文化逍遥。

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尺八、2尺3寸管

2017年02月12日 | 楽器・エッセイ
 最近、下手ながらも尺八を吹いていると、なんとか音になってきた。続けてみるもんだ。

 そうなると、低い音の出る長めの尺八が欲しくなり、2尺3寸のものを買った。基準となる長さが1尺8寸なので「尺八」と云うが、音の高低により異なる長さがある。たとえて言えば、サクソフォンにも低い方のバリトン・サックスからテナー、アルト、そしてソプラノ・サックスといったように担当する音域により使い分けられるのようなものだ。基準となる1尺8寸管の全ての孔を塞いだ音がDで、1寸異なるごとに半音変わる。たとえば、1尺7寸管だとD♯、1尺9寸管はD♭(C♯)になる。ただし、これは極めて大事なことだが、もとより西洋音楽の音程に合わせて作られた楽器ではないのでA音=440hzというようなピッチがあらかじめ決められているわけではない。あくまで目安。現在では、伝統音楽以外の楽器と共演する時などは西洋音階に合わせるため、音により微調整をして演奏する。具体的には、メリ・カリと呼ばれるもので、首というか顔を上下させて音程を微妙に変える。わたしは、もちろんそこまで出来ない。1寸異なるごとに半音変わる、というのもあくまで大よそのこと。今では、その誤差を可能な範囲で修正した「正律管」というタイプも出ている。



 長さの比較のため1尺8寸管の尺八と並べた写真を撮ってみた。右が今度買った管。正律管なので実際の長さは2尺4寸近くある。基準音はAになり、1孔からラA-ドC-レD-ミE-ソG-ラAとなる。つまり、1孔からだとマイナーのペンタトニック、2孔からだとメジャーのペンタトニックになる。半音等を出す時には、孔を塞ぐ範囲を変えて、半開などにする。
 今回入手した尺八の材質は「合竹」と云われるもので、竹を原材料にした合板。最近は、楓などの木材を使ったものも出ていて、本物の竹に比べるとかなり安く手に入る。本物の竹で2尺3寸だと、安いものでも20万円近くはするだろう。合竹では、その4分の1くらいで、木だと5分の1くらいの値段になる。ちなみに、写真左の尺八は市原市の福田さんという制作家の手による竹のものだが、展示中に乾燥により亀裂が入ったものを修復・調整して安く売りだされていたもの。それをさらに値引きして譲ってもらった。3万円で少しおつりが来るくらいだったか。わたしには、それで十二分だ。

 2尺3寸の長さでも音は出しにくくはなく、予想していたほど重くなかった。しかし、孔まで遠いのでおさえにくく、吹口に対する口の位置がずれやすい。孔の位置をもっと吹口に近くすれば良い、と思うかもしれないが、それだと音が合わなくなる。手の長い人でないと無理そうだ。がんばって練習したい。


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