自分がシニア世代のくせにどちらかというと若い世代の劇ばっかり見ている俺。それはシニアだけでやってる劇団っていうのが稀なせいだと思う。そしてこの劇団がそうです。みんなエネルギッシュです。若いです。そして出し物は3つの短編集です。
とりとめのないどこにでもいるようなシニアの男女。そして彼らの日常。普通の演劇にあるような生気が漂っているわけでなく、ましてや恨み、呪い、恋の苦しみなんて言うのは一切ない。ちょっとした日常を切り取った三編の劇です。
「温泉ヌーボー」。ちょっとおかしい温泉宿での出来事。3人の有閑マダム。そのなれ合いが愛しい。芸達者な三人の芸を見る。
「サプライズ」。ちょっと凝ってはいるが、観客を意識した脚本である。秀逸なホンである。恐らく素人さんがやっているのであろう老人と見受けられる男性の演技が逆に新鮮だ。面白い。
「街の記憶」。これはかなりテレビドラマ張りの筋書きがある。娘の結婚を祝福しないで町内会の麻雀部屋にやってきた女性。みんなが彼女を心配して画策する、、。これも市井の人間を素直に描いて優秀。演劇の基本でもありますネ。
高杉征司さんは通常のホンを書いている作家であるが、敢えてシニアだけの役者をそろえ、シニア向けの演劇を構築した。そうすると、おのずからこういう、明るい、ユーモラスな劇となる。そう、シニアの未来は、現実は、明るいのだ。
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