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わたしのレコード棚―ブルース31、Richard "Hacksaw" Harney

2017年02月01日 | わたしのレコード棚
最近、聴きなおしているCDの中から一枚。Genesというレーベルから出た1972録音のCD、GCD-9909『Richard "Hacksaw" Harney―Sweet Man』。



 Richard "Hacksaw" Harney、リチャード“ハックソー”ハーニー。ほとんど知られていないのは残念だが、ブルース・ラグタイムギターの歴史を語る上で忘れてはならない人、と個人的には思っている。この人のギターはうまいだけでなく、何とも言えぬ深い味わいがある。ただ、このCDに入っている10曲中、歌っているのは2曲だけで、ヴォーカルはあまりうまいとは言えない。そのあたりが、あまり注目されなかった理由かもしれない。若い頃は、兄と「Pet and Can」というコンビでメンフィスを中心に他のミュージシャンのバッキングをつとめていたという。ボクサーをしていた時期もあるらしく、“ハックソー”(金鋸)はリングネームだったらしい。

 1902年ミシシッピーの生まれというが、ギタースタイルはブラインド・ブレイクやブラインド・レモン・ジェファーソンなどの影響も感じられ、多くのスタイルを吸収したように聞こえる。それゆえ、この人の録音を聴くとブルースを地域で分けて考えるのはあまり意味が無いのではないか、とさえ感じられる。亡くなったのは、1973年12月。


Documentレーベルから出ている『Memphis Blues』というオムニバス盤。この中で、Pet and Can(Maylon and Richard Harney)として、Walter RhodesとPearl Dicksonというヴォーカリストのバックをギターデュオで計4曲(ともに1927年録音)つとめている。


Yazooのヴィデオ『Good Mornin' Blues』。この中で、『Guitar Rag』というギターソロ1曲だけだが“ハックソー”ハーニーの動画が見られる。全編のナレーションはB.B.King。


『Gibson's Fabulous Flat-top Guitars』という本の中、80ページにあるギブソンのJ-200というギターをかまえた写真。1971年、ヴァージニア州ヴィエンナで行われたナショナル・フォーク・フェスシヴァルNational Folk Festivalからのワンショット。ただし、このギターが本人の所有しているものかどうかは不明。

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