文化逍遥。

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2020年アメリカ映画『オン・ザ・ロック』

2020年10月15日 | 映画
 10/12(月)、千葉劇場にて。監督・脚本は、ソフィア・コッポラ。原題は、『On The Rocks』。





 ニューヨークに暮らすローラ(ラシダ・ジョーンズ)は、ライターであり、妻であり、二人の幼い娘の母でもある。その周辺で起こる些細な出来事を、ユーモアを織り込んで時に風刺を混ぜてコメディー調に描いた約90分の小品。
 この作品、意図してか否かは分からないが、ニューヨークで暮らすアッパーミドル(中流階級の上位層)の生活とそこから生ずる精神的不安が表現されている。ローラの夫ディーン(マーロン・ウェイアンズ)は黒人で且つ有能なビジネスマン、父フェリックス(ビル・マーレイ)は裕福な絵画商で運転手付きの高級車に乗り高級クラブで食事をとっているプレイボーイ。忙しい夫に疑念を持ち、母を捨てた父と共に夫の行動を追いかけ、メキシコにまで行くことになる。が、夫の浮気相手と思っていたフィオナは、同性愛者で夫はすでに帰宅の途についていたのだった。

 ここに描かれているアメリカは、近年の報道に観られる「分断」とは遠く、生活に困っているような者は現れず、最後は高級時計を夫から誕生日プレゼントされ、ハッピーエンド。多くの登場人物が話す英語は、スラングなどはほぼ無く、きれいな発音だった。監督のソフィア・コッポラは、フランシス・フォード・コッポラの娘でニューヨーク生まれ、デザイナーでもあるという。自分が生まれ育った町への愛着もあるのか、ニューヨークという町が美しく映し出されている。逆に言えば、汚いところは映っていない。これも、アメリカという多様な国の一面なのかもしれない、と感じた。。

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