金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

86:宮下奈都 『スコーレNo.4』

2018-11-09 18:30:45 | 18 本の感想
宮下奈都『スコーレNo.4』(光文社文庫)
★★★☆☆3.5

【Amazonの内容紹介】

自由奔放な妹・七葉に比べて
自分は平凡だと思っている女の子・津川麻子。
そんな彼女も、中学、高校、大学、就職を通して
4つのスコーレ(学校)と出会い、
少女から女性へと変わっていく。
そして、彼女が遅まきながらやっと気づいた
自分のいちばん大切なものとは…。
ひとりの女性が悩み苦しみながらも成長する姿を
淡く切なく美しく描きあげた傑作。

**************************************************

長らく積んでいた本。

骨董に映画に靴に、女性の好きなものがちりばめられていて
女性受けが大変よさそう。
個人的には、妹との関係にしても、骨董にしても、
もう少しエピソードを重ねて深掘りしてほしかったんだけど、
それを差し引いても恋の描写が瑞々しくて
どきどきして、本当にいい。
仕事の描き方も、心地よい。
最初は興味が持てずにうまくいかないのだけども、
自分と仕事の中に響き合う要素を見つけることで、
成功体験を積んでいく。
仕事を頑張ろうという気持ちにさせてくれる点でも
支持されそうな本だ。

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85:勝本華蓮 『尼さんはつらいよ』

2018-11-09 18:19:20 | 18 本の感想
勝本華蓮『尼さんはつらいよ』(新潮新書)
★★★☆☆3.5

【Amazonの内容紹介】

尼さんは、清く、正しく、美しい----
なんてイメージは大昔の話。
その実像は大きく掛け離れたものである。
後継者難で絶滅の危機に瀕している尼寺、
女同士のドロドロとした人間関係、
残念な修行生活、男僧に狙われる尼......。
志ある尼さんは今、理想と現実のギャップに悩み、
居場所を求めて彷徨っている。
男尊女卑の仏教界、受難の歴史、
今どき出家する女性のタイプなど、
知られざる素顔に現役の尼僧が迫る。
本邦初の現代尼僧論!

**************************************************

言われてみれば、わたし、現実の尼さん見たことないや!
本やテレビでは見たことあるけど、
自分の目で見たことがない。

なぜ尼さんが少ないのか、その理由を初めとして
筆者の実体験と伝聞をもとに尼僧の実態を描いた本。
「論」というよりエッセイといったほうがいいかも。
まったく馴染みのない世界を紹介したものなので
興味深くおもしろかった。

華蓮ってすてきな名前だなあ。

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84:堀田善衛 『定家明月記私抄 続篇』

2018-11-07 21:43:34 | 18 本の感想
堀田善衛『定家明月記私抄 続篇』(新潮社)
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

凉秋九月月方ニ幽ナリ―
平安文化の最後に大輪の花を咲かせ、
その終焉をも見とどけた藤原定家。
源平争闘の中に青春期を持った彼は、
後半生でもまた未曾有の乱世に身をおかねばならない。
和歌を通して交渉のあった源実朝の暗殺、
パトロンであり同時に最大のライヴァルでもあった後鳥羽院の、
承久の乱による隠岐配流。
定家の実像を生き生きと描きつつ、中世動乱の全容を甦らせる名著。
続篇は定家壮年期から八十歳の死まで。

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前巻と同様、読んだのは新潮社から出ていたハードカバー版の方。

続編にあたる今回は、鎌倉での血で血を洗うような粛清の嵐、
こじれていく定家と鳥羽院の関係、
承久の乱へとつながる鎌倉と朝廷の間の緊迫……と濃密。
息子が和歌ではなく蹴鞠に夢中になっているのを嘆きつつ、
(「悲シキ哉、悲シキ哉」の述懐は、
 定家が実在したことを改めて実感させる)
早々に息子に鎌倉方の嫁を迎えて経済的・政治的な安定を図ろうとする
定家のしたたかな面も。

後鳥羽院と定家の間に確執があったのは知っていたけど、
思ったよりも根深いものだった様子。
後鳥羽院が隠岐に流されて、物理的な距離に隔てられて久しかったのに
院は定家への憤懣を抱き続けていたみたい。
宮廷人としての定家のアイデンティティであったであろう
和歌の地位は、
ただでさえ連歌に押されて弱まっていたところだったのに、
その衰退が、定家と対立していた後鳥羽院の敗北によって
決定的になるのが皮肉。

それにしても、頼朝の死後の鎌倉というのは
あまりスポットライトがあてられることがないのだけど
本当に陰惨である。

視聴率取れないこと確実なのだけど、
いつか定家で大河をやってほしい!!
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おでかけの記12:大垣

2018-11-05 14:09:22 | おでかけの記
十数年ぶりに大垣へ。
仕事で2年間通っていたのだけど、
ちゃんと観光したことないな~と思っていたところへ、
ホテルに2000円引きで泊まれるチャンスがあったので
一泊の予定で行くことに。

駅裏にはでっかいショッピングモールができていた!

