もう完全に嵌ってしまっている空晴の新作。今回は長年連れ添っていた平本光司の引退公演でもある。
この劇団の小道具にはいつも段ボール箱がある。あまり人の来ない所、そして隠れるところのある空間、それが岡部の考える観客との接点でもある。要するに観客からは秘密が丸見えの場所が舞台の中心なのである。そして観客は作者岡部とともに堂々と覗き見を実行することになる。
今回のゲスト鴨鈴女の達者な大阪弁とそのセリフの抑揚感がこの舞台の見どころでもある。ましてや中盤で妹役の岡部と、それはものすごいセリフの応酬をする。この舞台の一番引き締まり、また一番質の高い部分。他の役者は固唾を飲んで見守るしかない。
ラスト近く何か変だなあと浮いていたような役柄の工務店社員が平本の将来を暗示する役柄だと気付く。33歳の役柄で15年目でやっと父親の跡を継ぐという。平本も僕も平成10年ほどから見て来ているから14,5年だ。岡部の優しい平本へのまなざしを感じ劇はいつものように泣き笑いで終わる。
拍手に迎えられ観客への最後に舞台を終うのは平本であった。新たな人生に幸あれ。小演劇を見ているといつかは起こり得る人生のドラマでもある。
新しい劇団員も増えてきた。さあ、空晴はどこへ向かおうとしているのだろうか、、。
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