あの紅テント、唐十郎がメラメラ光っていた状況劇場、過ぎ去りしわが青春の時、それが現代の大阪に舞い戻る。
午後2時から整理券配布、開演は午後7時。2時を少々遅れて受付に行く。整理番号は82番。なんと、、。それからは5時間近くを近く(天満橋)で過ごす。午後6時過ぎに会場近くに寄ると、いるわいるわ、大阪にも真の演劇好きがこんなにいたのか、と思われるぐらい老若男女が溢れ、群れている。
受付を見るとごひいきの劇団「空晴」の制作担当の岡本さんが忙しそうにしていらっしゃる。ふと僕の横に、なんと代表者の岡部尚子さん、上瀧昇一郎さん、古谷ちささん、駒野侃さんのお姿が。いつも欠かさず観ている劇団だが、一家総出で来ていらっしゃるとは、、。唐組とは縁が深いですもんね。何とも今日は楽しみな劇になりそうです。
テント公演もよく行くが、今日はほんとにテントそのものです。会場は下はござ一面。あぐらで2時間勝負。あまり慣れてないんですよね。持つかどうか気になるが仕方がない。
開演。ロープが真横に設えてあり、男がとぼとぼ歩く。もう最初からあの唐の世界である。情念の世界である。舞台は昭和の貧しきアパートを再現。離れた所にある便所(敢えて唐は便所という)は今やなつかしホント穢そうなレトロ感が漂う。昔、普通の家でもトイレは縁側にあり、いったん家の外に出る。子供時分は怖くてそれが嫌だった、、。
この便所がこの劇に重要な意味合いを持つことになる。
いやあ、2時間ものすごいものを見させていただきました。今回はドロドロしている中にも敢えてプラトニックなものを御したり、驚かされました。唐の世界は決して古くはないですね。人間の本質をドロドロに、むくむくと湧き起こしています。
久保井研さん演じる大貫も自由な演技で本当に楽しませるが、なんとこの便所で思いがけないことになる。それが衝撃的で、実に重い人生劇である。1時間ほどで途中休憩があり、ほんとに助かった。あぐらはそのままで身動きせずの2時間はもはや限界だった。嬉しい。
もう一つ一つのシーンが絵になっていて、演劇的にとても贅沢。瀟洒でさえある。見事な演劇でした。昨夜は興奮してしばらく眠れませんでした。
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