しかし、駅ビルは4月にリニューアルオープンだそうで
閉鎖されている。
いやな予感……。
というのも、仕事で通っていたとき、
周辺に食事をする場所がなくて
ほとんど駅ビルですませていたのだった。
頼みの綱の駅ビルが使えないとなると、
食事できないのでは……??
駅前の店もシャッター下りてるし。

まあ、飲食店がまったくないこともなかろう、と
ひとまず八幡神社へ。



ここは、湧水があるのだった。
大垣が「水都」を自称するのは
街のあちこちに自噴水があるから。





わたしが滞在している短い間にも、
近所に住んでいると思われるおじさん・おばさんが
ペットボトル片手に入れ替わり立ち替わり
水を汲みに来ていた。
いいね、こういうの。
観光のためだけじゃなく生活に溶け込んでいる。

神社の脇の水路も風情がある。


大垣城の周りのお堀だった水路も
水がきれい。

大垣公園。

大垣城。
ここ、小さいころに来たことあるはず。

戦争で焼ける前までは、国宝だったそうだ。
いまはピッカピカなコンクリート。

このあたりで空腹をごまかしきれなくなる。
ここまでのルートで、開いてるかどうか不明の、
薄暗い店が1件しかなかったのだった。

商店街の近くにまた自噴水。

作業服の兄ちゃんが、ポンプで水を組みだし、
大量のポリタンクに入れて運び出していた。

水面に空と葉っぱが鏡のように映ってる。


頼みの綱の商店街も、このありさま。
シャッター街。
居酒屋や焼き肉店はあったので、夜になったら
もうすこしにぎやかなのかも。

こういう生活用品店とか、わくわくするんだけどね。

商店街でカフェを見つけてようやく昼食にありつく。
オムレツサンド。
メニューの写真にはサラダとピクルスもついてたんだけど、
食べきれないので最初に断った。



壁に並んだコーヒーカップから好きなものを
選ばせてもらえるのがうれしい。
オムレツはふわっふわでとてもおいしい。


本日のメイン、大垣図書館。
最寄り駅は「室」となっているんだけど、
歩くのが嫌いじゃない人なら
大垣駅から普通に歩いていける距離。
初めて見る本がたくさんあってうれしかった。

宿泊は、結婚式場もかねた市内の大きいホテル。
たぶんここ、昔、いとこの結婚式で来たことある。
名前を出さないのは、いまいちだったから。
古いホテルなので仕方ないんだけど、
家具はあちこちはげてるし、
室温は自分で調節できず、
フロントに電話して操作してもらうシステム。
「部屋が寒いので、温度を上げてほしい」
と連絡し、
「25度から28度に上げますね」
と対応してもらったのに、まだ寒い。
もしや、これ、冷房なのでは……?
ともう一回電話したら、
「暖房入ってないんです。エアコン切ってもらうしか……。
改善されなければヒーター持ってまいります」
って。
11月に暖房入ってないって、そんなことあるの??
というか、「部屋が寒い」時点で、
冷房の温度上げても仕方ないと思うんだけど。

たまたま滞在中に嫌な知らせを受けたこともあって、
どうにも悪い印象ばかり残ってしまった。
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83:やまぐちせいこ 『ミニマリスト、親の家を片づける』

2018-11-05 13:57:50 | 18 本の感想
やまぐちせいこ『ミニマリスト、親の家を片づける』(KADOKAWA)
★★★☆☆3.5

【Amazonの内容紹介】

ミニマリスト流親の家の片づけ5原則。
モノを捨てたら親子の問題も片づいた!

**************************************************

実家の惨状を思うと、暗い気分になる……。

事前にお金について取り決めておく、というのは
なかなかいいアドバイス。
大規模な片づけってお金かかるんだよね。
そして足腰の弱ってきた親が生活できるように、
という視点で現実的なプランを提案しているのも
好印象。


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82:森美樹 『主婦病』

2018-11-04 21:45:14 | 18 本の感想
森美樹『主婦病』(新潮文庫)
★★★☆☆

【Amazonの内容紹介】

「たとえ専業主婦でも、女はいざという時のために
最低百万円は隠し持っているべきでしょう」。
新聞の悩み相談で目にした回答をきっかけに、
美津子はある仕事を始めた。
八時三十分から三時まで、昼休憩を除いて六時間勤務。
完全在宅勤務でノルマなし。
欠かせないのは、熟したトマト─。
R 18文学賞読者賞を受賞した「まばたきがスイッチ」をはじめ、
生きる孤独と光を描ききる六編を収録!

