東京都のほぼ中心部にあたる環状3号線の一角に桜の名所として知られている「播磨坂」はある。古くは松平播磨守の広大な屋敷のあった場所でその名に因み、坂の下の千川が流れる低地一帯を「播磨たんぼ」と呼んだことからこの坂道は「播磨坂」と名づけられた。昭和35年の「全区を花でうずめる運動」を契機にソメイヨシノを中心にウコンザクラなど珍しい品種も含め約130本の桜が植えられ、遊歩道の到る所に彫刻像、モニュメント石像が建てられている。以降は婦人会の努力によって桜並木は維持、保守され現在の見事な桜花のトンネルが出来上がった。なだらかな坂に春を告げる坂に地元が満開の桜を咲かせたことで毎年開催される「桜まつり」には花見は多くの人で賑わうようになった。(1607)
文京区白山に徳川綱吉の「白山御殿」の跡地に江戸幕府によって1684年に開園された「小石川御薬園」が前身のようで、日本で最古の植物園といわれている東京大学大学院研究附属植物園の教育実習施設「小石川植物園」はある。世界でも有数の歴史を有する植物園のひとつである。台地、傾斜地、低地、泉水地と地形にとんだ16000平方メートルという広大敷地の中には4000種の植物や遺構が残されている。「東京大学総合研究博物館 小石川分館」という赤い建物の前には美しい徳川綱吉が幼児の居邸であった「白山御殿」の庭園に由来する「日本庭園」が広がる。自然の地形を巧みに利用し中央には池が配され周囲には石組みや地割りが施されたその秀逸な技術から江戸時代を代表する庭園の一つ数えられている。(1607)