2021年の映画⑤:『生きろ 島田叡―戦中最後の沖縄県知事』(佐古忠彦 監督)
★★★★☆
【シネマトゥデイのあらすじ】
大阪府の内政部長だった島田叡氏は
沖縄県知事に任命され、1945年1月31日、
前年のアメリカ軍による沖縄大空襲で
壊滅的な状態だった那覇の地を踏む。
彼は仕事に取りかかるとすぐに大規模な疎開を促進し、
さらに食料不足を解消すべく台湾に飛ぶなどして
米の確保にも精力的に取り組む。
だが、戦況は悪化の一途をたどり、
彼の努力もむなしく多くの県民の命が失われていく。
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映画館にて。
史実をもとにしたヒューマンドラマかと思って見たら
ドキュメンタリーだった。
島田叡は、アメリカ軍の上陸が必至とみられていた沖縄へ、
本土へ逃げた前知事に代わり、知事として赴任した人物。
多くの民間人を巻き込むことを厭わない軍部に抗うものの、
南下作戦を止められず、行政官として自らも南下、
遺体は発見されていないものの、
おそらく自ら命を絶ったのだろうと言われているとのこと。
戦争ものは見ると苦しくつらく、気が滅入るのだけれど、
こういう記録がないと、忘れて同じ愚行を繰り返すから、
こうして証言を集めて残していくことは
必要なのだと思う。
海軍中将が大田実が自決直前に打った電報の
「沖縄県民斯ク戦ヘリ
県民ニ対シ後世特別ノ御高配ヲ賜ランコトヲ 」
は、いまだに沖縄に負担を強いている現状を考えると
本当に胸が苦しくなる。
島田氏、当時にあってはそういう始末のつけ方しか
なかったのだとわかる気がするけれど、
「生きろ」「死ぬな」と人に言うのなら、
死なないでほしかったよ……。