フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

11月24日(火) 曇り

2009-11-25 01:03:22 | Weblog
  8時少し前に起床。ベーコン&エッグ、トースト、牛乳の朝食。フィールドノートを更新し、授業の準備をして、11時に家を出る。
  昼休み。382教室で1年生を対象にした現代人間論系進級オリエンテーション。開始前に助手のAさんから「先生、話が長くならないようにしてくださいね」と注意を受ける。ああ、なんという民主的な論系なのであろう、助手が主任教授に注意するとは。しかし、同じ助手のS君や助教のK君が側でニヤニヤしているところを見ると、これは論系の民主的構造というよりも、Aさん個人のパーソナリティのなせる業のようである。怖いもの知らずというべきか・・・。
  オリエンテーションはまず私が論系全体のおおまかな説明をして、続いて4つのプログラムごとに先生とゼミの学生(代表1名)に登場してもらい、話をしてもらった。各先生に話をしてもらうのは毎度のことなので、今回は新味を出すために論系の先輩から1年生の諸君に呼びかけをしてもらったのである。「僕はゼミを阿弥陀くじで決めました」という、「おーい、誰だ、こんな学生を連れてきたのは?」というような発言もあったが、全体としては、なかなかよかったのではないかと思う。明らかに先生よりも学生の話の方がわかりやすいケースもあったように思う。そのうち論系全体の紹介も主任に代わってやってもらってもよいかもしれない。用意した資料160部は全部はけて不足が生じた。あとから資料はありませんかと言いに来た学生がいたので、私の分をさしあげ、ついでに(頼まれたわけではないが)サインをしてさしあげた。これを机の前に張って毎日手を合わせれば、無事進級できるだろう。
  3限・4限は研究室で学生の面談。5限は大学院の特論。帰りがけにあゆみ書房で『新潮』12月号と図書カードを購入。『新潮』に掲載されている黒井千次「高く手を振る日」が昨日の新聞の文芸論で高い評価を得ていたので読んでみようと。図書カードは娘の誕生日のプレゼント。蒲田に着いて、駅ビル西館の1Fに入っている3軒の洋菓子屋でマカロン(娘用)、チョコレート(妻用)、クッキー(息子用)、それからケーキ(家族用)を購入。娘と妻は誕生日が3日違いなのでプレゼントを渡すのは一緒の日にしている。息子の誕生日は6月なのだが、22日・23日の両日、筑波大学で開催されたマウス(ロボット)の大会に出場して特別賞というものをいただいたので、クッキーはそのお祝い。紙包みをたくさん抱えて帰宅すると、妻があきれたように、娘の誕生日は明日だという。そ、そうであったか。誤解のないように書いておくが、私は娘の誕生日が25日であるのを忘れたわけではなく、今日が25日であると勘違いしたのである。妻と2人の夕食の後、ケーキをデザートに食べる。初めての店で購入したのだが、なかなか美味しいケーキだった。これから贔屓にしよう。夜遅く、娘が帰宅。時計が0時を回るのを待って(つまり25日になってから)マカロンに図書カードを添えて渡す。誕生日、おめでとう。

11月23日(月) 晴れ

2009-11-24 09:09:12 | Weblog

  8時、起床。今日は快晴だ。日毎に天気が変わる。昨夜の鶏鍋の残りに卵を落として朝食のおかずとする。鶏肉、牛蒡、しめじ、白滝が入っている。

   あれこれの雑用を片付ける。文書・資料を作成してはメールであちこちに送る。確実に片付いているはずなのだが、あまり減っている感じがしない。雑用の山はどうしてこんなに高く見えるのであろう。  昼食は妻が買ってきた握り寿司。録画しておいたNHKの土曜ドラマ「外事警察」の第一話を観る。面白い。コミカル度はゼロだが、サスペンスとしては「東京ドッグ」の10倍は面白い。陰影のある映像を多様してアンダーグラウンドな雰囲気を出している。
  ドラマを観終わって、散歩に出る。「シャノアール」で珈琲を注文し、持参した資料を読む。『男女共同参画に関する意識調査報告書』(大田区、平成21年10月)。5年前の調査結果と比較して、意識の進んでいる部分もあれば、後退している部分もある。たとえば、「男は仕事、女は家庭」という性別役割分業の考え方をどう思うかという質問に対する回答は、男性では「同感できる」が40%から35%に減少しているのに対して、女性では逆に26%から31%に増加している。これまでこの種の質問への回答は、女性の意識が先行し(性別役割分業観への反発)、男性の意識がそれに後からついていくという形で推移してきたのだが、ここにきて、女性の意識のゆりもどし(保守化)の傾向が観察される。


