文化逍遥。

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イルセ・サン著『鈍感な世界に生きる敏感な人達』2016Discovoer刊

2019年01月27日 | 本と雑誌
 最近はドライアイで眼精疲労が出やすく、なかなか読書もママならないが、比較的軽い読み物や大きい活字の本を図書館から借りてゆっくりと読むようにしている。今回は、そんな本の中から一冊。標題をみれば、ほぼ内容の察しがつくだろう。著者のイルセ・サン(Ilse Sand)は、デンマークのオーフス大学で神学を学んだ心理療法士。デンマーク国教会の司祭を数年間務めた後、現在は主にセラピストとして活躍しているという。

 本の内容には関係ないが、例えば次のようなブルースの詞がある。
「The sun going down,boy - dark gonna catch me here・・(陽が沈み、闇が俺を捉えてゆく・・)」
 ロバート・ジョンソンの『Cross Road Blues』の一説だが、似たようなフレーズはブルースの中には多い。こういった感性は、誰しもが持っているものだと若い頃は思っていた。が、どうもそうではないらしい、と感じるようになったのは自分がかなり歳を取ってからの事だ。競争の中で、数字を上げることで自分の存在価値を見出す。そんな社会で息苦しさを感じずに生きていけるタフな人達が少なからずいる。そして、自分はそこに違和感を感じ、疲れ果てていた。今、リタイアし、やっと自分の時間の流れの中で呼吸していられるように感じている。
 本の中では、敏感な感性の人達をHSP(High Sensitive Person)と呼び、現代社会の中で少しでも生きやすくなる為の対処法を教えてくれている。

 「生きづらさ」を感じる人には、お奨めの一冊。


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