リー・コニッツ+ケニー・ホイーラー『Olden Times - Live at Birdland Neuburg』(Double Moon Records、1999年)を聴く。
Lee Konitz (as)
Kenny Wheeler (tp, flh)
Frank Wunsch (p)
Gunnar Plümer (b)
ディスクユニオンの解説にあった通り、ライナーノーツには、2016年2月にリー・コニッツが当時のことを思い出し、「わたしは数千の録音に参加したけれど、あれがわたしの人生で真のベストだ」と語ったのだと書かれている。「あれ」とは、『Angel Song』(1996年)のことである。
本盤が録音される3年ほど前の吹き込みで、やはりケニー・ホイーラーと、そしてデイヴ・ホランド、ビル・フリゼールと共演した作品である。どこまでコニッツがマジメに語ったのかはわからないけれど、雰囲気も熟度も、コニッツのプレイも確かに素晴らしいものだ。わたしもそれが出たすぐ後(たぶん1997年頃)に、新宿の旧DUGでケイコ・リーと共演したコニッツにサインを貰おうと盤を見せたところ、随分喜んで、「コレ良いだろう!」と勢いよく話してくれた。
99年の『Olden Times』は、ホイーラーの他の共演者は、現地ドイツのヴェテランふたり。プレイは堅実にして、突出した個性を発揮しているわけでもなく、言ってみれば「なんということもない」。しかし、そのことが非常にリラックスした雰囲気を生んでいるように聴こえる。『Angel Song』と共通する曲「Kind Folk」も「Onmo」もそうである(両方ともホイーラーのオリジナル)。
コニッツのアルトは程よくエアを含んでいて、まったく気負うことのない演奏のようだ。そしてホイーラーのトランペットとフリューゲルホーンは、雲の切れ目から光が差してくるような、あるいは雨のあとのひやりとした空気のような、実に爽やかなもので、この人にしか出せない音であったに違いない。
録音もとても良い。特筆すべき名盤の類ではないかもしれないが、これはもうひとつの『Angel Song』かもしれない。
●リー・コニッツ
今井和雄トリオ@なってるハウス、徹の部屋@ポレポレ坐(リー・コニッツ『無伴奏ライヴ・イン・ヨコハマ』、1999年)
ケニー・ホイーラー+リー・コニッツ+デイヴ・ホランド+ビル・フリゼール『Angel Song』(1996年)
リー・コニッツ+ルディ・マハール『俳句』(1995年)
アルバート・マンゲルスドルフ『A Jazz Tune I Hope』、リー・コニッツとの『Art of the Duo』 (1978、83年)
アート・ファーマー+リー・コニッツ『Live in Genoa 1981』(1981年)
ギル・エヴァンス+リー・コニッツ『Heroes & Anti-Heroes』(1980年)
リー・コニッツ『Spirits』(1971年)
リー・コニッツ『Jazz at Storyville』、『In Harvard Square』(1954、55年)
●ケニー・ホイーラー
ケニー・ホイーラー『One of Many』(2006年)
ケニー・ホイーラー+リー・コニッツ+デイヴ・ホランド+ビル・フリゼール『Angel Song』(1996年)
『A Tribute to Bill Evans』(1991年)
ジョン・サーマン『Flashpoint: NDR Jazz Workshop - April '69』(1969年)