鹿島春平太チャーチ

「唯一の真の神である創造主と御子イエスキリスト」この言葉を“知っていれば”「天国での永生」は保証です。

13. <もう一つのブラックボックス=官僚の仕事領域>

2013年09月16日 | 聖書と政治経済学



統治は、なすべきことを決定し、それを実施する行為である。
消費税を5%から10%にあげるかどうか、というのもそれだ。
決めるのは国会で政治家が議決する。

そして上げると決まったら、決めたことは実施せねばならない。

それには~

① 実施のルール、法律を定め、

② 実行する人間の連携関係を示す組織図をつくり、

③ それに適切な人材を配置し、

④ 実施に必要な費用を計測し予算から割り当て、

⑤ その機構が日々作動するように運営・運転する。

~以上が必要である。




これは議決に劣らず重要な仕事である。
にもかかわらず人民はこの実施の領域の情報を与えられていない。

法律は国の機関紙「官報」(日刊)で知らされていると言うが、
この新聞が地方の公共図書館に朝日、毎日などの新聞とともにぶら下げられている例は少ない。
当面「官報」は利害関係者だけのための情報紙というイメージのままで来ている。

実施領域の情報が人民になじみやすい形で散布されるに至っていない理由は、
一つには業務が細部にわたっていて複雑で、一般国民にはわかりづらいことだろう。
もう一つは、これらの情報には国会での議決のようなドラマ性がないことだろう。

ともかく、だから一般人民は実施のためになされる領域の事柄を知りえない。
これがまた政治を不可解にしている。

かくいう筆者も一般人民の一人である。
鹿嶋の師匠は国の税制調査会などに深く関わっていたので、話を聞く機会はあった。
だが、霞ヶ関の現場に踏み込んだ経験がないとイメージしがたい話が多かった。
そういう人間が書いているのだから、本稿への期待もほどほどにして読んで欲しい。




<事務という名称>

この領域の仕事を「事務」といいう。その場が事務局であり、
これを行う国家公務員が官僚である。

だが、これらは言葉からしてよくわからないところがある。
そもそも、事務ということばがわかりにくい。
日本語では「事」は「ことがら」「できごと」である。
「務」はなすべき「つとめ」「つとめること」である。

あわせて「事務」にすると「なすべきことがらにつとめること」
・・・これでは意味が広すぎて言葉から理解を試みることができない。




事務官僚というのも具体的なイメージが湧かない。
事務をする国家公務員といってもわからない。
結局、事務の意味が漠然としているからだ。

事務次官という言葉が新聞に出ることがある。
官僚の出世の頂点にいる権力者といわれる。
だがそれがどうして権力者になるのかも、
事務の意味が漠然としているのでよくわからない。




<机仕事>

事務は英語のoffice workの訳である。
主にオフィスで机に向かってする仕事が事務である。

政治家も国会議員会館にオフィスはもっている。
だが、彼らはそれを秘書にさせておいて、自らは外で動き回る。

他方、施行の法規をつくったりするような仕事はほとんど、オフィスの机に向かって行われる。
だからオフィスワークなのだろうが、これを事務というとわからなくなる。

もっといい日本語はないものかと思う。
いっそのこと「机仕事」としたらどうだろうか。
だけど、机仕事次官では権力を持った「えらい人」というイメージはわかないだろう。
そこで日本語英語で「オフィスワーク」とするのも一案だ。
若干はイメージしやすくなる。

事務局はオフィスワーク局ないしは机仕事局だ。
あるいは、実施局というのもいいかもしれない。




<官僚の権力>

実施局の官僚は実際には権力を持っている。
力の源は実施領域での情報独占にある。

施行段階での法律を作ったり、組織図を造ったりするのは細かい仕事だ。
実施を決定した政治家にも、詳細はわからない。
だから、官僚はこの段階の操作で、決定事項を骨抜きにしてあげることだって出来る。

また実施機関が日々運転されている様子、その過程で生じる諸問題は
担当実施員以外には受信しにくい情報である。
そしてそれは時がたつごとに部外者にはますますわからなくなる。
大臣もわからないからますますオフィスワーカーに任せっきりになる。
こうして情報は実施局員に独占されてしまう。

そうなると、公式の最終権限は政治家がもっているといっても、
実際にはその権限を行使するすべがなくなる。
たとえて言えば、相撲取りを目隠しして子供と相撲をさせる状況をイメージしたらいい。
腕力では関取は圧倒的に強い。だが目隠しされているから相手を捕まえられない。
そういう立場に国会議員はなっていく。




<議決前から依存>

机仕事官僚は、国会で議決がなされる以前にも活躍する。
法治国家では決定は法案に対してなされる。
この法案を作るのがすでに机仕事である。

政治家は自分の机仕事人、すなわち秘書に造らせることも出来るが、
能力が官僚にはかなわない。
官僚は関連部門の事柄も日々の業務を通してよく知っているから、
法案造りも楽に出来る。
そこで、与党は法案造りからして彼らに依存することが多い。

官僚のこうした活動領域も、一般人民にはブラックボックスになっている。
これもまた人民にとって政治を不可解にする一大要因である。

このテーマはもう少し続けよう。








コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする