長く埋もれていたDVD、このたびやっと見ました。実にじわっと来る秀作でした。父親が75歳でカミングアウト、というのが通常からは衝撃の事実なんですが、それ以降彼は人生を取り戻したかのように楽しんでる、、。
何か、すっきりしないんだよね。主人公の息子と同じように、それじゃあ、あの云十年の結婚生活は何だったの?結婚生活で生まれ出た息子は一体全体何だったの?母親の気持ちは一体どうだったんだろう、とか疑念が僕の脳裏を渦巻いている。
それは息子も全く同じで、彼は少年時代の母親と父親をうっすら思い出す。どう考えても幸せとはいえない母親だけれどそれなりに家庭を切り盛りしている。でも気持を持たせることができず不安定な行動に出ることが多い。
そんな家庭に育った息子は今でも恋人さえしっかりとつなぎとめることができないでいる。好きなんだけれど別れが怖いからその前に別れてしまう、、。現代のアメリカ人にもこういう繊細な人がいるんだとちょっと僕は驚いたけれど、この映画はそんな微妙なタッチを2時間の映像にしている。
この映画は映像で描いた私小説の雰囲気を持っているなあ。カミングアウトがどうってことないなんて思えてしまう僕ではないが、それでも父親や母親にあれほど深く影響を受けてしまう子供という存在にも実は僕は驚いてしまう。
自分は自分、と両親のことをあまり考えないまま生きてきた僕にとっては彼の繊細さはあまりに文学的だ。優しすぎる。人間を見る目が柔らかすぎる。きっといいひとなんだろうなあ、と思う。
でも、いけないんだけれど、やはりカミングアウト後の父親の行動は名優クリストファー・プラマーが演じていても少々キモい。彼の恋人のゴラン・ヴィスニッチもちょっとデブ目で怖い。
映画では、ゲイは精神病で治るのだ、と。母親も私の力で治して見せると言って結婚したのだ、と。ということは父親は少なくとも母親には結婚以前にカミングアウトしていたことになる。やはり時代性も感じてしまうね。
ラストのエンドクレジットに通常のENDはない。その代わりにBEGINNERSという文字が。なかなか粋な映画だね。秀作です。
ユアン・マクレガーはこの所 本当に多種な役に挑戦し続けてますね。
鮮烈なデビューから やや頭でっかち気味で中だるみした時代もありましたが 時々ハズレはあるものの(笑) いつの間にか 私的には 残像の残る役者さんになりました。
本作は なかなか良かったですよね。(2012 8月映画memo)
ガラスのような男の人は 実在したら きっと近づかないですが 脳が筋肉のような人よりはずっと 愛すべきキャラクターです。(笑)
いい人です。色んな意味で。近づかないけど。
セントさんのレビューで 面白そうな作品をメモってレンタル店に行ったりしています。
ロードショーで見る機会が残念ながら少なくて・・セントさんとはタイムラグがありますが 映画の話ができるってのは幸せであります。
若輩ものが何を言うかと怒られそうですが 優しいお人柄、時にロマンチックなレビュー・・今年も楽しみにしております。
ブログに行ってまいりました。結構好みが似ているようでわたくしとしてはうれしいです。
特に昨年のベスト「サラの鍵」「ヒミズ」なんて、最高ですネ。前年の「海炭市叙景」も、、。
ユアン・マクレガーも40近くになっているんですね。いい俳優も中年になっています。最近は若い俳優が伸びていない気もします。その中ではジョゼフ・ゴードン=レヴィットはいわゆる甘いスターではないけれどうまい役者です。
女性では最近見た「アルバート氏の人生」でもひときわ光っていたミア・ワシコウスカがいいですね。「永遠の僕たち」のすがすがしさが忘れられません。
やはり映画って俳優の要素が大きいですよ、ね。
それでは、また。
役者の好みも 結構似ていて驚きました。
たくさんの作品を観ておられるセントさん・・きっとベテラン俳優も多くご存知でしょうが 瑞々しさ・・という意味ではこの2人がダントツだと私も感じておりました。
ジョセフ・ゴードン・レヴィットは「リバー・・」ではヤングノーマン役だったんですね。印象的には500日のサマーのごく普通の青年が 良かった。惚れましたが(笑)メタルヘッドでは彼の普通っぽさが打ち消され この人上手い!と思いました。
ミア・ワシコウスは「アリス・・」の下手なのに存在感がある俳優という印象から 「永遠の・・」「ジェーン・エア」での上手くなりっぷりに驚きました!
鮮度を保つというのは 巧みさと反する位置にある印象ですが この瑞々しさ・・貴重ですね。
ずうずうしく 嬉しくてつい出てきてしまいました。(笑)
レスは結構ですので。(汗)