文化逍遥。

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三木卓著『裸足と貝殻』

2017年02月17日 | 本と雑誌
 このところの眼精疲労で、映画鑑賞や読書を控えていた。が、やはり本は読みたい。図書館には、数は多くないが「大活字本シリーズ」という文字を大きくした本のコーナーがあるので、その中から選んで読んでいる。読みやすく、目には楽なので、大いに助かっている。今回は、そんな大活字本シリーズの中から借りて読んだ一冊。三木卓著『裸足と貝殻』。単行本では500ページほどの小説だが、活字が大きくなるのでページが増えて上・中・下の3分冊になる。

 第二次世界大戦の敗戦にともない、旧満州から引揚船で母の郷里である静岡へ向かう少年「豊三」。満足に食事も摂れない中で、豊三一家は血縁の薄い親類を頼らざるを得ない。やがて、なんとか静岡での暮らしも落ち着き、豊三は地元の小学五年生に編入する。戦後の複雑で混乱した政治状況に翻弄されながらも、少しずつ大人になり、新制中学を卒業するまでの日々を綴った自伝的小説。
 やはり、この人の心理描写はすばらしい。読んでいて、思わず感心させられる。一方で、やはり大人から思い起こした少年時代なので、話がまとまり過ぎているようにも思われた。1999年、第51回読売文学賞受賞作。

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