それでなくとも狭いウィングフィールドに満員の観客。梅雨明けの大阪。空調は不調気味。出し物は17年前ほどの再演でホンは全く変えていないと言う代物。
人を13人殺害した男の物語である。人と言っても女性ばかり狙う異常者である。どれだけ陰険で醜悪なハナシだろうと思うだろう。ところがそれが演劇に化けると一人の男の哀しい人生を漂わせるのだから、演劇は不思議である。魔法である。
冒頭、新聞売込みの青年が2部とってくれとすごむ。1部でいいわというと、好きなら2部とってくれ、と、、。当時流行った不条理劇の始まりである。
時代はずいぶん変わり、過ぎ去っても、しかしこの脚本は当時のままだ。大量殺人者と一井の我々がそれほど変わらない人間に見えてくるから面白い。怖い。これぞ演劇の成せる業である。
秀作である。彼らの思いが、熱く全員の観客に伝わってくる。まさにウイングフィールドは溶鉱炉のような雰囲気であった。
帰りにスタッフの出してくれた冷たいお茶がとてもうれしい。
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