3月21日、四代目江戸家猫八師匠が亡くなった。66歳だった。
実父である三代目より受け継いだ動物の鳴き真似の芸で、寄席には無くてはならない人だった。関東の寄席のプログラムは、落語家の名前が黒字で書かれ、その他の芸人は朱色で書かれる風習がある。それゆえ、落語以外は「色もの」と言われ、落語の引き立て役のように扱われることもある。つまりは、落語が本芸でその他は一段低く見られるようなことも関東の寄席の世界ではあるようだ。実際私も、寄席で最後に出演するいわゆる「トリ」を取ったのを落語以外で見たことがあるのは、国立演芸場の名人会で内海桂子・好恵師匠の漫才だけだ。ちなみに、「トリ」と言うのは、昔の寄席では最後の主演者がその日の出演料を一度全て「取り」、その後に他の出演者に適当に配ったことに由来するらしく、品の無い言葉なので芸人さん達の間ではあまり使われないようだ。そんな芸の世界にあって一芸の脇役に徹し、目立ち過ぎず、かといって客を返さず、誰も真似できない事をさらっとやる。これは簡単ではない。三代目も、四代目も、わたしは寄席で何度か見たが、適度に客を引きつける間合いには感心させられたものだ。
ご冥福をお祈りしたい。
実父である三代目より受け継いだ動物の鳴き真似の芸で、寄席には無くてはならない人だった。関東の寄席のプログラムは、落語家の名前が黒字で書かれ、その他の芸人は朱色で書かれる風習がある。それゆえ、落語以外は「色もの」と言われ、落語の引き立て役のように扱われることもある。つまりは、落語が本芸でその他は一段低く見られるようなことも関東の寄席の世界ではあるようだ。実際私も、寄席で最後に出演するいわゆる「トリ」を取ったのを落語以外で見たことがあるのは、国立演芸場の名人会で内海桂子・好恵師匠の漫才だけだ。ちなみに、「トリ」と言うのは、昔の寄席では最後の主演者がその日の出演料を一度全て「取り」、その後に他の出演者に適当に配ったことに由来するらしく、品の無い言葉なので芸人さん達の間ではあまり使われないようだ。そんな芸の世界にあって一芸の脇役に徹し、目立ち過ぎず、かといって客を返さず、誰も真似できない事をさらっとやる。これは簡単ではない。三代目も、四代目も、わたしは寄席で何度か見たが、適度に客を引きつける間合いには感心させられたものだ。
ご冥福をお祈りしたい。