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★★★★☆
【Amazonの内容紹介】
これまで、貴族の視点からのみ論じられてきた平安京。
しかし、人口の大半を占めていたのは、
貴族たちに仕える庶民たちである。
彼らは貴族の供をして宮廷に出入りし、儀式を見物するばかりでなく、
炊事、造酒、機織、あるいは鳥や魚の調達等、
さまざまな職掌に励んでいた。
なかでも牛飼童は副業で運送業をしていたのだ。
当時の記録類を駆使して庶民生活を明らかにし、
王朝時代の大都市の実像を初めて描き出す。
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ふだん「平安時代の生活」として取り上げられるのは
貴族の中でも上級貴族のものだけで、
中級以下はよくわからないし、
ましてや庶民なんて非常にぼんやりとしたイメージしかない。
特に不思議だったのが、貴族の従者が家を持ってるってこと。
土地や家を持つだけの財力があったの??
そういう長年の疑問がこの本で解消した。
主家たる貴族が、自邸の近くに作った社宅みたいなもんだったのね。
源氏物語の車争いの場面の「葵の上の従者vs六条御息所の従者」とか、
貴族の従者同士の乱闘だとか、
主人の体面に関わることだし後から問題にならないんだろうか……と
思っていた従者の立場や、同業者同士のネットワークについても
解説されている。
ふだんスポットがあたらない庶民を中心に扱っている点で、
めずらしく興味深い。