**************************************************

「R-18文学賞読者賞」で受賞して
再デビューされていたことは知っていたのだけど、
長らく積んだままになっていた本。
というのも、
「テーマ的に、これは自分の好みと合わないのでは……?」
という予感があったため。
少女小説時代の作品を好きすぎたがゆえに、
予感が現実になるのを恐れていたのだった。

実際、主婦の性をテーマにした短編集であるこれは、
読み進めるごとに
じとーっとした陰鬱な気分になってしまった。
既婚女性の性愛の話って、
どうしても陽気なエロにはならないよね……。
ドラマを生じさせるためには夫との間に何かしらの
問題を抱えていなければいけないし。

でも文章はやっぱり好き!


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81:能町みね子 『ほじくりストリートビュー』

2018-11-04 19:15:25 | 18 本の感想
能町みね子『ほじくりストリートビュー (散歩の達人POCKET)』(交通新聞社)
★★★☆☆

【Amazonの内容紹介】

月刊「散歩の達人」大人気連載を単行本化!
地図で見つけた変な境目・細すぎる道・行き止まりを現地でほじくれ!

**************************************************

地図マニアではないけれど、
旅行先では、観光地よりも
生活空間のほうに心惹かれるタイプの人間なので
路地や古い家の琺瑯製の住所表示、
手作り橋を見たときのわくわく感は理解できる。
東京とその周辺が舞台なので
まったく土地勘がないんだけど、
街歩きがしてみたくなるね。

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80:フカザワナオコ 『おひとりさま女子のポチッとお取り寄せ』

2018-11-03 13:14:36 | 18 本の感想
フカザワナオコ 『おひとりさま女子のポチッとお取り寄せ』(芳文社)
★★★☆☆

【Amazonの内容紹介】

おウチにいながら日本全国手みやげの旅。
絶品スイーツから手作り豆腐キットまで。
フカザワナオコ、40歳、おひとりさまが
1年間にわたってお取り寄せした「おいしいモノ」たちをご紹介。
お取り寄せグルメたちに贈る
珠玉のハートフルエッセーコミック誕生です!

**************************************************

同じ「なおこ」で「おひとりさま」を売りにしていたものだから、
たかぎなおこと混同していたことに気づく……。

特に食べてみたいと思うようなこともなく
さらっと読了。
この手の本は似たようなものが多いから、
何かしら他にないアピールポイントが必要だね。

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79:沢辺有司 『日本語150の秘密 』

2018-11-03 13:01:11 | 18 本の感想
沢辺有司 『日本人として知っておきたい 日本語150の秘密』(彩図社)
★★★☆☆3.5

【Amazonの内容紹介】

「ニッポン」と「ニホン」どちらが正しい?
敬語の「ご確認してください」って間違い?
「おいそれと」の「おい」と「それ」って?
「五十音図」なのに45文字しかない理由。
漢字が廃止されかねない危機があった。
なぜトランプを「切る」と言うのか?
複雑で不思議で美しい日本語の謎を解き明かす。

**************************************************

内容紹介の

>「ニッポン」と「ニホン」どちらが正しい?

の答えは「どちらも正しい」。
ただし、「ニッポン」が先に生まれ、「ニホン」が後にあらわれたそうだ。
意外。
「ニホン」のほうがナチュラルな発音で先に生まれたのだと思っていた。

「君」・「僕」は高杉晋作の奇兵隊で、身分に関係なく
統一した呼び名とされたのが広まったとか、
「大和撫子」はもともと男性も指していたとか、
「本気」に「マジ」とつけるような自由なふりがなは
室町時代にはもうあったとか、
前半は知らないことがいっぱいで楽しめた。
昔の文章に句読点がないのは知っていたけど、
句読点法が導入されたのは明治39(1906)年だそうで、
思ったより遅かったんだ……という印象。
江戸時代にはもう自然発生的に生まれたんだと思っていたけど、
欧文に対応する形で生み出されたのね。

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おでかけの記11:西原珈琲店&桃厳寺

2018-11-01 12:19:06 | おでかけの記
朝から読書と作業のため西原珈琲店へ。
ここ、昔、何回も前を通って看板を見ていたのだけど、
お金のない学生の身だったうえ、
コーヒーを飲む習慣がなくて
一回も足を踏み入れなかったのだった。



店内はシックで、薄暗い。
ダークブラウンの内装がとても好み。
食器も、陶器好きにはたまらない。
期間限定でデザートの盛り合わせをやっていたので
黒豆のタルトとプリンをセレクト。



(〇〇プレートと書いてあったが、別々の器で出された)
2種類で450円。
これくらいの量がいちばんありがたい。

ここがいいのは「モーニング」をやっていないこと。
モーニングセットはほしくないのでいつも断るし
(トーストがあまり好きじゃない)、
モーニング目当ての客で混むのが嫌なんだよね。
人がすくなくてゆったりできた。

帰り道、近くの桃厳寺へ。



こちらも、前を何度も通っていたにも関わらず
まったく関心がなく入ったことがなかった。
織田信秀の菩提寺なんだそうだ。



この名古屋大仏が有名なんだけど、
なんか曹洞宗っぽくないね。



動物の供養もしてくれる様子。
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