8時、起床。
今日から8月。昨日のうちに採点を終えたので、名実ともに今日から夏休みである。
体重を計ったら、許容範囲をオーバーしていた。このところの猛暑で、外出を必要最低限に抑え、しかし、食事はいつもと同じように食べていたからである。室内でできる運動をするか、食べる量を減らすかだが・・・。
トースト(はちみつ&オリーブオイル)、目玉焼き、ソーセージ、肉巻き、サラダ、牛乳、紅茶の朝食。夕食の残りの肉巻きを食べた分、いつもの朝食よりカロリーが増えてしまった。
本日の『らんまん』。学会誌を刷り直し(論文を田邊と連名に修正)、田邊の家に詫びを入れに行ったが、門前払いを食う。万太郎を追い払い「祝杯」をあげる田邊。これは天誅が下りますね。
昨日のブログを書いてアップする。
暗雲が空を覆い始めた。
雷雨だ。日照り続きの東京には恵みの雨である。
昼食はカップ麺で済ますかと考えていたが、3時近くになって雨が上がったので、外出することにした。
専門学校沿いのハナミズキが枯れている。街路樹が枯れるとは驚いた。根が浅かったのだろう。恵みの雨が少し遅かった。
「テラス・ドルチェ」に行く。
カウンター席に座り、注文を済ませてから、バッグから本を取り出す。
サローヤン「心が高地にある男」を読む。こんな書き出しから始まる小説だ。
一九一四年、僕がまだ六歳にもなっていないとき、年とった男の人が一人、軍隊ラッパをソロで吹きながらサンベニート・アベニューをやって来て、僕たちの家の前で止まった。僕は庭から駆け出て歩道の縁に立ち、男の人がまた吹き出すのを待ったが、いっこうにやりそうもなかった。ぜひもう一曲聞きたいんですけど、と僕が頼むと男は言った。坊や、水を一杯持ってきてくれるかね、心がここになく、高地にある老いた男に?
コウチって? と僕は尋ねた。
スコットランド高地だよ、と年とった男の人は言った。持ってきてくれるかい?
おじさんの心、スコットランドの高地で何しているの?
私の心はそこで悲しみに暮れているのさ。冷たい水、持ってきてくれるかい?
カウンターの横にはコルトレーンのLPレコードが置かれていた。サローヤンが「心が高地にある男」を発表したとき(1936年)、コルトレーン(1926年生)は10歳の少年だった。
海老ピラフとスープが運ばれてきた。
海老ピラフを食べ終ると、コーヒーとランチタイムサービスのミニデザートが運ばれてきた。たしか入店したのは3時を数分過ぎていたかと思うが、サービスの延長をしてくれたようである。
ミニデザートはコーヒーゼリーのことが多いが、今日はチョコレートアイスだった。
デザートを先に食べて、コーヒーを飲みながら、シュウォーツ「夢の中で責任が始まる」を読む。こんな書き出して始まる小説だ。
1909年だと思う。僕は映画館にいるような気がして、光の長い腕が闇を横切ってくるくる回り、僕の目はスクリーンに釘付けになっている。これは古いバイオグラフ映画かと思える無声映画で、俳優たちはとんでもなく古臭い服を着ていて、一瞬の光がパッと飛んでまた別の光が現われる。俳優たちもひょひょこ飛び回って歩き方も速すぎるようみ見える。撮影したとき雨が降っていたみたいに場面全体が点や線だらけだ。光も不十分。
「僕は映画館にいるような気がして」という表現から薄々感じられるように、実は、主人公は夢の中で映画舘にいるのである。スクリーンの中には結婚する前の父親と母親がいて、デートを重ね、プロポーズの場面になる。そのとき主人公は椅子から立ち上がって、スクリーンに向かって叫ぶ。
「やめろ。まだ遅くないぞ、二人とも考え直すんだ。結婚しても何もいいことなんかないぞ、後悔と、憎しみと、醜聞と、最悪の性格の子供たち二人が生まれるだけだ。」
ただし、これが小説のラストではない。話はもう少し続く。
「夢の中で責任が始まる」を読み終えて、店を出る。滞在時間は1時間ちょっと。
アーケードを出ようとするところで、「大久保先生」と声を掛けられる。「ティースプーン」の島田さんだった。蒲田に用事があって自転車で来たのだが、雷雨で帰れなくなって、駅ビルで時間を潰して、これから帰るところだそうである。最近、犬を飼い始めて、6カ月になるトイプードルなのだが、いま、訓練所に預けて躾をしてもらっているところだそうだ。訓練期間は40日とのことで、その間、愛犬と会えないのは淋しいでしょうと言ったら、週に一度、秦野にある訓練所まで会いにいかれているそうである。
帰宅すると、チャイが玄関までお出迎え。猫の躾の訓練所というのは聞いたことがないが、猫は外に連れて出ないからだろう。でも、なんでも口に入れないとか、飼い主の手足に噛みつかないとか、必要最低限の躾は必要だ。それは飼い主がすればいいことなのだろう。
夕食まで原稿書き。学期中に書き続けていたオンデマンド授業用の放送原稿ではなく、雑誌に載せる原稿(論文)で、夏休みの仕事の中ではこれがメインになる。テーマは「清水幾太郎における孤独と社交」。秋学期の専門演習「現代人と孤独」の教材としても使えるといいと考えている。
夕食は照り焼き地鶏丼、トウモロコシ(塩)、トマト(オリーブオイル)、味噌汁。
清水電気さんにいただいた梅干を茶漬けで食べる。
食事をしながら『この素晴らしき世界』第二話をTVerで観る。ビデオで録りそこなったのである。
原稿書き。
風呂から出て、『ジェットストリーム』を聴きながら、今日の日記を付ける。
チャイがいつの間にか書斎に来て寝ていた。
「私を書斎に閉じ込めて寝ないでね」
1時半、就寝。