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Sightsong

自縄自縛日記

森山威男 NEW YEAR SPECIAL 2025@新宿ピットイン

2025-01-04 16:55:07 | アヴァンギャルド・ジャズ

新宿ピットイン(2025/1/2)。

Takeo Moriyama 森山威男 (ds)
Tetsuro Kawashima 川嶋哲郎 (ts, ss)
Takumi Nakayama 中山拓海 (as)
Yusei Takahashi 高橋佑成 (p)
Hiroaki Mizutani 水谷浩章 (b)

御大・森山威男の体調は大丈夫かしらと懸念したこともあって、ライヴに駆け付けるのは6年ぶりのことだ。股関節の手術を控えているとのことだが、上半身を伸びあがるようにしてのコンビネーションはやはり唯一無二。<グッドバイ>で次第にドラムに音を引き寄せていってピークを迎える森山スペシャル(勝手にそう呼んでいる)も、ややパワー不足かもしれないが健在だった。

森山威男サウンドを成立させるには既成のありようを身体化して貢献することでは不十分で、それでは縮小均衡にしかなりえない。その意味で高橋佑成さんのピアノは笑ってしまうほど鮮烈で素晴らしいものだった。あくまで自分の世界を展開する強靭さがあった。

●森山威男
佐藤允彦&森山威男 feat. レオン・ブランチャード&アイドリス・ラーマン『LIVE AT CAFÉ OTO』(JazzTokyo)(2019年)
森山威男 NEW YEAR SPECIAL 2019 その2@新宿ピットイン(2019年)
森山威男 NEW YEAR SPECIAL 2019 その1@新宿ピットイン(2019年)
森山威男3Days@新宿ピットイン(2017年)
森山威男@新宿ピットイン(2016年)
ペーター・ブロッツマン+佐藤允彦+森山威男@新宿ピットイン(2014年)
森山・板橋クインテット『STRAIGHTEDGE』(2014年)
ペーター・ブロッツマン+佐藤允彦+森山威男『YATAGARASU』(2011年)
『森山威男ミーツ市川修』(2000年)
森山威男『ライヴ・アット・ラブリー』(JazzTokyo)(1990年)
森山威男『SMILE』、『Live at LOVELY』(1980、90年)
森山威男『East Plants』(1983年)
松風鉱一『Good Nature』(1981年)
内田修ジャズコレクション『宮沢昭』(1976-87年)
宮沢昭『木曽』(1970年)
見上げてごらん夜の星を
渚ようこ『あなたにあげる歌謡曲』、若松孝二『天使の恍惚』


ELECTRO ESTHE エレクトロ・エステ〜輝きのその先に@千駄木bar isshee

2024-12-29 09:28:02 | アヴァンギャルド・ジャズ

千駄木のbar isshee(2024/12/28)。

Jun Morita 森田潤 (electronics, synth)
Momose Yasunaga (modular synth, voice)
Radio ensembles Aiida (BCL radios)
MIYA (modular fl)

森田潤さんは「都市伝説のようなものだ」と言いつつもエレクトロニクスの使い手に呼びかけ、水の美しい波紋を作り出す432 hzという周波数をコンセプトとした即興集会を開いた。これは人間の美にも結び付くのだとする。煙に巻かれたようでもあり、またたしかに意識が外に向かって開かれるようでもあり、静かに興奮させられる。

◎Jun Morita 水面下に棲息する者たちの気配がやがて隠しようもなく顕れてくる。
◎Momose Yasunaga 美しい流れを設定しつつ、いつの間にか本人のヴォイスが匿名性を獲得する。
◎Radio ensembles Aiida ラジオは外に開かれた窓。なにものかの存在が複数化・多層化する。
◎MIYA 電子は偶然で匿名、息は人為。そのふたつが重ねられることで人為もまた偶然性をもつ。

Fuji X-E2, 7Artisans 12mmF2.8, Canon 50mmF1.8 (Leica L-mount)

●森田潤
EXPLOSION GIG vol.2@高円寺Show Boat(JazzTokyo)(2024年)

●MIYA
李俐錦+Miya+武田理沙@代々木上原Hako Gallery(2024年)
MIYA+芳垣安洋@千駄木Bar Isshee(2024年)
MIYA+竹下勇馬@千駄木Bar Isshee(2024年)
インプロヴァイザーの立脚地 vol.21 MIYA(JazzTokyo)(2024年)
謝明諺・2024年6月の日本ツアー(JazzTokyo)(2024年)
ことばと即興音楽の夕@月花舎・ハリ書房(2024年)
「月花舎 Miyaを語る」@神保町月花舎・ハリ書房(2024年)
MIYA+中村としまる@千駄木Bar Isshee(2024年)
そらの下、わらの家@公園通りクラシックス(2024年)
MIYA+田中悠美子@千駄木Bar Isshee(2024年)
松本泰子+庄﨑隆志+齋藤徹@横濱エアジン(『Sluggish Waltz - スロッギーのワルツ』DVD発売記念ライヴ)(2019年)


なりゆきのあなた@音や金時

2024-12-19 08:19:05 | アヴァンギャルド・ジャズ

西荻窪の音や金時(2024/12/18)。

Akira Sakata 坂田明 (cl, bcl, misc.)
Keiko Komori 小森慶子 (cl, bcl, misc.)
Ryuichi Yoshida 吉田隆一 (cl, bcl, misc.)

