19時過ぎに始まり、試合終了が何と終電間際の11時50分過ぎと、4時間46分の激闘でした。手に汗握る展開に、一人スポーツバー状態でお酒が進み、試合終了後も勝利の余韻に浸りながら飲み続けた結果、今朝は自宅で軽い二日酔い状態でした。お恥ずかしい限りです。
しかし、屈指のメジャーリーガー5人に、ソフトバンクのバンデンハーク、ヤクルトのバレンティンを擁するオランダは本当に強く、しびれる展開で5時間近くもダレた感じは一切なしでした。
中田の3ランなどで4点取つて、バンデンハークを早い段階で攻略した時には、楽勝かと思いました。しかし、しかし、です。オランダもバレンティンの左翼ポール直撃の2ランで追いつくなど、勝ち越しては追い付かれる、本当にピリピリした展開でした。それでも、楽天・嶋の故障離脱で今大会正捕手の座につき打撃も好調の小林誠司がしぶとくセンター前に運んで1点を勝ち越すと、惜しげもなく投手を投入する総力戦で守りにいきました。中でも、千賀、増井の投球は圧巻でした。
そして、いよいよ9回。先発要員でもあった則本を投入です。上位打線相手ですが、当然ここで試合を終わらせる腹づもりです。そして、155kmの速球は威力十分で、2番からの好打順を三振で入りました。しかし、3番ボガーツに四球を与えると、バレンティンには右前に運ばれ一三塁のピンチ。5番は浅いレフトフライで本塁突入は許さず二死。あと一人!きっとここで終わりにしてくれる!誰しもそう思いました。が、しかし。6番スクープの当りは、7回に超ファインプレーを見せた菊池のグラブもわずかに届かず、センター前に運ばれ、無常にも同点に追い付かれました。。。昨年のプレミア12が少し頭をよぎりましたが、則本もここは踏ん張り、サヨナラは許さず、何とか延長に突入しました。
そして、延長では牧田が貫禄の投球をみせ、11回の無死一二塁からの史上初のタイブレークでは、筒香に代わって入っていた鈴木が送って二三塁から中田が値千金のタイムリーを放ち2点を勝ち越しました。しかし、相手も同じ条件ですから、2点は決して安全圏ではありませんでしたが、牧田がしっかりしめて、白熱した激闘に終止符を打ちました。
いやはや、見ている方も疲れましたが、本当に見る価値のある試合でもありました。それは、何故か? 「最高の能力を持った選手たちが、真剣にゲームをするから」という単純な理由です。130試合以上(メジャーは160試合以上)をこなすレギュラーシーズンは、どうしても疲労も蓄積しますし、ケガなどをしないように、良くも悪くも「力を抜いた(手を抜いた)」プレーもあります。しかし、誇りを胸にプレーするWBCでは、一瞬たりともそうした瞬間がなく、それが観るものを魅了します。ピンチを逃れた時には、全員がベンチから飛び出て歓喜してナインを迎えます。それは、学童野球の無邪気な姿と何ら変わりません。
昨日の試合の瞬間最大視聴率は32%だったそうです。こうした試合もいつも出来れば、プロ野球も、ひいては高校野球も、中学野球も、学童野球も、もっと盛り上がるのだと思います。先に書きましたが、130試合以上をするので力を抜くのは仕方がないことなのでしょうか?かつての日本プロ野球の大スターのONは、オープン戦にもすべて出場していましたが、それについてこう言っていました。「選手には百何十試合のうちの一つかもしれないが、観に来ているお客さんにとってはその試合しかない。そこでお目当ての選手が出ていなかったら、どう思うだろうか(だから、主力選手は全ての試合に出るべきだ)」と。ケガをしない丈夫な身体を作り上げれば、こうしたONの姿勢を真似することは出来ると思うのですけどね。
イチロー選手や松井秀喜選手は、そうした系譜を受け継ぐ選手でした。しかし、その後それが途切れていたような気がしますが、最近は、筒香選手がそうしたオーラを出していますし、昨日も超絶美技を見せた菊池、トリプルスリー山田なども「見たい選手」となっています。今大会は残念ながら、故障で欠場しましたが、大谷翔平もそれこそON級です。こうした(観客に魅せる気持ちをもった)ON級の選手が少しでも増えると、野球はもっと盛り上がりますね。