ギターとヴォーカルのブラインド・ブレイク(Blind Blake)に関しては、不明なことも多く、語るのは簡単ではない。が、ギター演奏に関しては、わたしのような凡人からすれば「超人的」とも思える音とリズムのコントロール能力を持ち、それを自在に発揮できたと感じられる録音を多く残したミュージシャンだった。
本名は、Arthur BlakeあるいはArthur Phelpsらしい。生没年やその場所もはっきりしないが、生まれは1890年代前半でフロリダ州で、亡くなったのは1933年か1934年頃でフロリダとしている資料が多い。比較的新しい資料といえるジャス・オブレヒト著『9人のギタリスト(原書は[Early Blues]で2015年刊)』では、2011年に発見された死亡証明書の記載から1896年生まれで、1934年12月1日にヴァージニア州のニューポートで肺結核で死亡、としている。同書によると、パラマウント・レコードが1932年に潰れた後「ブレイクは人生最後の二、三年間をウィスコンシン州のミルウォーキーのブロンズヴィル北十丁目一八四四B番地で、一九三一年に結婚したビアトリス・マギーと暮らしていたようだ(P131)」と、述べている。死亡証明書の職業欄には「無職のミュージシャン」と記載されていた、という。その頃にはミュージシャンとしての仕事も収入も無かった、ということだろう。今では考えられないことだが、レコードがいくら売れても、それに見合うロイヤリティ(著作権料などの保証)は無く、経済的な安定は望めなかったのだろう。それでも確かに言えることは、1920年代半ばにシカゴに出て様々なミュージック・シーンで活躍し、パラマウント(PARAMOUNT)レーベルに多くの録音を残した、ということだ。
残された音源から、一応、ブルース・ラグタイムのミュージシャンとはなる。が、音感が良くピアノなども演奏出来たらしく、様々な音楽に対応し、大恐慌前後のパラマウントにおいて多様なミュージシャンのバックも務めている。残された録音を聴いてみても、単なるブルーノート・スケールではなくて、後のロニー・ジョンソンに影響したと思われる様な多彩な音遣いで、ジャズの要素も感じさせる。また、ビッグ・ビル・ブルーンジーへの影響も大きく、ブルーンジーの『Brown Skin Shuffle』はブレイクの『West Coast Blues』のアレンジだ。リズムは、シャフルと言うよりも、イースト・コースト・ブルースの伝統的な2ビートに近いラグタイムが基本で、後のジャズに近いものも多い。
当時のパラマウントの同僚とも言えるテキサス出身でスライド奏法も弾くブラインド・レモン・ジェファーソンとは、ギターもヴォーカルもスタイルが異なる点が多い。が、歴史的にみると、この二人の盲目のミュージシャンが、これ以降レコード盤を通してブルースギターを広く知らしめ、強い影響力を多くのミュージシャンに与えたことは疑いない。
そのあまりの器用さゆえか、今では「ギター・ソロの教則本に出てくる昔の人」程度にしか評価されていないような気もする。しかし、才能ある若いプレーヤーには、ジャンルを問わず聴いて欲しいミュージシャンの一人だ。
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BIOGRAPHのLP、BLP-12037。
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同じくBIOGRAPHのLP、BLP-12050。ジャケットの写真は、パラマウントが宣伝用に撮ったものといわれ、ブレイクのものとしては現在確認されている唯一の写真。下に書かれているサインは、パラマウントの誰かが代筆したものと思われる。
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P-VainのCD2436。
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YAZOOのCD1068。
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オーストリアのDOCUMENTレーベルのCD5025。
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P-VainのCD3760。このCDが雑誌『Blues &Soul Records.Vo7(1995年9月号)』に紹介された時に、CD評をわたしが書いたので、その時にもらったもの。
本名は、Arthur BlakeあるいはArthur Phelpsらしい。生没年やその場所もはっきりしないが、生まれは1890年代前半でフロリダ州で、亡くなったのは1933年か1934年頃でフロリダとしている資料が多い。比較的新しい資料といえるジャス・オブレヒト著『9人のギタリスト(原書は[Early Blues]で2015年刊)』では、2011年に発見された死亡証明書の記載から1896年生まれで、1934年12月1日にヴァージニア州のニューポートで肺結核で死亡、としている。同書によると、パラマウント・レコードが1932年に潰れた後「ブレイクは人生最後の二、三年間をウィスコンシン州のミルウォーキーのブロンズヴィル北十丁目一八四四B番地で、一九三一年に結婚したビアトリス・マギーと暮らしていたようだ(P131)」と、述べている。死亡証明書の職業欄には「無職のミュージシャン」と記載されていた、という。その頃にはミュージシャンとしての仕事も収入も無かった、ということだろう。今では考えられないことだが、レコードがいくら売れても、それに見合うロイヤリティ(著作権料などの保証)は無く、経済的な安定は望めなかったのだろう。それでも確かに言えることは、1920年代半ばにシカゴに出て様々なミュージック・シーンで活躍し、パラマウント(PARAMOUNT)レーベルに多くの録音を残した、ということだ。
残された音源から、一応、ブルース・ラグタイムのミュージシャンとはなる。が、音感が良くピアノなども演奏出来たらしく、様々な音楽に対応し、大恐慌前後のパラマウントにおいて多様なミュージシャンのバックも務めている。残された録音を聴いてみても、単なるブルーノート・スケールではなくて、後のロニー・ジョンソンに影響したと思われる様な多彩な音遣いで、ジャズの要素も感じさせる。また、ビッグ・ビル・ブルーンジーへの影響も大きく、ブルーンジーの『Brown Skin Shuffle』はブレイクの『West Coast Blues』のアレンジだ。リズムは、シャフルと言うよりも、イースト・コースト・ブルースの伝統的な2ビートに近いラグタイムが基本で、後のジャズに近いものも多い。
当時のパラマウントの同僚とも言えるテキサス出身でスライド奏法も弾くブラインド・レモン・ジェファーソンとは、ギターもヴォーカルもスタイルが異なる点が多い。が、歴史的にみると、この二人の盲目のミュージシャンが、これ以降レコード盤を通してブルースギターを広く知らしめ、強い影響力を多くのミュージシャンに与えたことは疑いない。
そのあまりの器用さゆえか、今では「ギター・ソロの教則本に出てくる昔の人」程度にしか評価されていないような気もする。しかし、才能ある若いプレーヤーには、ジャンルを問わず聴いて欲しいミュージシャンの一人だ。
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同じくBIOGRAPHのLP、BLP-12050。ジャケットの写真は、パラマウントが宣伝用に撮ったものといわれ、ブレイクのものとしては現在確認されている唯一の写真。下に書かれているサインは、パラマウントの誰かが代筆したものと思われる。
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P-VainのCD2436。
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オーストリアのDOCUMENTレーベルのCD5025。
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P-VainのCD3760。このCDが雑誌『Blues &Soul Records.Vo7(1995年9月号)』に紹介された時に、CD評をわたしが書いたので、その時にもらったもの。