文化逍遥。

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東京国立博物館

2018年03月22日 | 考古・エッセイ
 3/17(土)、上野の国立博物館へ行ってきた。国立博物館は各地にあるので、ここは東京国立博物館を略して「トーハク」と呼ばれている。本館自体も重要文化財だが、内部はかなり改装が進んで、展示ケースや照明にかなり工夫がみられる。特に本館1階は、LED照明に換わり、全体に明るくなった感じだ。LEDの方が、展示物に影響が少ないのだろうか。博物館は、後世に貴重な文化財を残すのも大切な責務だ。展示替えの時などは、さぞ気を使うことだろう。オッチョコチョイのわたしなどは、とてもじゃないが務まりそうにないなあ。

 5/13まで「アラビアの道」という、サウジアラビア王国の所蔵する宝物が特別展として表慶館で展示されている。




こちらは、人が多くて落ち着いて見ていられなかった。なので、早々に切り上げて、平成館1階の日本の考古特別展に移動。

 特に、今回展示されている群馬県伊勢崎市豊城町横塚出土の盛装女子埴輪が見たかった。古墳時代・6世紀ころのもの。埴輪の目をじっと見ていると、モジリアニの絵を見ているような気になるから不思議だ。館内は写真撮影が出来ないので、内部の映像が無いのは残念だが、ここの考古展示室は本当に充実している。全国の貴重な出土品が一堂に集まっているのを見られるのだから贅沢なものだ。


これは、7月3日から始まる「縄文特別展」のリーフレット。ここに写っているのは、東京国立博物館が所蔵している青森県つがる市出土の「遮光器土偶」と呼ばれるもので、実物の大きさは20センチ位だろうか、この日も見ることが出来た。目がアラスカの先住民などが使う遮光器を付けた様子に似ているので、こう呼ばれているが、実際にこの土偶が遮光器を付けたものかは不詳。おそらく、デフォルメされた象形なのではないだろうか。この土偶も他の多くのものと同じく、体の一部がない。この土偶の場合は左足が無いのだが、出来上がった時から欠けていると思われるものも多いらしい。焼成の段階で割れたのか、故意に欠いたのかは推測するしかない。あるいは他の理由で失われたものか。有力な説として、悪いところを土偶に移して祓い回復を祈った「形代(かたしろ)」とした、というものがある。そう考えると、お腹の大きい女性像などは、出産で亡くなった子どもか妊婦を想い作られた様な気もしてくる。いずれにしろ、現代人には遠くなってしまった「祈り」の心が土偶には込められたいる。あらためて、それを強く感じた次第だ。


博物館裏にある庭園の桜。携帯で撮影。この日は、東京でも桜の開花発表があった。普段は入れないが、この時期だけ解放されている。

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