冒頭で43人という史上まれな大量殺人の裁判光景が描写される。確かにものすごい人数である。どんな殺人鬼のハナシか興味深々となるが、聖書と共に介護問題がクローズアップされるのだ。
終盤になりちょっとしたトリックがかけられており、真犯人が解った時にはあっと驚かせるが、作者はそれよりもっと大きな原罪そのものを強く表現したかったのだろう。
今問題になっている裁判者制度において民間人の裁き行為、特に死刑については、やはり裁判員は懊悩させられている。この本に出て来る検事と同様、死刑を求刑することは殺人と同じなのか。重い命題である。
介護制度そのものと、日本の将来を考えるにいろいろ問題を投げかけるミステリーであった。新人でこれだけの力量はたいしたものだと思う。次作も期待したい。
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