牛込・神楽坂 酒問屋 升本総本店の別館「涵清閣」 主人が語る

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戦前までは、「日本酒と言えば樽酒」だったようです。

2020-01-09 15:23:28 | BTP48あるいは積み樽データブック
                          

                           【公式HPはこちら↑】





今日も元気に四斗樽の出荷
(地元の警察署の武道始式用に樽開け準備中)





年末の新川大神宮樽酒祭の際など、樽酒/酒樽関連の催しなどで(個人的に)キャッチフレーズとして使っていたのが


昔の日本酒は、みんな樽酒(樽香のついた酒)



そう、「文化遺産「和食」には日本酒」、などと言ってますが、昔はみんな樽酒と合わせてたんですよね。


そこで疑問に思ったのは、その「昔」というのはいつ頃のことなんでしょう。

昔、ポケベルというのがあってね⇒1990年代ですね

昔、インベーダーゲームというのが流行ってね⇒1980年頃

昔、八重洲とかは海だった⇒江戸時代以前

昔、九州は朝鮮半島と陸続きになっていた⇒30万年くらい前?



冗談はさておき、樽廻船の江戸~明治初期は確実にそうとして、問題はその後、明治後期から大正、昭和のどの辺りまで、「日本酒と言えば樽酒」だったのでしょう。

進化の過程からすると樽⇒ガラス瓶でしょうから、その視点で少しググってみると、ガラス瓶の登場は明治34年のようです。

ただ、一般的になってきたのはもっと後のようで、あるHPにはこんな記載が。


これまで、一升瓶の誕生もお話をしてきましたが、実は一升瓶が広く普及し始めるのは、明治34年を大分過ぎてからになります。明確に言えば、大正12年(1923年)のことです。この年起きた関東大震災によって、一升瓶の日本酒が普及していくことになりました。当時は、木造家屋が一般的です。そのため、復興のためには大量の木材が必要でした。桶は木材ですから、当然日本酒の桶に使う程、木材は余っていないわけです。これに合わせるように、ガラス製の一升瓶の日本酒は一気に普及したのでした。

日本酒の歴史シリーズ 日本酒の近代化 クラフト酒と一升瓶
https://kura-con.jp/nihonsyunorekisikindaika-3216/



関東大震災の復興の木材需要で上方などの酒樽の杉がなくなる、というのはちょっと「風が吹けば」的なものを感じますが、大正末期から普及していったということでしょうか。

Wikipediaにはこうあります。

明治末年に白鶴によって一升瓶が開発されたが、全国津々浦々に浸透するまでに年月がかかったため、昭和初期(地方によっては昭和20年代)まで酒は現在のように瓶で売られるのではなく、町の酒屋においてはまだ酒樽からの量り売りするのが主流であった。
wikipedia-樽からの量り売り


これはもうちょっと時代が下っているようですね。


月桂冠さんのホームページにはもっと具体的に書いてありました。


明治時代にびん詰が登場。月桂冠では樽詰が全盛だった時代、びん詰の商品化に力を注ぎ、1902年(明治42年)頃から、びん詰の酒を発売していました。防腐剤なしの日本酒、駅売用のコップ付きの小びん、劣化を防止する褐色びん詰の酒など、次々と新たな切り口の商品を開発すると共に、蔵元の元詰により品質を保証した商品として、次々と上市していったのです。まだ大半の日本酒が量り売りされていた昭和初期には、本格的びん詰めプラントを導入しています。びん詰の酒は、昭和初期、樽詰の数量を追い越し、昭和20年代にもなると、びん詰の酒が主流になりました。

月桂冠ホームページ
https://www.gekkeikan.co.jp/enjoy/culture/vessel/vessel03.html


なるほど、昭和20年代に瓶詰が主流、ということは、戦前は樽酒が主流、だったということですね。

ネット情報頼りでは、とも思い、当社研究室の資料も調べてみました。



(昭和)14年の酒の流通におけるガラス瓶と樽・徳利の比率は、まだ4:6だった。ガラス瓶の不足が解消されるのは、戦時中、戦地に酒や醤油を送るために軍事物資として扱われたためで、生産体制が急速に進展した。そのため極度の物資欠乏の時代であった22年ですら、酒の容器の99%がガラス瓶になっていた。


なるほど、昭和14年ではガラス瓶は40%、昭和22年になると99%ということですか。月桂冠さんの記載とも大きな矛盾はありません。

「戦前は多くが樽酒だった」と言えそうです。





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