嗚呼、オーベルジュへの道

長野県佐久市にあるホテル「おいまつえん」CEO兼こづかいさん(爆)の日常

冬のしごと 客室のリデザインに取り組んでおく−2

2020-02-07 07:43:41 | スペシャリテ

さて、客室の「リフォーム」ではなく、「リデザイン」、というわけですが、これ、キモ。ようはコンセプトごとの一部作りなおしをおこないます(オオゲサ)。

たんに改装するだけ、というのでしたら、カーペット張り替えて、壁紙いじって、ということで一部屋あたりせいぜい3日もあれば済んでしまうところですけれど、今回はもう一歩踏み込みます。じつに22年ぶり。

画像は、今をときめく星野リゾートグループの新チャンネル、OMOの一軒。ここの客室がユニークなのを知って、一度見ておかなければ、というのでわざわざツインルームを予約して宿泊したのがたしか去年の9月ごろでございました。

イメージ図でございやす。画像はホテルのhpからお借りしています。

そう、客室の中央にやぐらのように組まれている2階部分が寝台、つまりベッドスペース。一階部分に女性が座っていますけれど、ここをリビングスペースとしているのが特徴です。

さりげなくベッドではない、デイベッドとでもいうべき、超大型ソファーが設えられています。大柄な人でもくつろげそう。高さはありませんけれど、ゴロゴロできるわけっすね。

一見すると単なる2段ベッドの部屋に見えてしまいそうですが、極力そうならないように随所にデザインを施して工夫してあります。明らかにデザイナーさんの仕事。一歩間違えると、ユースホステルみたいになっちゃうパターン。

寝台へと登る階段にはこのような匠からの贈り物がぁ〜(ここビフォーアフター調)。スーツケースを収納できる棚や、冷蔵庫がさりげに収納されています。

クローゼットも扉つき。どうみても大工仕事ではなく、家具職人の仕事です。つまり費用がケタ違いという意味です(汗)。

階段部分の寸法などにも参考になること多し。空調の吹き出し口は建物の構造上、こんな位置にあるので、階上部分にばかり集中する傾向あり。階下のリビングは寒かったり暑かったり、ということになるはずで、実際階下の足元あたりはスースーでした。

部屋のハイライトといってよいデイベッド。i padの計測アプリを使って測っているうちに、ちょうどシングルベッドを2つつなげたサイズなのに気がつきました。星野さんはここを特注の一枚マットにベース部分も特注で製作しておられるのですが、費用的にはものすごいはず。

クッションで囲んだだけで寛ぎのスペースを創り出すことに成功している例です。お見事!

この部屋からインスパイアされるのは、なんといっても、デイベッドに寝転がってテレビでも眺めながらくつろいでいるお客様の姿です。ベッドのコンセプトだけでもなんとかパクりたいものでございます(爆)。

従来の客室ですと、部屋に入った時にベッドの威圧感がきて、「くつろぐ」、というよりも「寝る」が優先する感じ。つまり寝室のイメージが強いわけですが、この部屋のイメージはリビングルームです。今回のOMOとの出会いは非常に意義がありました。

計測アプリを使ってOMOの客室を図りまくっておりますと、この部屋はどうやらリフォームののちに作り上げられている印象です。ビルの外観、内装はすべて新しいものにされていますけれど、土台になったのはおそらく大規模なラブホテルではないか、との推測。

ホテルとしては異様に高い天井高でそれと知れるのですが、不明です。ビジホだったかも。この天井高があればこそのロフト構造である、というわけで、こいつをこのままうちのホテルに持ち込むわけにはゆきませんけれど、

実は私自身、ここ15年ほど、寝ているのが階下=デスクスペース、階上=ベッドスペースというもろ2段の暮らしをしていて、狭い部屋を立体的に使う感覚だけは理解しております。

キモは階上と階下を床から何センチのところで区切るか。落とし所はぼんやりと見えているのですが、現場あわせでやってみます(いいのかよ)。

ううむ、アコガレでございます。このクッションもじつは特注。非常に硬いウレタンでできていて、体重をかけても変形が少ない。綿密に練られています。画像のように取り外しが可能で、いざというときにはトリプルルームとしても機能させることができます。

当然、クリーニングも想定して着脱式のカバーが装着してありますけれど、これも当然特注。推定に過ぎませんけれど、ベッド全体で100万円ちかくはかかっているのでわないでしょうか(脱力)。でも、ユニークです。ちょっと他にない感じ。

木枠の厚みを利用してクッションをうまくはめこんで固定してある様子はミゴトの一言。このあたりもパクる気だけわ満々で。よーく観察して参りますたとさ(爆)。

かように安易に取り入れるのにはハードルが高すぎる印象ですけれど、空間をこのような工夫を凝らして使い、くつろぎの空間を創り出すこのコンセプトだけは参考にさせていただきます。カネがないなら、ないなりにやっつければよいのです(爆)。

さらにつづく。