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イースタン・プロミス (2007/英=カナダ=米)(デヴィッド・クローネンバーグ) 80点

2008-06-26 13:28:29 | 映画遍歴
エンターテイメント映画なんですが、緊密な映像と共に濃淡のある色彩、俳優陣の力演、歯切れの良い演出で完璧な出来のクライム映画となっている。

ファーストシーンの散髪屋での残酷シーンなど、本当に目を背けるシーンがグロく、これがまたこの映画の格調を高めているのも事実。不思議な映画なんです。

ハナシはいたってシンプルなロシアマフィアものなんだけど、これがロンドンの陰湿な雰囲気に合うんだなあ。通常のイタリア系のマフィアでないところが、結構おどろおどろしていて面白い。

何たってヴィゴー・モーテンセンのダンディさがこの映画の売りの部分だが、立ち姿が素晴らしくかっこよく魅かれる。彼のほとんど独り舞台だが、珍しく弱さを表したヴァンサン・カッセル 、存在の不条理まで感じる不気味なアーミン・ミューラー・スタール等等脇役陣も素晴らしい布陣。

ただ敢えて言わせてもらえれば、ナオミ・ワッツがあそこまで首を突っ込む動機付けが弱いことと(一応主役なので引っかかります)、これ見よがしの最初の少女の手記もそれほどのものでもないのではないか、と思われるが、クライム映画としては傑出した出来なので、そんなこともどうでも良くなります。

クローネンバーグ、前作からいよいよ快調ですね。例の全裸サウナの格闘シーンは映画史上でも、最も緊迫したアクションシーンではないか、と思われます。無防備での格闘シーンは通常のアクションとはさすが一線を引く迫力があります。それは、自分に身を置き始める主観が急に入り込むからでしょう、、。(ただ、全裸格闘といえば、007カジノ・ロワイヤルのダニエル・クレイグもそんなシーンがあったような気もしますが、これほどの迫力ではなかったです。)

ヒューマン映画のような心に残る映画ではないもののエンターテイメント映画でこれほど余韻の残る映画は珍しい。秀作たる所以でしょう、、。

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