ブラームスのヴァイオリンソナタ」は全部で3曲。今回はローラ・ボベスコのヴァイオリン、ジャック・ジャンティのピアノで1980年から1981年にかけての録音。
第1番は朝にアップしたヴァイオリン協奏曲の苦闘の直後に完成している。ヨアヒムとの格闘の中でヴァイオリンの特性を体得したブラームスの最初のヴァイオリン曲と云えるらしい。
第1番の第3楽章に自身の歌曲「雨の歌」の旋律が使われており、「雨の歌のソナタ」と呼ばれている。哀愁のただよう抒情性、と云われている。確かにこの曲は春の雨の夜にじっくりと聴きたい曲のひとつである。本日のような天気の日の夜に似合う。
第2番、第3番は第1番からほぼ8年後~10年後に作られている。時期は近いし、また充実した時期の作品であるが、どちらかというと対照的な雰囲気を持つ。
第2番が明るい抒情を讃えた曲の雰囲気とするならば、第3番は内にエネルギーが向かうようなイメージ、そして重厚なイメージでもある。第3番の第2楽章、ゆったりとした楽章だが特に最後の方のヴァイオリンの低音とトレモロが本日はとても惹かれた。