Sightsong

自縄自縛日記

幽けき刻@公園通りクラシックス

2022-04-17 23:14:23 | アヴァンギャルド・ジャズ

渋谷の公園通りクラシックス(2022/4/17)。

Kanon Aonami 蒼波花音 (as)
Fumi Endo 遠藤ふみ (p)
Toru Nishijima 西嶋徹 (b)

音の発生と減衰にここまで意識を持っていかれる音楽はそうはない。それだけにひとつの楽器の和音、ふたつの楽器の和音が提示されたときの快感といったらない。それが不協和音やずれによって崩されてゆくのもまた快感。

静寂と静寂のあわいに浮かびあがる音のちがいもまたいい。コントラバスやピアノという大きな楽器は幽かな音も安定し、小さなアルトサックスの小さな音は慣性をもたないために震える。その震えが場に伝わり、場の全体が呼吸するように感じられた。

最後は武満徹の「小さな空」だったか。

Fuji X-E2, Leica Elmarit 90mmF2.8, 7Artisans 12mmF2.8

●西嶋徹
喜多直毅+照内央晴+西嶋徹@成城Cafe Beulmans(2022年)
神田綾子+大澤香織+西嶋徹@大泉学園インエフ(2022年)
北田学+西嶋徹+神田綾子@渋谷Bar subterraneans(2021年)
喜多直毅+元井美智子+西嶋徹@本八幡cooljojo(2020年)
喜多直毅+西嶋徹『L’Esprit de l’Enka』(JazzTokyo)(-2019年)
宅Shoomy朱美+北田学+鈴木ちほ+喜多直毅+西嶋徹@なってるハウス(2019年)
喜多直毅・西嶋徹デュオ@代々木・松本弦楽器(2017年)

●遠藤ふみ
神田綾子+矢部優子+遠藤ふみ@大泉学園インエフ(2021年)
遠藤ふみ『Live at Ftarri, March 8, April 11 and June 27, 2021』(JazzTokyo)(2021年)
青木タイセイ+遠藤ふみ+則武諒@関内・上町63(2021年)
徳永将豪+遠藤ふみ@Ftarri(その3)(2021年)
かみむら泰一+古和靖章+遠藤ふみ+阿部真武@神保町試聴室(2021年)
徳永将豪+遠藤ふみ@Ftarri(その2)(2021年)
本藤美咲+遠藤ふみ@Ftarri(2021年)
徳永将豪+遠藤ふみ@Ftarri(2021年)
池田陽子+遠藤ふみ@Ftarri(2021年)


ROW project@阿佐ヶ谷Yellow Vision

2022-04-17 09:00:16 | アヴァンギャルド・ジャズ

阿佐ヶ谷のYellow Vision(2022/4/16)。

Homei Yanagawa 柳川芳命 (as)
Yasuhiro Usui 臼井康浩 (g)
Reiko Nonoyama 野々山玲子 (ds)
Miki Naoe 直江実樹 (radio)

ROW projectとは、コロナ禍で集まれないことを奇貨として、ミュージシャンがリレー式に音を重ねてゆくコンセプトだった。同タイトルのCDもそのように作られたものであって、メンバー間には試行に伴うラグや思索が介在しているように感じられた。

そしてようやくバンドとして演奏をはじめているわけだけれど、プロジェクトの特性は依然として残っているようで、それがおもしろいことにちがいない。

臼井さんはギターの弦にも裏側にも権力差を作らずアプローチする(楽器全体をマテリアルとして扱うという点ではドイツの二コラ・ハインにも共通するが、より三次元的だ)。これが巣箱から次々に蜜蜂を飛び立たせているようなサウンドを生み出す。それに呼応して(ROW project的に)、柳川さんのサックスが無数の蜜蜂へと変貌したようで唸ってしまった。野々山さんのドラムスは垂直型というのか、しかし熱気の高まりとともにロジカルなアプローチを敢えて壊す野蛮さがあった。

後半で参加する直江さんが、演奏前に「前とは方法論を変えた」といったようなことを呟いていた。それが何か本人に確かめずに帰ったのだけれど、ひょっとすると、偶然性を活用するラジオの音をアンビエントに使うばかりではなく、そこからの抽出と放出を意味したのかもしれない。そうなると強度の高い三者に拮抗するおもしろさがあって、やがてアンビエントな方へとシフトすると、柳川さんはやはり呼応して連続的でブルージーな吹き方へとふたたび変貌した。

Fuji X-E2、7Artisans 12mmF2.8、Pentax 77mmF1.8

●柳川芳命
柳川芳命+富松慎吾+マツダカズヒコ+松原臨@京都Annie's Cafe(2021年)
柳川芳命+照内央晴+神田綾子@なってるハウス(2021年)
昼間から即興肴に戯れる会@武蔵境810 Outfit Cafe(2021年)
My Pick 2020(JazzTokyo)(2020年)
『Interactive Reflex』(JazzTokyo)(2019-20年)
日本天狗党、After It's Gone、隣人@近江八幡・酒游館(2019年)
柳川芳命+Meg Mazaki『Heal Roughly Alive』(2018年)
柳川芳命+Meg『Hyper Fuetaico Live 2017』(JazzTokyo)
(2017年)
Sono oto dokokara kuruno?@阿佐ヶ谷Yellow Vision(2017年)
柳川芳命『YANAGAWA HOMEI 2016』(2016年)
柳川芳命+ヒゴヒロシ+大門力也+坂井啓伸@七針(2015年)
柳川芳命『邪神不死』(1996-97年)
柳川芳命『地と図 '91』(1991年)

●直江実樹
神保町サウンドサーカス(直江実樹+照内央晴、sawada)@神保町試聴室(2020年)
特殊音樂祭@和光大学(JazzTokyo)(2019年)
合わせ鏡一枚 with 直江実樹@阿佐ヶ谷Yellow Vision(2019年)
フローリアン・ヴァルター+直江実樹+橋本孝之+川島誠@東北沢OTOOTO
(2018年)