クラリネットのトリオ「なりゆきのあなた」。状況の語り手というのか、能弁な背景というのか、クラリネットって不思議な楽器。

小森慶子さんはふふふんとおしゃべりに入り、坂田明さんの「ふふふん」はいきなり過激だったりして、また吉田隆一さんの音は騙りの構造を考えつつのものに思えたりして、どうも普段の佇まいと似たところがある。音や金時という空間も語り手のひとりか。

Fuji X-E2, 7Artisans 12mmF2.8, Leica Elmarit 90mmF2.8 (M)

●坂田明
Arashi@公園通りクラシックス(2024年)
坂田明+住倉カオス+竹下勇馬+オータコージ@千駄木bar isshee(2024年)
ヨシュア・ヴァイツェル+永井千恵+坂田明@稲毛Candy(2024年)
BIG FOOT@秋葉原GOODMAN(2024年)
坂田明 with TRAVISANO TRIO@千駄木Bar Isshee(2024年)
クレイグ・ペデルセン+マーク・モルナー+坂田明@千駄木Bar Isshee(2024年)
ケン・ヴァンダーマーク+ポール・ニルセン・ラヴ 2024年日本ツアー(関東編)(JazzTokyo)(2024年)
そらの下、わらの家@公園通りクラシックス(2024年)
ポール・ニルセン・ラヴ+ケン・ヴァンダーマーク+坂田明@渋谷Super Dommune(2024年)
坂田明+香村かをり@千駄木Bar Isshee(2023年)
フィールド – ダイクマン – フローリン / Drag it to the bottom w/坂田明@横濱エアジン(2023年)
MMBトリオ+坂田明@下北沢No Room for Squares(2022年)
特殊音樂祭@和光大学(JazzTokyo)(2019年)
Arashi@稲毛Candy(2019年)
リューダス・モツクーナス『In Residency at Bitches Brew』(JazzTokyo)(2018年)
ピーター・エヴァンス@Jazz Art せんがわ2018(JazzTokyo)
JAZZ ARTせんがわ2018
サイモン・ナバトフ@新宿ピットイン(2017年)
『浅川マキを観る vol.3』@国分寺giee(2017年)
坂田明+今井和雄+瀬尾高志@Bar Isshee(2016年)
ジョー・モリス@スーパーデラックス(2015年)
ペーター・ブロッツマンの映像『Concert for Fukushima / Wels 2011』(2011年)
見上げてごらん夜の星を(坂田明『ひまわり』、2006年)
浅川マキ『ふと、或る夜、生き物みたいに歩いているので、演奏家たちのOKをもらった』(1980年)
浅川マキ『Maki Asakawa』(主に1970年代)

●吉田隆一
インプロヴァイザーの立脚地 vol.19 吉田隆一(JazzTokyo)(2024年)
吉田隆一+広瀬淳二@神保町試聴室(2023年)
藤井郷子オーケストラ東京@公園通りクラシックス(2023年)
藤山裕子+照内央晴+吉田隆一+吉田つぶら@なってるハウス(2020年)
吉田隆一ソロ@喫茶茶会記(2019年)
渋大祭@川崎市東扇島東公園(2019年)
沼田順+照内央晴+吉田隆一@なってるハウス(2019年)
吉田隆一ソロ@なってるハウス(2019年)
吉田隆一ソロ@T-BONE(2018年)
沼田順+照内央晴+吉田隆一@なってるハウス(2018年)
藤井郷子オーケストラ東京@新宿ピットイン(2018年)
MoGoToYoYo@新宿ピットイン(2017年)
秘宝感とblacksheep@新宿ピットイン(2012年)
『blacksheep 2』(2011年)
吉田隆一+石田幹雄『霞』(2009年)


山口コーイチトリオ@なってるハウス

2024-12-14 08:59:40 | アヴァンギャルド・ジャズ

入谷のなってるハウス(2024/12/13)。

Koichi Yamaguchi 山口コーイチ (p)
Kosuke Ochiai 落合康介 (b, Morin Khuur)
Raiga Hayashi 林頼我 (ds)
Guest:
Satoe Kobayashi 小林里枝 (as)

『アフレリ』の音が生々しく迫る。個々の時間軸がぶれない3人がとても高いレヴェルで音を置き続ける。

林頼我さんのシンバルは切ると血が吹き出そうなほどだし、落合さんの馬頭琴はサウンド全体のなかでの役割を見出したような成熟感。山口さんはというと大河の大魚のように浮かび上がってくる。後半にゲストで入った小林さんのアルトをはじめて聴いたが、かたく締めたアンブシュアながら柔軟に動かしていて、音もまたキッと引き締まっていた。

Fuji X-E2, 7Artisans 12mmF2.8, Leica Elmarit 90mmF2.8 (M)

