものではなく、句会のメンバーで、来春から旦那さんの仕事の関係で東京を離れることになったあゆみさんの心境を詠んだものである。ちょっと気分が塞ぐ、でも前向きに行かなくては、住めば都だと自分を鼓舞している。

3点 凍星(いてぼし)や歯医者帰りの弾む息 理衣

 今日、参加の予定だったが、旦那さんが熱を出して来られなくなった理衣さんの作品。月白さん、渺さん、こかよさんがそろって「人」を付けた。私流の勝手読みだが、「凍星」の「イテ」は歯が「イテッ!」を連想させる。だから歯医者さんに行った。治療してもらって痛みはなくなった。よかった、これでククリスマスや年末年始のご馳走が楽しめる、と気分も弾んでいるのだ。 

3点 昼と夜のたちまち廻るや年の暮れ 花

 京都から投句の(まだ一度もお顔を拝見していない)花さんの作品。やっぱり年末は時間のスピードが速くなるのだ。

3点 背中から疲れはじめる年の暮 紀本

 紀本さんが「ぼうずを免れてホッとしました」と言った作品。月白さんが「人」をつけた。「背中から疲れはじめる」という感覚が私には分かりにくいが、特選の「あるある」句に比べるとネガティブな感じを詠んだ句を選ぶところが月白さんらしいと思った。

1点 凍星やヒールの響く丸の内 こかよ

 紀本さんが「人」を付けた。こかよさんは以前、丸の内でOLをされていたらしい。私は通勤途中で(京浜東北線から東西線の乗り換えのときに)OAZOビルの地下街を歩くが、ちょうど昼休の時間帯のことが多く、女性たちはさっそうと歩いていますね。

1点 見上げれば月のうさぎの冴え冴えと 花

 私が「人」を付けた。「月」単独だと秋の季語だが、「月冴える」とすれば冬の季語となる。 

投句した8人全員が入選した(ぼうずはいなかった)のはよかった。 

次回は2月24日(日) 兼題は「数字を入れる」(今回特選だった月白さんが出題)