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わたしのレコード棚―ブルース32、Huddie Ledbetter、

2017年02月07日 | わたしのレコード棚
 Huddie Ledbetter、ヒューディー・レッドベター。ブルースマンというより、もっと広く民俗音楽家、つまり言葉の元の意味でフォーク・シンガーと云えるミュージシャン。巷に漂っているような口伝えの唄を拾い自分なりにアレンジしたり、大衆の言葉を拾いつつ唄にしたりして12弦ギターで演奏し続けた。一般的には愛称の「レッドベリー、Leadbelly」という名の方が通っている。その名の意味は「麦わら帽子のオヤジ」という程のもので、ビッグ・ビル・ブルーンジーによると、「麦わら帽をかぶった労務者の頭だった」かららしい(『ブルース・ギタリスト』p179より)。また、若い頃刑務所から脱走して、逃亡中には「ウォルター・ボイド-Walter Boyd」と名乗っていたという。

 そんなこんなで、波乱の生涯を送った人だった。我が家にある音源と共に、時代に沿って見直してみたい。

 生年については諸説あるが、1885年~1889年頃で、生地はルイジアナだったらしい。生来、気が荒く、自信家でトラブルが多かったという。1916年にテキサスで最初の投獄、数ヵ月後脱獄。その後もトラブルを起こして、1930年には10年の刑を受けてルイジアナの州立刑務所に収監される。そこにいた時、民俗音楽研究家のローマックス親子によって録音が行われた。


 そのローマックスによる録音。DOCUMENTから出ているCD『Field Recordings・Volume 5: Louisiana,Texas,Bahamas(1933-1940)』。左上の囚人服を着ている写真がレッドベター。1933~1934年録音のメドレー曲など7曲を収録。この収録の後、ローマックス親子が録音を州知事に聞かせ、なんとか釈放されたという。


 COLUMBIAから出たLP『Ledbelly』。ルイジアナの州立刑務所を出た後、1935年、ARCでの録音、16曲。
 その後1930年代の終わり頃、酒におぼれ、再び暴力を振るうようになったためニューヨークの拘置所に入ったという。1940年春、釈放。それからは気質が変わり、マンハッタンの住人となり、音楽集団「The Headline Singers」の一員として活動した。


 RCA(bluebird)オリジナルのドイツBMGのCD。1940年、ニューヨーク録音。全16曲で、その内8曲でゴスペルグループのThe Golden Gate Jubilee Quartet が共演している。


 FolkwaysのCD『The Original Vision』。レッドベターとウッディ・ガスリーを中心に、1940~1947年の録音20曲。他に、「The Headline Singers」として活動していたと思われる当時のメンバーが参加している。具体的には、サニー・テリー、ブラウニー・マギー、シスコ・ヒューストン、など。フォーク・ファンには極めて貴重な録音と云えるだろう。

 1949年秋ヨーロッパツアー中に病に倒れ、同年12月ニューヨークで亡くなっている。

 とにかく、この人の後の音楽への影響は少なくない。特にフォーク、ロックなどへの影響はとても大きい。CCRの「ミッドナイトスペシャル、Midnight Special」などもこの人のオリジナルなのだ。また、12弦ギターを使った独自のプレイは、現代のギター・プレーヤー、たとえばレオ・コッケなどにもかなりな影響を与えていると感じる。録音は古いし、ノイズも多く、ミスタッチも含まれるが、生きた言葉と生きた音を今に伝えてくれている。

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