蒲田駅西口


東急線ガード下(食いだおれ横丁)

  資料を読み終えて、店を出る。駅前の「キシ・フォト」を覗いたら、デジタルメモ「ポメラ」が2万円を切る価格で展示されていたので、購入した。一緒に、2ギガのマイクロ・SDも購入(東芝の国外向け製品で、なんと、780円)。帰宅して、さっそく箱から出して、使ってみる。本体は電子辞書並みの大きさで、鞄に入れて携帯しやすく、キーボードはパンタグラフ式なので両手での入力が可能、液晶画面も見やすい(背景を黒にすると、一太郎バージョン3を使っていた頃を思い出す)。表示の文字の大きさが3段階で選択できるようになっている。入力時は中サイズで、読むときは小サイズでと使い分けられる。しかし、なんといっても起動時間が2秒というのがノート感覚で使えてよい。 


左は能率手帳、右がポメラ(閉じているとき)


使用中

   夜、明日の現代人間論系進級オリエンテーションで使うパワポの資料を作る。昼休みの時間といっても、382教室は前後に授業が入っているので、正味30分ほどしか使えない。あわただしいことこの上ないが、何もやらないよりはよいだろう。


11月22日(日) 曇り

2009-11-23 01:52:46 | Weblog

  9時、起床。目はもっと早くに覚めているのだが、寒い日は、布団の中で温まっていたいので、起床時刻が遅くなる。
  朝食抜きであれこれ用件を片付け、午後、自転車に乗って「東行」にうどんを食べに行こうとした。ところが、出がけに、子雀が書斎の中で行方不明になった。あちこち探したが姿が見えない。鳴き声もしない。ただ、かすかにカサコソと音がする。ようやく見つけたのが、ファイルボックスの中。クリアーファイルが数冊入っているのだが、隙間ができていて、そのクレパスみたいな部分に落っこちて、挟まって身動きできずにいるのを発見。どのくらいの時間そこにいたのだろう。救出してやると籠の中に入って餌を食べ水を飲んでいた。まるで生還した遭難者みたいだ。「チュン、チュン」と鳴けばよいものを、なぜ黙っていたのだろう。ドジを踏んでしまったところを見つかるのが恥ずかしかったからであろうか。そんなわけはあるまい。あるいは、身動きできない状態に陥った場合は、外敵から身を守るために、鳴いて所在がわかってしまうことを避けるのだろうか。
  子雀捜索に時間がかかり、「東行」へ着いたのは2時を回っており、ランチタイムが終って「準備中」の札が出ていた。いたしかたない。「東行」のうどんは諦めて、喫茶店「琵琶湖」の向かいにある「松月庵」で鍋焼きうどん(上)を食べる。今日のような寒い日は、鍋焼きうどんが美味しい。上だけあって海老の天ぷらが2本入っている。ただ餅が入っていないのはどうしてだろう。鍋焼きうどんには餅を入れるものではないのか。餅がトロトロに溶ける手前が美味しいのだが。今度ここで鍋焼きうどんを注文するときは、餅をリクエストしよう。プラス100円くらいで注文に応じてもらえるだろう。


冬は鍋焼きうどん

  食後のデザートは「甘味あらい」の田舎しること決めて、呑川沿いの道を自転車で走る。腹ごなしにはちょうどいい距離だ。甘党の人は漉し餡派と粒餡派に分かれているようなところがあるが、私はどちらも好きである。色白の女性もいいし、小麦色の女性もいいのと同じである(違うか)。鍋焼きうどんで食べられなかった餅にありつく。江戸の仇を長崎で討つみたいなものである(違うか)。珈琲を追加注文しうよかと思ったが、店が混んできたので、長っ尻はしないことにした。


