例えば、企業のトップが次のように言ったとしたらどうでしょうか。
「できるだけコストを削減しろ。但し、品質は絶対に落とすな」
もちろん、言いたいことは分かります。しかし、こうした二律背反した命題が、どちらを第一義で優先すべきなのかを提示されずに与えられると、現場は非常に困惑します。原価管理をする購買部門などでは徹底的にコスト削減に走るでしょうが、開発・製造部門は品質を落とすようなコスト削減には反対します。結果として、ベクトルが合わずにどちらも達成できないことになります。リーダーシップをとるべき立場の人は、それを理解したうえで、何を最優先のターゲットとするかを共通認識とさせ、利害対立しそうな時はうまく共通目標を示し、同じ方向に導くのが役目です。しかし、最近そうではなくて、最初の例に近いようなことがあって、「はぁ~」とため息をついています。しかし、特に珍しいことではなく、どこの企業でもあることだと思います。
国の政治でも同じです。多くの期待を担ってスタートした民主党政権ですが、どうも最近どこが司令塔なのかが見えません。鳩山総理は普天間問題をはじめブレが目立ち、亀井大臣の暴走も止められず、菅副総理も自前のスタッフがいないため持ち前の切れ味を欠き、藤井財務相は存在感なく、長妻厚労相も元気がありません。前原国土交通相は毎日のように露出していますが、現業に忙しく全体の司令塔とは言えません。岡田さんも外相としての存在感を発揮出来ていません。そんな中で存在感を発揮しているのは小沢幹事長ですが、その本音がどこにあるのか分かりません。しかし、そのメッセージとしては次のように国民に映っています。
「政策は政府に一本化しろ。但し、きちんと党の意向を確認してからにしろ」
これもダブルスタンダードです。権力の二重構造と言われても仕方ありません。どうにも小沢一郎という政治家は、近くにいた政治家たちも理解できないようですが、実は自分自身でも何をしたいのか分からないのではないかと最近思い始めました。つまり、今までも自分が首を振ればトップに就く機会があったにもかかわらず、トップにつなかったのは、巷間言われるようなキングメーカーや黒幕であろうという意図ではなく、単純にトップに就きたくないのではないかということです。そして、はっきりしていることは選挙に勝こと、そして、それによって政界再編をすること。ここには、今一番大切な経済のかじ取りや、将来の日本の絵姿を国民に示し、自分自身がリーダーシップをとるということはないようです。しかし、それで、実質的に日本の政治を左右しているようではやはり困りますよね。
少年野球でも同じですね。
「思い切り振ってこい!但し、絶対三振するなよ」とか、
「ゴロには突っ込め!但し、絶対エラーするなよ」などと言えば、
誰も思い切って振ったり、突っ込んだりしなくなりますよね。大切なのは、思い切って振ることなのか三振をしないことなのか、ゴロに突っ込むことなのかエラーしないことなのかは、はっきりしてあげないといけません。どっちも大切だというのはもちろんなのですが、だとすれば、三振しない、エラーしない技術を指導した上で、思い切って振る、思い切って突っ込むように言うなど、うまく導いていくことが必要でしょうね。
今日のジョグ
仕事で遅くなり休みです。明日はちょっと長距離を走りたいです。
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