●山口コーイチ
山口コーイチトリオ『アフレリ』(JazzTokyo)(2024年)
渋さ知らズ fuwa works@入谷なってるハウス(2024年)
渋さ知らズ@なってるハウス(2023年)
渋さチビズ@なってるハウス(2023年)
川口義之+不破大輔+山口コーイチ+岡村太+高橋保行@なってるハウス(2022年)
不破ワークス@なってるハウス(2020年)
シワブキ@なってるハウス(2019年)
渋さチビズ@なってるハウス(2019年)
ヴァネッサ・ブレイ+山口コーイチ@サラヴァ東京(2018年)
川下直広カルテット@なってるハウス(2017年)
川下直広カルテット@なってるハウス(2016年)
AAS@なってるハウス(2016年)
山口コーイチ『愛しあうことだけはやめられない』(2009-10年)


る゛る゛る゛@神保町試聴室

2024-12-12 20:22:08 | アヴァンギャルド・ジャズ

神保町試聴室(2024/12/11)。

Masaki Kai 甲斐正樹 (b)
Taeko Kurita 栗田妙子 (p)
Shotaro Nozu 野津昌太郎 (g)

それぞれの楽器がいちばん良い音を出す領域を大事にしつつ、きもちよい鼻歌を端正に仕立て上げている感覚。

Fuji X-E2, 7Artisans 12mmF2.8, Leica Elmarit 90mmF2.8 (M)

●甲斐正樹
大阪でのパエド・コンカ(2024年)
かみむら泰一+塙正貴+甲斐正樹+大村亘@荻窪ベルベットサン(2024年)
閑喜弦介+甲斐正樹@本駒込Juhla Tokyo(2024年)
甲斐正樹+遠藤ふみ+則武諒@神保町試聴室(2023年)
野津昌太郎+塙正貴+甲斐正樹@池袋FlatFive(2023年)
遠藤ふみ+蒼波花音+甲斐正樹@中野Sweet Rain(2023年)
Yukari Endo Project『DROP, DROP, SLOW TEARS』レコ発@渋谷公園通りクラシックス(2023年)
渋谷毅+外山明+甲斐正樹@なってるハウス(2023年)
遠藤ふみ+甲斐正樹+則武諒@神保町試聴室(2023年)
Yukari Endo Project『DROP, DROP, SLOW TEARS』(2022年)
遠藤ふみ+甲斐正樹+則武諒@神保町試聴室(2022年)

●栗田妙子
西島芳+栗田妙子@公園通りクラシックス(2024年)
イトクリトリオ@神保町試聴室(2024年)
近藤直司+栗田妙子@なってるハウス(2023年)
吉田哲治+栗田妙子@東中野セロニアス(2020年)
川下直広+栗田妙子『11.25 & 27@バレルハウス』(2019年)
伊藤匠+細井徳太郎+栗田妙子@吉祥寺Lilt
(2018年)

●野津昌太郎
野津昌太郎+北川秀生+定岡弘将@池袋FlatFive(2024年)
Yutaka Takahashi+野津昌太郎@千駄木bar isshee(2024年)
野津昌太郎+北川秀生+定岡弘将@池袋FlatFive(2024年)
遠藤ふみ+野津昌太郎+阿部真武@神保町試聴室(2023年)
野津昌太郎+塙正貴+甲斐正樹@池袋FlatFive(2023年)
野津昌太郎+北川秀生+定岡弘将@池袋FlatFive(2023年)


内橋和久+李俐錦@千駄木bar isshee

2024-12-10 21:04:31 | アヴァンギャルド・ジャズ

千駄木のbar isshee(2024/12/9)。

Kazuhisa Uchihashi 内橋和久 (g, daxophone)
Li-Chin Li 李俐錦 (中国笙)

ふたりともデジタルとポルタメントの両面を持っており、サウンドが動的な重ね塗り。異なるようで親和性が高いのは愉快な発見だった。

Fuji X-E2, 7Artisans 12mmF2.8, Leica Elmarit 90mmF2.8 (M)

●内橋和久
田中悠美子リサイタル2024・義太夫三味線の音響世界@晴れたら空に豆まいて(2024年)
アルタードステイツ@湯島Bar道(2024年)
I-I(内橋和久+山本達久+坂口光央)@代々木上原Hako Gallery(2024年)
内橋和久+謝明諺@千駄木Bar Isshee(2023年)
内橋和久+とうめいロボ@千駄木Bar Isshee(2023年)
天鼓+内橋和久「天ノ橋 地獄巡」@秋葉原Club Goodman(2023年)
内橋和久+カール・ストーン@千駄木Bar Isshee(2023年)
内橋和久+田中悠美子@千駄木Bar Isshee(2023年)
高瀬アキ+ダニエル・エルトマン+内橋和久+中山晃子『複数の時間』@ゲーテ・インスティトゥート東京(2022年)
内橋和久+広瀬淳二@千駄木Bar Isshee(2022年)
内橋和久+松丸契@千駄木Bar Isshee(2020年)
ロジャー・ターナー+喜多直毅+内橋和久@下北沢Apollo(2019年)
サインホ・ナムチラック+内橋和久@八丁堀ハウル(2019年)
内橋和久+サーデット・テュルキョズ@Bar Isshee(2018年)
ユーラシアンオペラ東京2018(Incredible sound vision of Eurasia in Tokyo)@スーパーデラックス(2018年)
ロジャー・ターナー+広瀬淳二+内橋和久@公園通りクラシックス(2017年)
U9(高橋悠治+内橋和久)@新宿ピットイン(2017年)

