奈良市春日野町、奈良国立博物館前にかつて平城京に氷を納めた「氷室神社」はある。創建は和銅3年(710)。祭神は闘鶏稲置大山主命、大鷦鷯命、額田大仲彦命である。元明天皇の勅命で「氷神」を奉祀し、備蓄した「結氷」を翌年に平城京へ納める制度が創始され、翌和銅4年(711)に初めて献氷の勅祭が興され氷を納めたとある。しかし70年余り続いた制度は平安遷都後は廃止となり貞観2年(860)、清和天皇の代に現在地に奉遷された。以来春日大社の別宮に属し、春日社、興福寺の支援で行われたが、明治以降は氏子と冷凍氷業界の奉賛により維持されている。通りに面し朱の「鳥居」が建ち、その正面に建保5年(1217)建立の「社殿」群がある。奥に三間社流造り「本殿」がある。氷の神社あることを初めて知ることとなった。(1704)






