リオ五輪は、開催できるのかなどいろいろな問題がありましたが、最大の問題はやはりロシアの国家ぐるみのドーピング問題でしょうね。国際陸連はロシア選手の全面出場停止を決めましたが、IOCはロシアの出場を各競技団体の判断に委ね、これがいろんな議論を呼びました。
各競技団体の判断で出場できるようになったロシア選手に対し、他国の有力選手が露骨に批判するコメントと出したりもしました。一方、ロシア国内では、この事態を反省する気配はまったくなく、むしろロシアだけが狙い撃ちにされたという被害者意識があるようです。金藤選手が感動的な金メダルを獲得した200m平泳ぎで、銀メダルになったロシア選手は、過去にドーピング違反歴があり、ブーイングを浴びていました。
ロシアの組織的なドーピングはもってのほかですし、かつてのソビエト連邦の影響下にあった東欧諸国、中でも投てき競技などではドーピングがかなり広く行われていたことは周知のことです。かつで圧倒的な成績を誇った中国の陸上界の馬軍団もドーピングが強く疑われました。今大会でも、既に中国選手のドーピングが発覚しています。一方、国家ぐるみはないでしょうが、アメリカなどでドーピングがないかと言えば、そんなことはありません。
そんな中、日本選手はこれまでオリンピックでドーピング違反をしたことがないということに象徴されるように、日本選手のクリーンさは賞賛されてしかるべきものだと思います。
ドーピングなどは、最低限も最低限のモラルだと思いますが、日本人選手のフェア精神は、競技そのものへの姿勢にもあると思います。
昨日の男子柔道100kg超級の決勝戦、「絶対王者」リネール対原沢の対戦は、それを感じされられました。「絶対王者」リネールは、絶対負けない戦い方を貫き、原沢選手にまったく組手をとらせず、戦う気がまったく感じられませんでした。しかし、今のルールでは、組手にこだわり技を出さなければ、消極的とされ指導を出されます。しかし、開始8秒でそれを出されるのもどうかと思いますが、戦う気のない「絶対王者」リネールではなく、原沢に指導が出され、戦いらしい戦いもない、つまらない決勝の末、「絶対王者」リネールが勝ちました。
勝ちは勝ちなので、それを否定するつもりはありません。競技が誰のものかと言えば、競技者自身のものですから、競技者が勝つために(ルールの範囲内で)どんなことをするのも仕方がないことです。それで、その競技者自身が満足しているならば、それも仕方がないことです。
しかし、オリンピックなどの大舞台では、競技者一人ではなく、何百万人、何千万人という人がそれを見ています。その試合の「価値」は、その人々の心にどれだけ残るものかということによって決まるのではないでしょうか。残念ながら、リネールが世界選手権や五輪を何連覇もして、「絶対王者」と言われても、昨日の試合は誰の心の記憶にも残らないと思います。それでも本人の手元には金メダルが残ったのでいいのかもしれませんが、アスリートとして、本当にそれが幸せなのでしょうか。そのためだけに、スポーツを始めたのでしょうか。
男子体操は、「美しい」体操で世界を魅了し、金メダルを獲得しました。柔道でも、しっかり組んで、しっかり技をかける「美しく、強い」柔道で、男子は全階級でメダルを獲得するなど、過去最多のメダルを手にしました。陸上、水泳など身体能力がものを言う競技では、分が悪いですが、クリーンに技術を磨いて勝負しています。だからこそ、それを見る人々の心を打つのだと思います。
震災時の人々の行動が、世界を驚かせましたが、それと同様、こうしたスポーツ選手のフェアネスはいろんな意味で、世界に誇るべき日本の強みだと思います。勝ったものだけではなく、フェアに努力すつことが評価される社会を、これからも守っていきたいですね。がんばれ、ニッポン!
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