●李俐錦
李俐錦+Miya+武田理沙@代々木上原Hako Gallery(2024年)
李俐錦+すずえり@Ftarri(2024年)


田中悠美子リサイタル2024・義太夫三味線の音響世界@晴れたら空に豆まいて

2024-12-08 08:32:59 | アヴァンギャルド・ジャズ

代官山の晴れたら空に豆まいて(2024/12/7)。

Yumiko Tanaka 田中悠美子 (義太夫三味線)
Guest:
Kazuhisa Uchihashi 内橋和久 (g, daxophone)
New Little One
Dairo Suga スガダイロー (p)
Tokutaro Hosoi 細井徳太郎 (g)
Shu Akimoto 秋元修 (ds)
DJ:
Kaede Adachi 安達楓

伝統から冒険まで充実のプログラム。

高橋悠治、藤倉大、一ノ瀬響の作品によるソロはそれぞれ曲想がおもしろく、特に終盤に雰囲気が変わってゆく藤倉作品に惹かれた。ファーストセットの最後は内橋和久さんとのデュオで、複数の登場人物による舞台を観ているようなダクソフォンと並び、別のキャラが立った登場人物として演技する悠美子さん。そのコントラストは静と動というよりも別次元の併存。即興のポケットに入るといつも悠美子さんは笑いながら演奏する。

休憩時間に安達楓さんの選曲はわけわかんなくておもしろいですね、なんて雑談をしていたら、突然齋藤徹さんの音が流れてきてびっくりした。

セカンドセットはNew Little Oneとのセロニアス・モンク集。意外にもモンクをまるで知らなかったという悠美子さんの世界観と、トリオのジャズの世界観とがまるでちがう。中国琵琶(ピパ)の閔小芬(ミン・シャオフェン)がモンクを弾きはじめたときにも驚いたものだけれど、そこにはモンクの音世界に勇気をもって入ってゆくすばらしさがあった。悠美子さんのそれは義太夫三味線のアイデンティティを保持しながらあらたな音世界を模索するすばらしさだ。<'Round Midnight>、<Evidence>、<Crepuscule with Nellie>、<Brilliant Corners>、最後に内橋さんが加わり<Jackie-ing>。とくに<Evidence>なんて最初から空中分解するのではないかと思わせつつ三味線とジャズとのギャップを平然と提示する。空中分解しないのはジャズのスピードや踏み込みによるギャップそのものの顕在化、それからギャップがあってもいいじゃないという悠美子さんのたたずまいによるところが大きい。複雑なパズルを全員で説いていくような<Brilliant Corners>もギャップの意図的な顕在化。悠美子さん、どこかで琉球音階使ったような・・・?

最後のソロにおいて、義太夫三味線の残響がつぎに開かれていることを示しているように思えた。

●田中悠美子
田中悠美子+閔小芬(ミン・シャオフェン)+カール・ストーン@水道橋Ftarri(2024年)
MIYA+田中悠美子@千駄木Bar Isshee(2024年)
ブライアン・アレン+田中悠美子+今西紅雪(JazzTokyo)(2023年)
ロジャー・ターナー+田中悠美子@東北沢OTOOTO(2023年)
Encounter To Engage - featuring Tatsu Aoki, from Chicago@渋谷Li-Po(2023年)
内橋和久+田中悠美子@千駄木Bar Isshee(2023年)
ブライアン・アレン+田中悠美子+今西紅雪@東北沢OTOOTO(2023年)
田中悠美子@Ftarri(2022年)
「ジョン・ラッセルを追悼する」@下北沢アレイホール(2022年)
藤山裕子+さがゆき+田中悠美子+山田邦喜@なってるハウス(2020年)
トム・ブランカート+ルイーズ・ジェンセン+今西紅雪+田中悠美子@本八幡cooljojo(JazzTokyo)(2019年)
齊藤僚太+ヨシュア・ヴァイツェル+田中悠美子@Ftarri(2018年)
角銅真実+横手ありさ、田中悠美子+清田裕美子、すずえり+大城真@Ftarri(2018年)

●内橋和久
アルタードステイツ@湯島Bar道(2024年)
I-I(内橋和久+山本達久+坂口光央)@代々木上原Hako Gallery(2024年)
内橋和久+謝明諺@千駄木Bar Isshee(2023年)
内橋和久+とうめいロボ@千駄木Bar Isshee(2023年)
天鼓+内橋和久「天ノ橋 地獄巡」@秋葉原Club Goodman(2023年)
内橋和久+カール・ストーン@千駄木Bar Isshee(2023年)
内橋和久+田中悠美子@千駄木Bar Isshee(2023年)
高瀬アキ+ダニエル・エルトマン+内橋和久+中山晃子『複数の時間』@ゲーテ・インスティトゥート東京(2022年)
内橋和久+広瀬淳二@千駄木Bar Isshee(2022年)
内橋和久+松丸契@千駄木Bar Isshee(2020年)
ロジャー・ターナー+喜多直毅+内橋和久@下北沢Apollo(2019年)
サインホ・ナムチラック+内橋和久@八丁堀ハウル(2019年)
内橋和久+サーデット・テュルキョズ@Bar Isshee(2018年)
ユーラシアンオペラ東京2018(Incredible sound vision of Eurasia in Tokyo)@スーパーデラックス(2018年)
ロジャー・ターナー+広瀬淳二+内橋和久@公園通りクラシックス(2017年)
U9(高橋悠治+内橋和久)@新宿ピットイン(2017年)

