金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

179:石川ローズ『あをによし、それもよし』3巻

2020-08-27 11:47:12 | 20 本の感想
石川ローズ 『あをによし、それもよし 3
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

藤原不比等になりかわった元ミニマリスト・フジワラさんの
山上憶良贅沢化計画が動き出す!? 
さらに、気怠くも気高い阿閉皇女、
運転支援装置(ドライビングサポートデバイス)である息子・阿礼草、
小物感隠せない藤原四子たちが山上と奈良時代をかき回す! 
巻き込まれ系万葉令和コメディ!

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今回もおもしろかった。
長屋王、そのうち自殺に追い込まれる……と
思うとハラハラしちゃうんだけど、
当時の権力争いに触れながらも、ギャグに徹している。
藤原四兄弟が「天然痘で全員死ぬ」という史実が、
盛大なネタバレとしてギャグになっているのがおかしい。

もっと読みたいのでめちゃくちゃ売れてほしい。

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175ー178:張六郎 『千年狐 ~干宝「捜神記」より~』1~4巻

2020-08-27 11:33:00 | 20 本の感想
張六郎 『千年狐 一 ~干宝「捜神記」より~ 』1~4巻
★★★☆☆3.5

【Amazonの内容紹介】

千年を生きた狐が、人間に化けてひと遊び!?
MFコミック大賞で大賞受賞した実力派新鋭作家待望の
初コミックスついに発売!!

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なんだか、不思議な作品だなあ。
あちこちにちりばめられたギャグと、シリアスのバランス、
個々のエピソードがひとつに収束していく手法、
全体から感じ取れる安定感。
思ったよりはハマれなかったんだけど、
実力のある作家さんだというのはよくわかる。
好みかどうかで見たら★3.5なんだけど、
評価が高いのは納得、という奇妙な読後後。

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174:川村裕子 『王朝の恋の手紙たち』

2020-08-27 11:18:00 | 20 本の感想
川村裕子 『王朝の恋の手紙たち』(角川選書)
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

王朝に生きた人々は、私たちとは比べものにならないくらい
多くの手紙を綴っていた。
紙や文字に細心の配慮をし、内容にふさわしい植物の枝に付けて
文を送るような工夫も凝らす。
心待ちにしている返事がなかなか届かなければ不安にかられ、
素早く返信をもらえば幸福感に包まれる。
一方、途中で盗み読まれたり、間違った相手に届くといった危険も多く、
それを防ぐ手立ても必要とされた。
王朝人にとっての手紙の意味を『蜻蛉日記』『源氏物語』など
古典の名作から探る。

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手紙というテーマで王朝時代の随筆・日記・物語の
エピソードを紹介したもの。
清少納言が、人が破って捨てた手紙を継ぎ合わせて読んで
「たくさん読めてうれしい」と枕草子に書いているのは知ってたし、
それがよくあることで、悪いことという感覚がなかった、というのも
解説を読んで知っていたけれども、源氏物語でも
人の手紙を奪って見たり、勝手に返事を書いたりしていてびっくり。
まあ、自分の子どものころと今とでも、ずいぶん倫理観は変化しているから、
千年たったら違うのは当たり前なのだけども。

そしてまたもや、光源氏は当時の女性にとっても
本当に理想の男性だったのか? という疑問が再び。
軒端荻への仕打ち、ひどすぎない??

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173:菅原孝標女『更級日記』

2020-08-27 10:57:34 | 20 本の感想
菅原孝標女 『更級日記 現代語訳付き』(角川ソフィア文庫)
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

夢見がちな感性をもって描かれた平安時代の日記文学。
作者13歳の時、上総介の任期を終えた父に伴われての上京に
記事は始まる。
東国に育った作者が京へ上り、
恋い焦がれていた物語を読みふけった少女時代、
晩い結婚、夫との死別、その後の侘しい生活と、
ついに少女期の憧れを結実させることのなかった一生の回想録である。
平凡な人生の中に描かれる、作者の人生の断片の輝きが、
今なお、われわれを惹きつけてやまない。
有名な作品にもかかわらず、
ごく一部しか一般に知られていなかった古典を、
懇切な注と自然な現代語訳で手軽に読み解く。

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現代語訳ベースで全体を読み進めて、
気になるところは原文と注釈も確認したい……と思い、
選んだもの。
文庫本で軽く、「原文」パートと「現代語訳」パートが
完全に分かれている。訳も読みやすかった。

回想録なのだけども、内容はわりと散漫な印象。
短い節が多いので、確かに古文の問題には出しやすいよね。
帰京の旅、姉との思い出、公達とのつかの間の交流のパートが印象的。

やっぱりこの人は物語作者ではないのでは?? と思った。
作者説の唯一の根拠である定家の奥書も伝聞形だし、
回想録に作家としての活動を一切書かないのは不自然すぎる。

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