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『ガラスの葉』(作・フィリップ・リドリー 演出・白井晃)於世田谷パブリックシアター 75点

2010-10-03 14:37:01 | 演劇遍歴
最近小劇場ばかり行っていたので、東京に行くならと珍しくメジャー演劇を見ることにした。世田谷の三軒茶屋。俳優が萩原聖人/田中圭/平岩紙/銀粉蝶と超一流。
出し物は、と。これがちょっと知らないが現代のイギリス演劇らしい。

話はシンプルなんだが、結構難しそう。男と女。夫婦。子供が出来たのに妻は言いだせない。夫は聞いても喜ばないと思っている。実際告白したが夫は素直に喜んでいない。ここらで普通の家族物語でないことが分かる。

母親がいるが、変わっている。日常会話でも本当のことを言わない。家族でありながらよそよそしい。エキセントリックでさえある。妻も常に不機嫌そうである。

弟がいる。絵を描いている。不思議な絵だ。兄と仲がいいのかどうか分からない。でも血縁だ。しょっちゅう会いに来る。二人で会社をやっているらしいが、弟は名前だけのようだ。

どうも男連中は暗い。父親の自殺に関係しているようだ。若くして父親は子供を残している。母親が最初この家族の不幸の毒を持っているのかなあと思っていたら、そのうちこの男兄弟が死に取り付かれていることが分かる。父親と同じ血が流れているのだろうか、、。

結局弟は死を選んでしまう。家族には赤ん坊という新しい血脈がやっと通じたのに、一つの命が閉じられた。それでも家族は生きながらえて行かねばならない。

家族の会話、すぐ壊れゆくもの、それは関係だけではなく、命も、血も、形あるものはすべて壊れてゆくのだ。

これだけの内容を2時間のドラマで正攻法で攻めていくのはきつかっただろうなあと思う。俳優はみんな熱演していたが、ちょっとセリフの間隙から人生の綾を読み解くには観客も心の用意をしていなかった節もある。

男たちは死の匂い。女たちは脈々と流れる子供への血という生の匂い。それはすなわち我々の日常の生と死である。別に難しく畏まる必要はないが、もうちょっと明るさも必要だったのではないか、と思った。

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