●スガダイロー
謝明諺&スガダイロー a new little one『Our Waning Love』(JazzTokyo)(2023年)
我楽@本八幡cooljojo(2021年)
スガダイロートリオ@荻窪ベルベットサン(2019年)
秘湯感@新宿ピットイン(2019年)
森山威男 NEW YEAR SPECIAL 2019 その2@新宿ピットイン
(2019年)
JazzTokyoのクリス・ピッツィオコス特集その2(2017年)
クリス・ピッツィオコス+吉田達也+広瀬淳二+JOJO広重+スガダイロー@秋葉原GOODMAN(2017年)
纐纈雅代『Band of Eden』(2015年)
秘宝感とblacksheep@新宿ピットイン(2012年)
『blacksheep 2』(2011年)
『秘宝感』(2010年)

●細井徳太郎
おひるね(細井徳太郎+梅井美咲+外山明)@公園通りクラシックス(2024年)
謝明諺&スガダイロー a new little one『Our Waning Love』(JazzTokyo)(2023年)
インプロヴァイザーの立脚地 vol.4 細井徳太郎(JazzTokyo)(2023年)
細井徳太郎+阿部真武@水道橋Ftarri(2022年)
吉田達也+神田綾子+細井徳太郎@公園通りクラシックス(2021年)
神田綾子+細井徳太郎+岡川怜央@水道橋Ftarri(JazzTokyo)(2021年)
有本羅人+類家心平+細井徳太郎+池澤龍作+レオナ@神保町試聴室(2021年)
Dance x Music Session Vol. 01(2020年)
坪口昌恭+細井徳太郎@下北沢No Room For Squares(2020年)
秘密基地『ぽつねん』(2019年)
細井徳太郎+松丸契@東北沢OTOOTO(2019年)
WaoiL@下北沢Apollo(2019年)
李世揚+瀬尾高志+細井徳太郎+レオナ@神保町試聴室(2019年)
細井徳太郎+君島大空@下北沢Apollo(2019年)
秘密基地@東北沢OTOOTO(2019年)
謝明諺+高橋佑成+細井徳太郎+瀬尾高志@下北沢Apollo(2019年)
WaoiL@下北沢Apollo(2019年)
ヨアヒム・バーデンホルスト+シセル・ヴェラ・ペテルセン+細井徳太郎@下北沢Apollo、+外山明+大上流一@不動前Permian(2019年)
合わせ鏡一枚 with 直江実樹@阿佐ヶ谷Yellow Vision(2019年)
SMTK@下北沢Apollo(2019年)
伊藤匠+細井徳太郎+栗田妙子@吉祥寺Lilt
(2018年)

●秋元修
謝明諺&スガダイロー a new little one『Our Waning Love』(JazzTokyo)(2023年)
瀬尾高志+広瀬淳二+高橋佑成+秋元修@神保町試聴室(2022年)


久保田晶子(薩摩琵琶)「那由多の月」@東京オペラシティリサイタルホール

2024-12-07 09:35:33 | アヴァンギャルド・ジャズ

東京オペラシティリサイタルホール(2024/12/6)。

愉悦の時間だった。武満徹作品での黒田鈴尊さんは活を入れる尺八で空間性を、また間宮芳生作品での松平敬さんの語りは生々しい情景を想像させてくれた。薩摩琵琶がこれほどまでに多様な貌をみせるのかと驚かされた藤倉大さんと向井響さんの現代性。それから山本和智さんの曲では薩摩琵琶、打楽器それぞれから想像しうる領域を互いの力によって拡げあっているよう。

オペラシティは巨大すぎて、いつも用事が終わるとさっと帰ってしまうのだけれど、昨日は近くにねこまどという小さくて親密なバーを見つけた。やっぱり良いカフェやバーがあるとその街と仲良くなれそうで。

●久保田晶子
特殊音樂祭@和光大学(JazzTokyo)(2019年)

●山本和智
現代音楽レクチャーシリーズ最終回「今日の音楽 作曲家 山本和智 自作を語る」@浦安市文化会館(2023年)
特殊音樂祭@和光大学(JazzTokyo)(2019年)


インプロヴァイザーの立脚地 vol.26 今西紅雪(JazzTokyo)

