第38話「時を継ぐ者」
新章に入る前の、よい区切りの回だったなあ。
どの登場人物も、「らしさ」がちゃんと出ていて。
時政からの伝言を頼もしい返事とともに預かり、
あっという間に忘れてしまう和田義盛とか、
暗殺者トウにひけを取らないばかりか
圧倒するほどの強さを見せながら、言った台詞が
「俺の女になれ」な平六とか。
敵対していた義理の娘たちに
みじめな姿を見せてなるものかと、
めかし込んで迎えたりくさんもよかったね。
負けん気の強さとプライド、ポジティブさ。
彼女のそういうところが、確かに政子に
よい影響を与えていた時期もあったのだった。
「あの人のみすぼらしい姿を見たくない」という
実衣ちゃんの発言、
この義理の母子関係をよく表していた。
りくさん、もともとの強欲さと、
息子を失った悲しみによる視野狭窄ぶりが、
結果として多くの人を死に追いやっていて
(全成と重忠なんか、完全にとばっちりだったし)、
政子と実衣との和やかな別れのシーンには
モヤモヤしてしまった。
もちろん、政子たちもすべてを水に流したわけじゃなく、
二度と会えないかもしれないという状況での
礼儀もあったのだろうけど、やっぱりモヤモヤ。
だから、小四郎がトウを差し向けて、
きっちりりくを始末しようとしたの、
本当によかったよ。
全成や重忠の無念、彼だけはちゃんと忘れずに
落とし前をつけようとしたのだった。
のえと平六に邪魔されて、
結果として暗殺は失敗するんだけど、
りくさんのその悪運の強さも、
自分を殺そうとした義理の息子に発破をかけるところも、
本当に「らしい」。
歳の離れた夫を利用しているだけじゃなくて、
時政を救うために頭を下げるだけの愛もあるところが、
憎みきれない理由の一つなんだよな~。
これまで時政や政子のことは認識していても、
小四郎の存在自体を知らなかったであろう後鳥羽院が、
ついに小四郎の存在を認識。
鎌倉vs朝廷の方向性も示されて、
最終章の前振りもきっちり行われて終了。
来週はお休みか~。
【その他いろいろ】
・義盛「書いちゃえばいいじゃん、起請文。
後で破っちゃえばいいんだから」
実朝「誓いを破ったら血を吹き出して死ぬ」(可愛い)
義盛「そんな死に方した奴聞いたことないよ」
意外にリアリストだった、義盛くん。
・実朝、監禁されたり刀で脅されたりしても
動揺してない。
義盛に「武衛」の意味を説明してあげる顔も
にこやかで穏やかでキュンとしたわ~。
短期間で、着実に彼が成長しているところを
しっかり描いてる。
・戻ってきた実朝に抱きつく千世ちゃんと、
それに戸惑う実朝。
千世ちゃんみたいな真正お嬢様は大好きだし、
「末永く幸せでいてくれ、この夫婦……」
と祈りたい気分。
そうならんことは知っているが……
・小四郎は、泰時に対して言葉が足りなさすぎなんだよね。
そりゃ反抗期になるわ。
妻に、いつも父親や義理の母についての
愚痴を言ったり相談したりする泰時と、
異常に義父に対する理解度が高いクールな初ちゃん。
この夫婦も可愛いね。
初が泰時のこと「あんた」って呼んでたの、
幼なじみならではの距離感。
初のこと、最初嫌な女だなと思ったけど、
なんだかんだで彼女も北条に献身的だよ……。
・今日は八田殿が大活躍だったな。
というか、もう、文官以外で中枢にいるのが
小四郎と彼だけなのだった。
・「方々、どうか父をお許しください」
と土下座した政子にちょっと泣いちゃった……。
・今日の二階堂殿、強硬派だな。
・うぐいすの話はよくわからなかった。
何の比喩なの?
・平賀朝雅、執権の座は狙ったけど、
確かに「鎌倉殿」になろうとはしてないんだよ。
・サクラ役を買って出て小四郎への疑惑を潰した平六、
マジでなんなの、その献身ぶりはさ~!!!