夫婦の話である。映画にも小説にも巷に溢れるほど描かれた夫婦の話である。世間的には定職を持たず、女の尻ばかり気になる亭主である。勿論、結婚式など挙げず、同棲状態から結婚に突入したような、まあどこにでもいそうな夫婦である。
だらしない夫ときちんとした妻の平凡な夫婦にも子供が授かり、はっきり見えないけれども希望というものを二人は持つようになっている。ここまではありきたりのハナシである。しかし、子供が幼くして死んでから、妻は立ち直れなくなっている。義務的に計画していたセックスも途絶えてしまっている。そのうちまた妊娠したが、夫に内緒で堕胎してしまう。とことん疲れているんだろうが、妻の方はジコチューでもある。
でもここからが夫婦の本当の戦いが始まる。妻は欝で病院通いだ。さて、夫婦は問題を解決して行くか、、。
夫は父親に自殺されている。捨てられた意識が強い。ただ目の前の現実を突きつけられ父親という役柄を放り投げた親。父親は逃げたのだ。
だから、夫は家族を大切にしたいと願っている。妻を好きだからこそ、妻に寄り添う。妻の代わりに食事を作るときもある。風呂にも一緒に入り、小言を聞いてやる。優しい男である。妻の言うこと一つ一つを受け止めている。男でも女でもそうだが相手の言っていることを聞き流す態度が一番性悪である。(俄然世間一般の夫はこの手が多い。実は何を隠そう僕もそうなのだが、、。)
夫はすべて受け止める。これほどの強い、尊い愛があろうか、、。
欝って、最近とても多くなった。昔はノイローゼなんて言って違う病気にされていたのかな? 身の周りにもとても多い。多少時間はかかるが直る病気であるらしい。ただ、周囲(ぐるり)の理解がないとなかなか回復しないらしい。そんな感覚がこの映画によく出ていたなあ、、。
一方、法廷画家なんてあまり一般的でない仕事をするようになった夫を通して、お受験殺人事件、サリン事件、小学校生徒殺害事件等現代の病理が映像で表わされる。見たくない、聞きたくないものを絵で表現しなくてはならない夫はペイの良さと引き換えに何かを犠牲にしていくというか傷付いていく自分を感じる。
内側の世界と外側の世界との関係性は人間が生きていくうえでは完全に隔絶出来るものではない。病理は瞬時に内部にも入り込み、退治出来ないものもあるかもしれない。むしろがんの病巣のように増殖するものもあるのだろう。でも、一人が二人となって行動すると強くなれるのだ。
それは愛の力というよりむしろ人間としての生きる無償の愛の力というべきか、寄り添うことの愛の確かさというべきか、何かうまく表現出来ないけれども、人間ひとりでは生きることはできないのだから、せめてぐるりの人と寄り添って生きることは素敵なことなんだよ、と言っているようです。
この映画、結婚生活をただ続けている人に是非見てもらいたい映画ですね。でも、橋口亮輔、まるっきり素材が変わってしまい驚きました。今まではやさしい映画でしたが、この映画にはそれにプラスして強さがあります。その成功にはリリー・フランキーの朴とつで茫洋な演技がかなり重心を占めていると思います。ひょっとしたら、夫婦の二人の長廻しのシーン、細部のところはアドリブ的なものでやったのではないだろうか、。それほどホント通常の夫婦の会話のようで超リアルでした(ドキっとしたことを告白します)。
本年屈指の作品であることは間違いないですね。秀作であり、傑作です。
だらしない夫ときちんとした妻の平凡な夫婦にも子供が授かり、はっきり見えないけれども希望というものを二人は持つようになっている。ここまではありきたりのハナシである。しかし、子供が幼くして死んでから、妻は立ち直れなくなっている。義務的に計画していたセックスも途絶えてしまっている。そのうちまた妊娠したが、夫に内緒で堕胎してしまう。とことん疲れているんだろうが、妻の方はジコチューでもある。
でもここからが夫婦の本当の戦いが始まる。妻は欝で病院通いだ。さて、夫婦は問題を解決して行くか、、。
夫は父親に自殺されている。捨てられた意識が強い。ただ目の前の現実を突きつけられ父親という役柄を放り投げた親。父親は逃げたのだ。
だから、夫は家族を大切にしたいと願っている。妻を好きだからこそ、妻に寄り添う。妻の代わりに食事を作るときもある。風呂にも一緒に入り、小言を聞いてやる。優しい男である。妻の言うこと一つ一つを受け止めている。男でも女でもそうだが相手の言っていることを聞き流す態度が一番性悪である。(俄然世間一般の夫はこの手が多い。実は何を隠そう僕もそうなのだが、、。)
夫はすべて受け止める。これほどの強い、尊い愛があろうか、、。
欝って、最近とても多くなった。昔はノイローゼなんて言って違う病気にされていたのかな? 身の周りにもとても多い。多少時間はかかるが直る病気であるらしい。ただ、周囲(ぐるり)の理解がないとなかなか回復しないらしい。そんな感覚がこの映画によく出ていたなあ、、。
一方、法廷画家なんてあまり一般的でない仕事をするようになった夫を通して、お受験殺人事件、サリン事件、小学校生徒殺害事件等現代の病理が映像で表わされる。見たくない、聞きたくないものを絵で表現しなくてはならない夫はペイの良さと引き換えに何かを犠牲にしていくというか傷付いていく自分を感じる。
内側の世界と外側の世界との関係性は人間が生きていくうえでは完全に隔絶出来るものではない。病理は瞬時に内部にも入り込み、退治出来ないものもあるかもしれない。むしろがんの病巣のように増殖するものもあるのだろう。でも、一人が二人となって行動すると強くなれるのだ。
それは愛の力というよりむしろ人間としての生きる無償の愛の力というべきか、寄り添うことの愛の確かさというべきか、何かうまく表現出来ないけれども、人間ひとりでは生きることはできないのだから、せめてぐるりの人と寄り添って生きることは素敵なことなんだよ、と言っているようです。
この映画、結婚生活をただ続けている人に是非見てもらいたい映画ですね。でも、橋口亮輔、まるっきり素材が変わってしまい驚きました。今まではやさしい映画でしたが、この映画にはそれにプラスして強さがあります。その成功にはリリー・フランキーの朴とつで茫洋な演技がかなり重心を占めていると思います。ひょっとしたら、夫婦の二人の長廻しのシーン、細部のところはアドリブ的なものでやったのではないだろうか、。それほどホント通常の夫婦の会話のようで超リアルでした(ドキっとしたことを告白します)。
本年屈指の作品であることは間違いないですね。秀作であり、傑作です。
ヌートリアさんがこの映画を高く評価されていらっしゃる事に驚き、反面とても嬉しく感じました。
この映画は実をいうとあまり期待をしていなかったのですが、
かなり引き込まれました。
女性からすると『羨ましい』のです。
ああいう励まし方がいちばんこころに響くのです。
もしも鬱になってしまった場合、あのように寄り添ってくれる人が側にいたらかなり救われるでしょうね。
リリーさんのの~んびりした風貌が良かったのかしら?
うんうん、そうに違いない。
ほろ酔い加減でカキコミしています。
この男には驚きました。
今、一番望まれているのはこういう男なのでしょう。でも、こういう女(全てを受けてくれる人)が妻であってほしい、と思うのも素直な気持ちです。
ある意味、キリストのような人ですね。
それだけ現代人は救いを求めている人間だらけということなのでしょうか、、。
では、また。