2024-12-01 11:01:53 | アヴァンギャルド・ジャズ

インプロヴァイザーの立脚地 vol.26 今西紅雪

●今西紅雪
山内桂+今西紅雪@東北沢OTOOTO(2024年)
ヨルダン・コストフの2023年冬のツアー(2023年)
山内桂+今西紅雪@不動前Permian(2023年)
「響む 其の六」@東北沢OTOOTO(2023年)
ブライアン・アレン+田中悠美子+今西紅雪(JazzTokyo)(2023年)
フェルナンド・カブサッキ+今西紅雪@神谷町光明寺(2023年)
Entropic Hop/日本ツアー・関東の陣(JazzTokyo)(2023年)
ブライアン・アレン+田中悠美子+今西紅雪@東北沢OTOOTO(2023年)
蓮根魂@なってるハウス(2022年)
障子の穴 vol.4@ZIMAGINE(2020年)
トム・ブランカート+ルイーズ・ジェンセン+今西紅雪+田中悠美子@本八幡cooljojo(JazzTokyo)(2019年)
今西紅雪+S.スワーミナータン@葛西レカ(2019年)
August Moon@浜町August Moon Cafe(2019年)
障子の穴 vol.2@ZIMAGINE(2019年)
今西紅雪「SOUND QUEST 2019 〜谺スル家〜」@千住仲町の家(2019年)
タリバム!+今西紅雪@本八幡cooljojo(JazzTokyo)(2019年)
ピーター・エヴァンス@Jazz Art せんがわ2018(JazzTokyo)(2018年) 


山口コーイチトリオ『アフレリ』(JazzTokyo)

2024-12-01 10:56:34 | アヴァンギャルド・ジャズ

#2357 『山口コーイチトリオ / アフレリ』

●山口コーイチ
渋さ知らズ fuwa works@入谷なってるハウス(2024年)
渋さ知らズ@なってるハウス(2023年)
渋さチビズ@なってるハウス(2023年)
川口義之+不破大輔+山口コーイチ+岡村太+高橋保行@なってるハウス(2022年)
不破ワークス@なってるハウス(2020年)
シワブキ@なってるハウス(2019年)
渋さチビズ@なってるハウス(2019年)
ヴァネッサ・ブレイ+山口コーイチ@サラヴァ東京(2018年)
川下直広カルテット@なってるハウス(2017年)
川下直広カルテット@なってるハウス(2016年)
AAS@なってるハウス(2016年)
山口コーイチ『愛しあうことだけはやめられない』(2009-10年)


李俐錦+Miya+武田理沙@代々木上原Hako Gallery

2024-11-30 09:06:54 | アヴァンギャルド・ジャズ

代々木上原のHako Gallery(2024/11/28)。

Li-Chin Li 李俐錦 (中国笙)
MIYA (Modular fl)
Risa Takeda 武田理沙 (synth)

李俐錦さんから「自分はloudだからエレクトロニクスと演りたい」との発言があり企画した。当日になり3人で相談し、ファーストセットはデュオふたつ(順番はMIYAさんと武田さんがじゃんけんで決めた)、セカンドセットはトリオによる即興。

武田さんとのデュオで感じたのは中国笙のデジタル感(日本の笙にもシンセのような感覚があるけれど)。ふたりとも何の前触れもなく「その音」にたどりつき続け、その驚きが持続する。MIYAさんとのデュオでは、MIYAさんの作り出すサウンドがまるでプラットフォームのようになり、その場を共有してふたりとも発言する感覚。発言が蓄積されていくうちに音の記憶が狂わされる。そしてトリオでは快楽のミクスチャー。

Fuji X-E2, 7Artisans 12mmF2.8, Leica Elmarit 90mmF2.8 (M)

●李俐錦
李俐錦+すずえり@Ftarri(2024年)

●MIYA
MIYA+芳垣安洋@千駄木Bar Isshee(2024年)
MIYA+竹下勇馬@千駄木Bar Isshee(2024年)
インプロヴァイザーの立脚地 vol.21 MIYA(JazzTokyo)(2024年)
謝明諺・2024年6月の日本ツアー(JazzTokyo)(2024年)
ことばと即興音楽の夕@月花舎・ハリ書房(2024年)
「月花舎 Miyaを語る」@神保町月花舎・ハリ書房(2024年)
MIYA+中村としまる@千駄木Bar Isshee(2024年)
そらの下、わらの家@公園通りクラシックス(2024年)
MIYA+田中悠美子@千駄木Bar Isshee(2024年)
松本泰子+庄﨑隆志+齋藤徹@横濱エアジン(『Sluggish Waltz - スロッギーのワルツ』DVD発売記念ライヴ)(2019年)

●武田理沙
謝明諺・2024年6月の日本ツアー(JazzTokyo)(2024年)
The Mad Laboratory of Anti Matter@代々木上原Hako Gallery(2024年)
インプロヴァイザーの立脚地 vol.17 武田理沙(JazzTokyo)(2024年)
武田理沙@大塚bar地底(2024年)
武田理沙@神田錦町Polaris(2024年)
謝明諺+武田理沙+T. 美川@渋谷Bar Subterraneans(JazzTokyo)(2023年)
高橋保行+潮田雄一+武田理沙@四谷三丁目CON TON TON VIVO(2023年)
武田理沙+アキオ・ジェイムス@公園通りクラシックス(2023年)
天鼓+内橋和久「天ノ橋 地獄巡」@秋葉原Club Goodman(2023年)
武田理沙+渡邉茜@本八幡cooljojo(2023年)
林栄一+武田理沙@公園通りクラシックス(2021年)
近藤直司+永田利樹+武田理沙@喫茶茶会記(2020年)
松本ちはや+武田理沙@なってるハウス(2020年)
mn+武田理沙@七針(2019年)
武田理沙『Pandora』
(2018年)