御前汁粉も美味しいが、今日は田舎汁粉の気分

  珈琲に未練があったし、読書もしたかったので、女塚通り商店街にある「あるむ」(だったか?)という喫茶店に入る。四つ角にある、白い小さな喫茶店で、前から気になっていたのだが、入るのは今日が初めて。品のいい老夫婦(だと思う)がやっている小さな喫茶店で、4人掛けのテーブル席が2つ、カウンターに4席、それだけだ。店内にはクラシックが流れていた(たぶんマーラーの交響曲)。客は私だけで、スペシャルブレンド(450円)を注文して、1時間ほど読書。その間、他の客は入ってこなかった。店の片隅に鉄琴が置いてあり、ただでさえ狭い店内をいっそう狭くしていた。ずっと使われていないようだが、昔は生演奏とかしていたのだろうか。


店の名前がちゃんと思い出せない  

  夜、ETV特集「ピアニストの贈り物~辻井伸行・コンクール20日間の記録~」を観る。今年6月、ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで全盲のピアニスト辻井伸行が優勝したが、その20日間(一次予選からファイナルまで)を同行取材したドキュメント。非常に面白かった。ビデオに録っておくべきだった。自分の自由にやれるソロ演奏は問題ないが、大変なのは、室内楽(弦楽四重奏団との協演)やコンチェルトだ。意外なことに、全盲であることはそれほど大きな障害ではなかった。各楽章の出たしのことろで、アイコンタクトができなくとも、息づかいでタイミンを合わせることができる。大変だったのは、辻井は英語が不自由なため、楽団員や指揮者とのコミュニケーション(演奏の仕方をめぐって)を通訳を介してしないとならず、したがって時間がかかり、実質的に練習時間が他のピアニストの半分しかとれなかったことだ。視覚の壁よりも言葉の壁の方が厚かったのだ。それにしても、10時から11時半まで、書斎にずっとピアノ曲が鳴り響いていたのは、眠りに就こうとしている子雀には迷惑だったことだろう。


11月21日(土) 晴れ

2009-11-22 02:56:45 | Weblog

  8時半、起床。目玉焼き、トースト、牛乳の朝食。大学の事務所に出向かなくてはならないかもしれない用件があったのだが、電話とメールであっさり片付いたので、やれやれという気分で、子雀に餌をやり、フィールドノートの更新。陽射しが暖かい。


久しぶりに朝食の写真をアップしてみました

  午後、散歩に出る。まず、「鈴文」で昼食をとる。とんかつ定食(1300円)。最近はランチタイムであっても、ランチのとんかつ定食(950円)ではなく、こっちを注文することが多い。「鈴文」一押しのメニューである。塩で2切れ、醤油で1切れ、とんかつソースと辛子で3切れ、どれで食べても美味い。通常であれば喫茶店で食後の珈琲を飲むところだが、今日は「鈴文」を出てすぐに電車に乗って、恵比寿の東京都写真美術館でやっているコレクション展「旅」第三部「異郷へ」を見物に行く。
  展示室へ行く前にロビーの売店をのぞいていたら、「大久保先生ですよね」と声をかけられる。社会学専修の卒業生のY君だった。調査実習報告書『そして彼らは30代の半ばになった』(2004年3月)のときのメンバーの一人で、卒業して4年目になる。「いま、どうしてるの?」と聞いたら、同じ就職先(東販)でやっているそうだ。けっこう転職をしている卒業生が多いので、なんだか「へぇ」という気分になる。頭が切れ、人柄もよく、おまけにハンサムという、三拍子揃った学生だった。たまにいるんですね、Y君みたいな学生が。今日はセバスチャン・サルガド「アフリカ」展を観に来たのだという。連れの女性がいるようだったので、話は早々に切り上げて、「じゃあ、また」「今度、研究室にうかがいます」と言葉を交わして別れた。


「異郷へ」

  「異郷へ」は日本の写真家たちが外国で撮った作品で構成されている。安本江陽や木村伊兵衛の撮ったパリの写真、名取洋之助や三木淳や林忠彦の撮ったアメリカの写真がとくに印象深かった。非日常(旅)の中にある日常を撮った写真にとくに惹かれるものがある。そして、いつもそうなのだが、いい写真展を見物すると、自分もそういう写真が撮れそうな気分になる。スポーツや音楽やバレエとかでは、そういうことはありえないのに、写真のときだけそういう気分になるのは、どういう錯覚のメカニズムが働くのであろう。


