牛込・神楽坂 酒問屋 升本総本店の別館「涵清閣」 主人が語る

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酒のブレンド

2007-10-29 09:21:23 | 酒の情報(酒エトセトラ)
「食の信頼」が問われる中、「慣習」への疑問も出てきたようです。

食品安全等について調べている知人から教えてもらった、一ヶ月くらい前の新聞記事です。


「銘酒『菊駒』はブレンド」--「味の保持には必要」--被告・八戸酒類が反論
 五戸町の銘酒として人気が高い清酒「菊駒」が、八戸市内で製造された別の酒と日常的にブレンドされていたことが分かった。菊駒の商標権を持つ五戸町の菊駒酒造と、菊駒を製造・販売していた八戸市の八戸酒類の間で争われている商標権侵害差し止め請求訴訟で明らかになった。(中略)
 27日に青森地裁八戸支部であった弁論準備手続きの際、菊駒酒造側が八戸酒類のブレンド行為を指摘した。菊駒酒造の三浦社長は「(ブレンドは)違法ではないが、お客様にうそをついているという気持ちはあった」と話している。
 これに対し、八戸酒類の橋本社長は「年間を通じて同じような味を保持するために、いろいろなタンクから(酒を)集めてくる。それをブレンドという。『100%菊駒』では足りず、ブレンドしないと生産量は追いつかない。今に始まった話ではない」と説明している。
同訴訟は、菊駒酒造が「八戸酒類から独立して『菊駒』を造りたい」と主張して昨年12月に提訴した。(中略)
 長年、「菊駒」ファンだったという青森市の女性会社員(44)は「ブレンドされているとは知らなかった。がっかりした」と話している。


「ブレンド」という見出しで??でしたが、いわゆる「桶買い」ですね。確かに
「今に始まった話ではない」という談話も、さもありなんです。

個人的には、桶売り・桶買いという慣習自体は、酒類製造に限らず業界構造として否定できないと考えます。そもそも、すべての蔵(製造施設)が独自ブランドでやっていけないからこそ、こうした桶買いや、「蔵の合併」が起こるのですから。

ウイスキーでは、「シングルカスクしかウィスキーとして認めん!!」なんてことでしょうか。そんな野暮なウィスキー飲みはいないとは思いますが。


ここで重要なのは説明責任。特に桶買い側ではその事実は必要部分、開示すべきでしょう。
こうした中で、(本来当たり前ですが)「100%自社製造」が買う側としての基準になったり、「自分のブランドを自分で作りたい」という流れが出てくるのでしょう(それでやっていければ、ですが)。


この訴訟自体は、ブレンドの是非ではなく、さまざまな背景があるようですが、「慣習」とどう折り合いをつけていくのか、考えてしまいました。


牛込・神楽坂 酒類卸 升本総本店
http://e-masumoto.com/default.aspx


コメント
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