大前チズル+中島教秀『Avec マタタビ』(Jaz.in)

2024-11-28 10:58:17 | アヴァンギャルド・ジャズ

『Jaz.in』vol.14(2025年1月号)に、大前チズルさん、中島教秀さんによる『Avec マタタビ』のレビューを寄稿しました。大阪で念願の大前さんを観たばかり、いやカッコいいです。ご一読ください。マタタビ効果あり〼。

●大前チズル
自由部活女子 — 大前チズル+吉田野乃子@大阪Studio T-Bone(2024年)
大前チズル『Royal Folks』(2017-18年)


『エレクトリック・シナプス!』(Jaz.in)

2024-11-28 10:54:45 | アヴァンギャルド・ジャズ

『Jaz.in』vol.14(2025年1月号)に、『エレクトリック・シナプス!』(地底レコード)を出したばかりの加藤崇之さんへのインタビュー記事を寄稿しました。話も、もちろんサウンドもめちゃおもしろいです。ぜひご一読ください。

加藤崇之 g、さがゆき vo,g、佐藤研二 b、藤掛正隆 ds、松井智恵美 映像、寺部孝規 音響、 kagari dance

●加藤崇之
インプロヴァイザーの立脚地 vol.24 加藤崇之(JazzTokyo)(2024年)
加藤崇之+神田綾子@東中野セロニアス(2024年)
zekatsumaカルテット@新宿ピットイン(2023年)
松風鉱一カルテット+石田幹雄@新宿ピットイン(2022年)
吉田達也+加藤崇之+神田綾子@公園通りクラシックス(2022年)
松風鉱一@西荻窪clop clop(2021年)
エレクトリック渦@阿佐ヶ谷Yellow Vision(2021年)
神田綾子+加藤崇之@下北沢No Room for Squares(2021年)
松風鉱一@本八幡cooljojo(2021年)
神田綾子+加藤崇之@下北沢No Room for Squares(2021年)
松風鉱一カルテット+石田幹雄@新宿ピットイン(2020年)
夢Duo年末スペシャル@なってるハウス(2019年)
松風鉱一カルテット+石田幹雄@新宿ピットイン(2019年)
加藤崇之『森の声』(2019年)
加藤崇之+不破大輔+藤掛正隆+元晴@荻窪ルースターノースサイド(2019年)
夢Duo@本八幡cooljojo(2019年)
松風鉱一カルテット+石田幹雄@新宿ピットイン(2019年)
松風鉱一カルテット+石田幹雄@新宿ピットイン(2018年その2)
松風鉱一カルテット@西荻窪Clop Clop(2018年)
松風鉱一カルテット+石田幹雄@新宿ピットイン
(2018年その1)
夢Duo『蝉時雨 Chorus of cicadas』(2017-18年)
松風鉱一カルテット+石田幹雄@新宿ピットイン(2016年)
松風鉱一@十条カフェスペース101(2016年)
松風鉱一カルテット+石田幹雄@新宿ピットイン(2015年)
松風鉱一カルテット@新宿ピットイン(2012年)
松風鉱一カルテット、ズミクロン50mm/f2(2007年)
フェダイン『ファースト』『ジョイント』(JazzTokyo)(1990~1993年)
加藤崇之トリオ『ギター・ミュージック』の裏焼き(1989年)

●さがゆき
藤山裕子+さがゆき+田中悠美子+山田邦喜@なってるハウス(2020年)
さがゆき+高田ひろ子@本八幡cooljojo(2020年)
さがゆき+登敬三@日暮里Porto(2020年)
Fado-mo-two@in F(2020年)
さがゆき+高田ひろ子@中野Sweet Rain(2019年)
広瀬淳二+さがゆき@なってるハウス(2019年)
さがゆき+高田ひろ子@川崎ぴあにしも(2018年)
さがゆき+アニル・エラスラン『Shadows』(2018年)
ファドも計画@in F
(2018年)


李俐錦+すずえり@Ftarri

2024-11-27 07:37:18 | アヴァンギャルド・ジャズ

水道橋のFtarri(2024/11/25)。

Li-Chin Li 李俐錦 (中国笙)
Suzueri すずえり (p, org, electronics, etc.)