11月20日(金) 曇り

2009-11-21 12:51:17 | Weblog

  8時半、起床。ハムトースト、ブロッコリー、紅茶の朝食。午前中はあれこれの雑用を片付け、昼に家を出る。
  3限は講義「ライフストーリーの社会学」。昼休みの時間に文芸ジャーナリズム論系のオリエンテーションがあって、時間ギリギリまでやっていたようで、学生たちがたくさん教室の外の廊下で待っていた。われわれ現代人間論系は来週の火曜日にやるが、12時55分には終るようにしよう。
  4限は、ミルクホールで購入した調理パンを食べながら、本日夕刻、アルカディア市ヶ谷(旧私学会館)で開かれる、中学生作文コンクールの表彰式で述べる講評の原稿を書く。4時過ぎに研究室を出て、30分ほどで会場に着く。表彰式は5時開始なので、それまで控え室で原稿の最終チェックをしようとしたら、なんと、プリントアウトした原稿を研究室に忘れてきたことに気づく。やれやれ。不幸中の幸いだったのは、さきほどまで書いていた原稿だから、頭の中に内容は残っていたこと。その要点を簡単にメモ書きして、表彰式に臨んだ。式は式次第にそって粛々と進み、えらい方々の祝辞がひとわたり終ったところで、私の出番となった。

  「早稲田大学の大久保と申します。2年に一度、講評の役目をおおせつかっておりますが、本日は、少々緊張しております。理由は二つあり、1つは、今回の受賞者のみさなんのお名前には難しい読み方のものが多いこと。千奈(せんな)さん、香葉(かえで)さん、奏美(かなみ)さん、和(のどか)さん、知和(さとの)さん・・・、う~ん、どれも難しい。啓太君や正基君にはホッとします。もし講評の中でお名前を読み間違えたらごめんなさい。もう1つは、原稿を忘れてきてしまったこと。きちんとした原稿を準備したのですが、鞄に入れてくるのを忘れてしまいました。ですので、半分は原稿の内容を思い出しながら、半分はアドリブでお話することになります。1つの作品について1分ほどで、受賞8作品の講評を述べたいと思いますが、アドリブが入ると長くなりがちなので、そのときは指をくるくるして(「巻きで」と)教えてください。では、講評に入ります。まず、文部科学大臣奨励賞の宗田千奈さん「空からの愛」・・・」

  思ったとおり、予定の時間(10分間)を5分ほどオーバーして(誰も注意してくれなかった)、講評は終了。他の委員から、「原稿を準備したって、嘘でしょ」と言われる。本当ですから、信じてくださいよ。ああ、緊張した。
  アドリブ部分が一番多くなったのが、生命保険文化センター賞の下堂前奏美さん「だから私は名前を書いた」の講評。タイトルが秀逸である。作文の内容は、彼女が15歳になって、生命保険の署名欄にサインをするように求められたことから、あれこれ生命保険について調べてみて、自覚をもって、サインをしたという話なのだが、私は目の前にいる彼女に尋ねた。「このタイトルは自分で考えたの?」彼女は「はい」と答えた。「もしかしてチェリッシュっていう歌手、男女2人組みを知っている?」彼女は「いいえ」と答えた。チェリッシュというのは「てんとう虫のサンバ」でおなじみの、年配の人ならみんな知っているグループである(女性の方はエッちゃんといった)。そのチェリッシュに「だからわたしは北国へ」という曲がある。恋の戦争(!)に敗れた女性が北国へ傷心の旅に出るという内容で、「なのにあなたは京都へゆくの」という曲へのアンサーソングである。そうか、知らないのか(1972年の曲だから無理もないが)。だとしたら独力で「だから私は名前を書いた」というタイトルを思いついた彼女は大したものである。「だからわたしたちはあなたに賞をさしあげた」とオチをつけることができた。
  表彰式後のパーティーは8時でお開きとなり、帰宅したのは9時。メールのチェックをしたら至急に対応しないとならない用件がいくつかあり、その処理をすませてから、風呂を浴び、「不毛地帯」(録画)の第6話を観る。展開がはやい。通常のTVドラマとは違い、半年続くのだが、このペースで続けていて大丈夫なのだろうか。