King Diary

秩父で今日も季節を感じながら珈琲豆を焼いている

『ファイブ』のこと

2007年05月15日 23時05分12秒 | バスケ
『ファイブ』はめずらしく
バスケットの本です。
それも日本のJBLという実業団のリーグの話です。

私はもう何年か前にこの本のことは知っていました。
今回読んでみようと思ったのは、それは今連載中の漫画の『ファイブ』が
どうも内容が変なので、原作もそんな事書いてあるのかなあと思った
からです。
漫画の方は、田臥勇太が佐古賢一のライバルであり、新興の若手として
佐古に色々挑んでいるような描き方なのに対して、現実はテレビの
中継などで知ってのとおり、田臥はトヨタに入ったもののスタメンですらなく、
しかし、その人気で代々木第二体育館は異例の満館状態になった
という前代未聞のできごとでした。決して、佐古と田臥の新旧対決などで
盛り上がったのでなく、ただ何も知らないミーハーな田臥ファンがひと目
田臥を見に集まっただけで、誰も佐古なんか知らないのです。

本の方では、田臥がスリーを打ちたくてスタンバッていたがパスが周らない
という書き方でしたが、私の記憶では田臥得意のスピードのバスケット
をしたいのに周りが動かないという感じでした。彼は別にボールを運んで
自分で持ち込んで打てるので、ただアピールするためならそのくらい
簡単でしょう。しかし、彼のやりたいものとチームの事情が違うというのは
見て取れました。もともとアメリカにわたり大学ではプレー時間すら与えられず
それで日本に帰ってきても、自分の居場所がなく、またNBA挑戦という
ことで渡米して下部リーグでお声がかかるのを待っているという状態です。

私がみるに、NBAではポイントガードに求められるものは、スピードでも
テクニックでもなく、やはりバスケットを知り尽くしてチームを知り尽くし、
自在にパスを出す人でしょう。だから日本人でも別にNBAでやれる選手は
いるでしょう。ただ、日本ではアマチュアの団体がプロというものをまったく
否定しているので、例え日本の大学生がNBAに指名されても選手に
それに応える術がないらしいです。そうかつて指名された選手が言って
いました。また世界バスケが日本で行われた今では、また事情が
違うようですが、プロリーグができてもちっとも盛り上がらない様子とか
JBLはまったく無視していて、実力ではアマのJBLの方が強いという
ねじれ現象は依然残ったままです。

結局、本を読んで漫画のような田臥対佐古は物語の中心では
ないし、アイシンが優勝した年は佐古はひざの軟骨を手術しない
で乗り切ったことは解りました。そして、その次の年はアイシンは
決勝に出てこなくて、そこよりもより個性的なOSGが勝ちあがり
またまたドラマを作りました。そういった現実の方が様々なドラマを
見せている中、今更アイシンの事を知ってもという感じになって
しまいます。そして昨年は、世界バスケがあり、五十嵐君や
竹内兄弟が話題になったばかりです。

そうなるとやはりアイシンは過去のことです。
本の中で意外だったのが、JBLで活躍する一流選手の人でも
全てが小学生からバスケットをやっていたわけじゃなく、高校生
から始めてずっと努力してエリートと伍してやっているという人も
少なからずいるということです。やはりミニバスからやっていると
全中あたりで自分の限界を早く決めてしまい、引退も早いの
かも知れません。やはり、日本ではバスケットをプレーする人が
多いのにバスケットをみて楽しむ人口が圧倒的に少ないという
のは本当のバスケットの楽しさを知らないからじゃないでしょうか。
部活意外にもっとバスケットを楽しむ環境がないとなかなか
これからの盛り上がりに影響するのではないでしょうか。

部活で苦しいバスケを強いられて、楽しいバスケを知らないまま
引退してしまう人も多いと思います。そしてやるバスケとみるバスケの
境界をなくす工夫とかまだまだバスケットを楽しむということに
日本人は消極的なのだと思います。そんな意味では、アイシンの
バスケットはこの本を読んで指導的な人達が指導内容に工夫
を持ってもらうといいなと思いました。

いすずの小浜監督がかなり悪者のように厳しい監督であったと
この本の中では書かれていますが、それとは
対照的な鈴木監督の誉める指導など多くの指導者の参考に
なればいいなと思いました。
コメント
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