なにしろ李俐錦さんの中国笙が多様で迫力もありすばらしい。雅楽の笙とはずいぶん異なり、音域が驚くほど幅広く、エヴァン・パーカーを思わせるマルチフォニックもみせる。共鳴管が多数あるためタッピングも逆からの息の吹き込みもまた多様。

すずえりさんは李さんの呼応を期待したうえで音風景を作り出す。ピアノはピアノらしい響きと奇妙なプリペアド、オルガンによるドローン、光の明滅に反応させるエレクトロニクス、セロファンテープのマテリアル性に依拠した仕掛け。それらに時間の要素を重ね、ふたりの場を擾乱してみせるのはみごと。

Fuji X-E2, 7Artisans 12mmF2.8, Leica Elmarit 90mmF2.8 (M)

●すずえり
開封の儀 すずえり渡米報告会@神保町ハリ書房・月花舎(2024年)
インプロヴァイザーの立脚地 vol.13 すずえり(JazzTokyo)(2023年)
すずえり+中村としまる@水道橋Ftarri(2023年)
「ジョン・ラッセルを追悼する」@下北沢アレイホール(2022年)
秋山徹次+すずえり@水道橋Ftarri(2020年)
エレクトロニクスとヴィオラ、ピアノの夕べ@Ftarri(2019年)
すずえり@Ftarri(2019年)
すずえり+大城真『Duo』(2018年)
ジョン・ラッセル、ストーレ・リアヴィーク・ソルベルグ、すずえり、大上流一、石川高、山崎阿弥@Ftarri(2018年)
角銅真実+横手ありさ、田中悠美子+清田裕美子、すずえり+大城真@Ftarri(2018年)
フタリのさとがえり@Ftarri(2018年)
Zhao Cong、すずえり、滝沢朋恵@Ftarri(2018年)
ファビオ・ペルレッタ+ロレンツォ・バローニ+秋山徹次+すずえり@Ftarri(2017年)
すずえり、フィオナ・リー『Ftarri de Solos』(2017年)


安田芙充央『SORA』

2024-11-22 07:52:37 | アヴァンギャルド・ジャズ

安田芙充央『SORA』(Pourquoi、2024年)

Fumio Yasuda 安田芙充央 (p, melodica, key, perc, etc.)
Joachim Badenhorst (vo, voice, cl, bcl)
Akimuse (vo)
Nobuyoshi Ino 井野信義 (b)
Dogen Kinowaki 木ノ脇道元 (fl, alto fl)
Takako Hagiwara 萩原貴子 (fl)
Asian Art Strings (strings)

このアルバムにはいくつかの異なる貌があり、それらが自然に併存し、ときに介入しあっている。

ジャズの貌。かつて安田文夫時代に高柳昌行のアングリーウェイブスに参加したこともあるピアニストだということを意識することはあまりない。もとより高柳がアルバート・アイラーをコンセプトとして結成したバンドでもあり、サウンドの方向性は現在の安田芙充央のそれとは異なる。だが、井野信義の代わりに参加して1983年に吹き込んだ『dislocation』を聴くと、不思議に安田芙充央という一貫した存在が浮かび上がってくる。本盤ではその井野とヨアヒム・バーデンホルストとのトリオで演奏している。井野のコントラバスはつねに音を出すか出さぬかの領域を感じさせるもので、それを言い換えるならセクシー。ヨアヒムもまた自分自身の音をことさらに押し出すことがないが、それゆえに個性が際立つという稀有な人である。そして三者によるサウンドはジャズであろうとなんであろうと変わらない。

思い出すのは最晩年のミケランジェロ・アントニオーニがヴィム・ヴェンダースと組んで撮った映画『愛のめぐりあい』だ。男は女の身体を触るか触らぬかという過程をもって愛を伝え去っていく。重ねられる声は「狂気か」。

フルートアンサンブルの貌には楽理が受け手の感覚とマッチすることの悦びがあり、対照的に、ストリングスの貌にはいきなり楔のように異物が入ってくる悦びがある。<Bloody>なんて終盤にストリングスが別角度から光を当て、その反射光がさまざまな色をみせる。なんという確信犯ぶりだろう。

そしてAkimuseのヴォイスという貌。大きな音風景をさらに包み込むような感覚も、並行世界のどこからか聞こえてくるような感覚もある。<Intolerance>におけるポリフォニーたるや安田とふたりとは思えない遍在性がある。言語として伝達する明確な意味をもたない声であるにもかかわらず、彼女はなにを言わんとしているのだろうと耳をそばだててしまう。<Lost Era>に至り、ヨアヒムのバスクラとストリングスの擾乱という雲の切れ間から差してくるAkimuseという光も、そのドラマを見届けよといわんばかりのピアノもすばらしい。

どうも聴く者は安田芙充央という魔術師に幻惑されているようで、またなにが起きたのかをたしかめようとして最初からアルバムを聴くことになる。

(文中敬称略)

●安田芙充央
安田芙充央+水谷浩章@横濱エアジン(2024年)
ヨアヒム・バーデンホルスト+井野信義+安田芙充央@稲毛Candy(2023年)
TRY ANGLE/安田芙充央+井野信義+山崎比呂志@なってるハウス(2022年)
ヨアヒム・バーデンホルスト+安田芙充央+井野信義@稲毛Candy(2020年)
Poem of a Cell Sound / Film Installation & Concert in Tokyo@ドイツ文化センター(2018年)
安田芙充央『Erik Satie / Musique D'Entracte』(2016年)
安田芙充央『Forest』(2015-16年)