9時、起床。
トースト、サラダ、牛乳、紅茶の朝食。
昼過ぎに家を出て、大学へ。夏休みの間、週に一度のペースで大学に出るから、ゼミ論の相談を希望する者はメールで申し込むようにとゼミ生(4年生)には言ってある。今日はA君のゼミ論指導である。
ところが研究棟のドアが空かない。ドアの脇のセンサーにIDカードをかざしても開かない。停電状態のようである。「あっ」と私は口の中で小さくつぶやいた。今日はキャンパ全体が停電・断水状態になるのだった。前にそのことを事務所からのメールで知らされていたのだが、失念していたのである。
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【お知らせ】夏季の停電・断水について
以下の日程で停電・断水となりますのでご承知おきください。
【8月13日(月)終日】※一斉休業期間中
戸山キャンパス電気設備・給水設備定期点検に伴う●停電●断水
(場所)戸山キャンパス全域
(内容)・戸山キャンパス全館にて停電致します。(エレベーター・自動ドア も停止)
・停電に伴い給水(水道)関係の使用もできません。
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そういわれてみるとキャンパスには工事関係者のものと思われる車がたくさん停まっている。
36号館の前のベンチにA君がいた。午後2時からの約束で来たのだが、研究棟に入れず私にメールを送っていたのだ。警備の人に頼めば、研究棟のドアは手動で開けてもらえるだろうが、研究室の照明もクーラーも、トイレも使えないのであるから、入ってもしかたがない。ゼミ論相談はキャンパスの外、どこかのカフェで行うことにしよう。
「あゆみブックス」の二階の「シャノアール」に行く。顔見知りの先生たちが学生たちと読書会や面談をしていた。私と同じように停電・断水のことをうっかりしたのであろう。
私は昼食をとっていなかったので(鞄にはコンビニ買ったおにぎりとお茶が入っているのだが、ここで食べる訳にはいかない)、ホットサンドとコーヒーを注文。A君に「君も何か好きなものを注文して下さい」というと、彼はアイスコーヒーを注文した。
A君のゼミ論相談を3時半ごろ終えて、研究室には戻れないので、 そのまま帰る。乗り換えのとき、大手町駅のベンチでおにぎり(梅干し)を食べながら(お茶のボトルを脇において)しばらく本を読む。思いのほかはかどる。
「丸善」丸の内店に寄って行く。
購入した本と文具を持って、4階のカフェに行く。オレンジフロートを注文。ここではこれを注文することが多い。
購入した本は、吉行淳之介『暗室』(講談社文芸文庫)。さすが「丸善」、各社の文庫本の品揃えが素晴らしい。
沢木耕太郎が『作家との遭遇』の中で、吉行淳之介の作品の中から3作を選べと言われたら、躊躇なく、短篇小説としての「寝台(ねだい)の舟」、長編小説としての『暗室』、自伝としての『私の文学放浪』を挙げるだろうと書いている。
私は吉行の熱心な読者ではない。「寝台の舟」も『暗室』も読んでいない。『私の文学放浪』(講談社文芸文庫)は所有しているが読んではいない(私は自伝というジャンルに関心があり、いろいろな人の自伝を資料として収集しているのだ)。吉行淳之介というと「娼婦小説」の名手で、銀座のバーでいつも酒を飲んでいる文士タイプの作家というイメージあり、食わず嫌いなところがあった。しかし、沢木耕太郎が「作家論」を書くだけの作家ということであれば、代表作くらいは読んでみようという気になったのである。
読み始めて驚いた。『暗室』はすごい作品である。やっぱり文学全集に入っているような作家の代表作は、吉行淳之介に限らず、ひとわたり読んでおくべきだと思った。「読まずに死ねるか!」というのは内藤陳の本のタイトルだが、そこまで啖呵を切る気はないが、「読まずに死ぬのはもったいない」とは思う。
コクヨのフィールドノートブック(測量野帳)のカラーバージョン4冊。手帳ブームに便乗したやたらと高価な手帳が多い中、良心的な価格(350円)である。
カフェには1時間半ほど滞在。
電車の中にいるとき、妻から「帰りは何時くらいになる?」とのラインのメッセージが届く。「7時ごろかな」と返す。
夕食は冷豚シャブ。胡麻ドレッシングとポン酢で。
2時半、就寝。